詳しい情報は後々、公開しますが全体的に細くて薄いです
ただ、背は低くないです
背 は 低 く な い で す(高いとは言ってない)
服は借り物、足は裸足という現状に今更ながら危機感を抱いた私は、誰かに相談するべく、アジトを回っていた。
アジト内の団員は、リーダーも含めてほとんど出払っていて、人数は最小限。
それでも、アジトの防衛の為であろう武装した団員も幾人か見かけた。
だが、今はそんな事より服だ。
AC乗りの時代は然程気にならなかったが、今は流石の私も一人のキヴォトスにおける文明人としてこのままではいけないと感じた。
そういう訳で私は、先の訓練時に合図担当をしていた団員を探していた。
それほど時間も掛からず、私は目当ての人物を発見した。
「あれっ?レイちゃんじゃーん。どったのー?」
当人は、アジト内の天幕の前で周囲の掃除をしていた。
相変わらず、常に銃を携帯している。
私の銃は天幕に置いてきてしまってあるが、常に持ち歩いていた方が良いのかもしれない。
悩んでいる事情を話すと、相手は納得したように頷いた。
「なるほどね!着替えも一着じゃ心許ないよね!よぉーっし、あたしに任せなさいっ!!」
そう言うと団員は自身が普段使用している天幕へと案内してくれた。
私は一人用の天幕だったが、彼女はどうやら複数人と天幕をシェアしているようだ。
大きさも私の天幕より大きく、広い。
自身のクロゼットを開き、その中身を漁り始める。
「中古品で申し訳ないんだけど、何着かブラックマーケットで掻っ払ーー買って来たのがあるから、それあげる!」
不穏な単語が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにしよう。
「色々と制服もあるんだよねー。これは《ゲヘナ》でしょー?こっちは《トリニティ》!あ、《ハイランダー》のもあった!」
彼女の趣味は衣服の蒐集なのだろうか。
クローゼットからは次々と様々な衣服が出て来る。
「何かお望みの服装とかある?」
訊ねられるが、そう言うものには非常に疎い。
正直、着れれば何でも良いのだが…。
「もしかして、着れれば何でも良いとか考えてる?」
ギロリと睨まれ(ヘルメット越しだが)、ギクリと目を逸らす。
「ダメダメ!そんなんじゃダメー!!レイちゃん可愛いんだから!着飾るとまでは行かなくても、ちゃんとコーディネートしなきゃ!!」
そう言うと彼女は両手をワキワキと動かしながら、迫って来る。
「いや!えーと…その…!」
今までに感じたことのない恐怖に、私は思わず腰を抜かす。
「先ずはその不粋なジャージを脱ぎなさい!!」
そこからの彼女は、目を輝かせながら、私を着せ替え人形にして様々な衣服を着せられた。
衣服──アウターに留まらず、インナー──下着まで色々と着せ替えられてしまった。
と言うか、後半の彼女はかなり息が荒く、声も何だか濁っていた。
何か大事なモノを失った気がするが、取り敢えず、動き易い服装というコンセプトで一通り纏まった。
足元は膝下程度の黒革のブーツ。
腰には一見するとミニスカートのようだが、実はショートパンツのように中に足を通せるようになっている黒のキュロットスカート。
上は白のTシャツの上に黒のジャケットを前を開いた状態で着ている。
「うんうん!良い感じ!カッコ可愛いよ!レイちゃん!」
ツヤツヤと輝く表情で満足気な彼女に対し、揉みくちゃにされた私は正反対の表情で項垂れていた。
「ああ、後それから!」
そういうと彼女は私の腰まである白の長髪に触れた。
もう色々と揉みくちゃにされた私にとっては、今更、髪に触れられた程度、大したことではない。
それでも彼女は優しく私の髪に触れ、何かをしている。
「はい!出来た!」
そう言って彼女は鏡を見せてくれる。
そこに写っていた私は、長髪を一本に纏めた、いわゆるポニーテールの髪型になっていた。
髪を纏めているのは、黒字に赤の差し色が入ったシュシュであり、白の長髪に映えていた。
「これで髪も邪魔にならないんじゃない?」
「…ありがとう。でも、良いの?こんなに良い服、借りちゃって…」
適当な古着を貰えればそれで良かったのだが、私が今、身につけているのはどれも新品同様に輝かしい。
「良いの良いの!あたしも楽しませて貰ったし!それに、服は似合ってる人に着られてナンボ!そして、その服はあげる!」
「え、いや、そんな!?私はお金も持ってないのに…」
「気にしなさんな!キヴォトスの先輩からの餞別よ!でも、そうだぁ…それなら──」
「リーダーが困ってたら、リーダーを助けてあげて。あの人は、確かにキヴォトスの治安を悪くしている不良集団の頭だけど、学園に馴染めず、居場所を失っていたあたし達を受け入れて、導いてくれた大切な人なんだ」
その瞬間、私の脳裏を過ったのは、ウォルターだった。
彼は、廃棄寸前の型落ちの強化人間だった私を買い、そして、ルビコンで生きる“意味”を与えてくれた。
そのウォルターと、リーダーが重なったように見えた。
私は、師を友を仲間を…自らの手で、選択で殺した。
生きる意味も、意義も、何もかも失ったと思っていた。
何処かに行くことも、何かを為すことも出来ないと思っていた。
でも、こんな血と呪いに塗れた私の手でも、出来ることがあるのかもしれない。
その為にきっと、私はこの地に導かれたのかもしれない。
「分かった。必ず、リーダーの助けになるよ」
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同日、深夜。
アジト内の廃墟の一室にて、リーダーと団員がまた相談をしていた。
「…今日、兵器類を受け取りに行った時に聞いたんだが、どうやら《連邦生徒会》に大きな動きがあったらしい」
《連邦生徒会》。
キヴォトスに於いて、実質的頂点に立つ組織であり、行政、運営に従事する中枢機関。
かの悪名高い《カイザー》もそう簡単には手を出す事は出来ない。
「《連邦生徒会》が、ですか…《生徒会長》が行方不明になって、麻痺していたと思いましたが、ついに動き出しましたかぁ〜」
だが、そのキヴォトス全土にまで影響を与える巨大な権力は、《連邦生徒会長》という“個人”で力を発揮していた。
それでも、その土台は盤石だった。
彼女が失踪するまでは。
「それでなんて言ったっけな…えーと、ああ、そうだ!《シャーレ》とかいうのが出来たらしいぜ。まあ、それ以上の詳しいことは分からないんだけどな」
肝心なところの情報が穴開き過ぎる。
「ポンコツリーダーが情報を理解出来なかったとかではなく?」
「誰がポンコツじゃい!引き渡しの相手との世間話で聞いただけで、相手も詳しく知らなかったんだよ!カイザーなら何か情報を掴んでるかもだが、まあこんな辺境の砂漠にゃ無関係だろ!ワハハ!!」
カイザー程の大企業ならば、《シャーレ》や連邦生徒会について何かしら情報は掴んでいる可能性は高い。
だが、今のところ、今回の仕事の雇い主であるカイザーからの追加の情報は無い。
こちらには関係が無いから情報が来ないのか、それとも、わざと情報を流していないか。
はたまた、本当に情報を掴んでいないか。
何にせよ目の前のポンコツリーダーのような楽観視は簡単にはできない。
「そういうところがポンコツだってんですよ」
聞こえるように、あからさまに大きく溜め息を吐く。
「んだとぉ!?あたしはリーダーだぞ!!」
こんなのでも本当にリーダーであり、しかも恩人であるのだから、なおタチが悪い。
「はいはい…それはそうと、気になる話を聞きました。レイちゃんのことです」
「あー?そう言えば、今日はレイヴンに武器渡して訓練する手筈だったよな」
今朝の段階で、アジトに残る団員の中から適切な人材を見繕い、以上の任務を与えていた。
「まさにその事なんですが…報告によるとどうやら、レイちゃん、かなり戦えるみたいです」
「マジ?」
何となくそれはリーダーも予測が付いていた。
最初の出会いが出会いだっただけに、ただならぬ事情があったのだろうとは思っていた。
「はい…。──を一瞬で伸したそうです…」
それには流石のリーダーも硬直する。
「…マジ?」
確かに、アビドス高校の生徒程では無いにしても、この団の中ではそれなりに練度が高い部類の戦闘員の一人なのだが。
それが一瞬で伸されたとなると、レイヴンの能力の高さが窺える。
「…彼女が加わってくれれば──」
「それはダメだ」
「…」
「アイツは、まだ何もしていない。クソッタレなあたしらとは違って、このキヴォトスで、まだ何も罪を犯していない。何処にでも行ける、何処までも行ける、自由な鳥なんだ。あたしはアイツの翼をもぎたくない」
「ポエムですか?恥ずかしくないですか?」
「茶化すんじゃねぇ!とにかく!!」
リーダーは立ち上がり、指を突き付けると、宣言する。
「アイツが自分から頼み込んでも来ない限り、あたしはアイツを巻き込む気はない!以上!解散!!」
翌日、早朝。
「リーダー、私にも仕事を手伝わせて欲しい」
今日も今日とて、仕事の前準備で奔走するリーダーの前に現れたレイヴンは、挨拶もそこそこに、いきなり切り出して来たのだった。
マズい…思った以上にヘルメット団のメンバーのキャラが濃くなって来た…
これでネームドじゃないってマジ?
キャラが勝手に喋って動く件について
でも、リーダーのポエムのくだりは書いて満足しました