ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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ネームドだけじゃなく、モブにも物語を含ませたい

ウチのカタカタヘルメット団はただではやられへんでぇ!!

えー、カタカタヘルメット団の活躍、ご期待ください




EP-3 カタカタヘルメット団アジト

カタカタヘルメット団の車両に乗せられたまま、私はその揺れに身を委ねていた。

 

赤ヘルメットのリーダーに、私をどうするつもりなのかを訊ねた。

返答によっては、この場で暴動も辞さない覚悟だったが、リーダーは逆に心配そうに行く当てがあるのかを聞いてきた。

 

私にそんなものがあるはずもなく推し黙ると、それならばと、カタカタヘルメット団に入るように促して来た。

 

所属するつもりは無くても、少しの間、このキヴォトスがどんな場所なのかを理解するまで、何処か行き場所が決まるまで団に置いてやる、それがお前さんを拾った自分の責任だと言ってきた。

 

どうするべきか悩むが、その瞬間の彼女からはどこか《カーラ》のような面倒見の良さを感じた。

 

まだ油断は出来ない。

だが、取り敢えずは彼女の元に身を置いても良いのではないかと思えた。

 

ひとまずは三日。

三日、ヘルメット団で過ごしてみて決めると私は告げる。

 

一週間でも一ヶ月でも良いと言われたが、それはまたその時に考えるということで保留となった。

 

車に揺られて運ばれる中、私は窓の外を眺めていると、リーダー以外のメンバーに声を掛けられた。

 

それまでもガヤの賑やかし程度には騒がしかったが、質問攻めにして来る様は、うるさく思いながらも、彼女たちの人の良さのようなものが感じられた。

 

それはかつて、ルビコンにおいて、時に協働し、時に対立した、企業《ベイラム》の傭兵部隊、《レッドガン》を彷彿とさせた。

 

だが、彼女たちの質問に、私はほとんど答えることが出来なかった。

 

具合を心配するような当たり障りの無い質問は兎も角、どうしてあの場所に倒れていたのか、や、何処から来たのか、などは、私自身も分からない。

 

答えることが出来ない。

 

やがて、病み上がりの私を気遣ってリーダーがメンバーを退かせたが、その時にリーダーはある結論を話す。

 

「もしかしたら、お前さんはキヴォトスの外からやって来たのかもな。外の世界の人間に、何でキヴォトスの人間の特徴が現れているのかは分からんが」

 

それに対して私は、不器用な愛想笑いしか返す事が出来なかった。

 

そうこうしている内に、私を乗せた車両は、とある廃墟に辿り着く。

廃墟と言っても、周囲には無数に天幕が張られ、秘密基地、或いはアジトという言葉がしっくりくるような外観だ。

 

適当な場所で止まった車から降りる。

 

自分でも意外な程、自然に私は地面の上に立つことが出来た。

全身の激痛が無ければ、荒野の時にも立ち上がることはできたのかもしれないが、今となっては詮無きことだ。

 

私が降りると、リーダーが思い出したように振り返る。

 

「あ、そう言えばお前さん、名前は?」

 

聞かれて、私は言葉に詰まる。

 

どう答えるべきか。

何と答えるべきか。

 

迷っていると。

 

「あー、もしかして名前も分かんない感じか?うーむ、それならあたしが名付けてやろうか?」

 

「えー?リーダー名付けなんて出来るんスかぁ〜?」

 

「ダメっすよリーダー。こんな可愛い子にサンタナとか付けちゃあ」

 

「お前らはあたしを何だと思ってんだー!!」

 

そんなやり取りを眺めていると、私は自然と口を開いていた。

 

「…《レイヴン》。今は、そう呼んで欲しい…」

 

****************************

 

「はい!という訳で、一時的なメンバーの《レイヴン》でーす!!みんな、仲良くするよーにっ!!」

 

という訳で私は今、カタカタヘルメット団のメンバーの前で大々的に紹介されていた。

 

「リーダー…ついに他校から誘拐を…!?」

 

「違うわ!!」

 

全員、黒い制服に黒いヘルメットの少女ばかりだった。

リーダーだけ赤い制服だが、違う学校の生徒なのだろうか?

それとも、団としての規格が黒に統一されているのか。

 

そして、先程までは車に乗っていたから気付かなかったが、全員が火器を所持している。

ヘルメット、制服、女子生徒、銃器。

 

私は一旦、考えるのをやめた。

 

「レイヴンよろしく〜」

 

「よろ〜、レイヴン」

 

「よろしく!レイちゃんって呼んでも良い!?」

 

「レイちゃん!良いね!あたしもそう呼んで良い!?」

 

私は団員に詰め寄られ、囲まれた。

今までに無い経験に、困惑するが、悪い気はしない。

 

「はいはーい、お前ら、レイヴンが困ってるからそこまでー」

 

リーダーが割って入り、団員の波を掻き分け、私と分断する。

 

「レイヴンは病み上がりみたいなもんだから、今日は早く休ませる。質問攻めは明日以降にしなー」

 

リーダーが言い聞かせるように言うが、団員とは気心が知れる仲なのだろう。

団員はリーダーに向かって当たり前のようにブーイングする。

 

「お黙り!!さっ、レイヴン着いて来な。一時的とは言え、休むところが要るだろ?」

 

そう言うとリーダーは一つの天幕の中に案内してくれた。

 

「いやぁ、こんな貧相なレパートリーで申し訳ないんだが、取り敢えずはこれで我慢してくれよな」

 

天幕内には、シートが敷かれ、寝袋が折り畳まれて置かれていた。

 

私は首を振る。

 

「ううん、これだけで十分。ありがとう」

 

「そうか。なら良かった。ああ、あと一応、食事スペースとシャワー室にも案内しておこう」

 

リーダーの案内で、ヘルメット団のアジトに併設されている施設を回った。

リーダーは何かあったら自分を頼るように言い残し、立ち去った。

 

その後、私は猛烈に空腹を感じ、案内された食事場を改めて覗いた。

いくつかの弁当、サンドウィッチ、おにぎり、その為携帯食と言ったレパートリーが並んでおり、私はその中から携帯食を選んだ。

 

食事場にいたメンバーからはもっと食べるように言われたが、今はこれで問題ないと断った。

 

軽く食事を済ませた私はそのままシャワー室へと赴き、包帯を解いて身体の汚れを落とした。

 

裸になって気付いたことがある。

強化人間としての手術痕が、この身体には無かった。

 

着替えの事をすっかり失念していたのだが、団員の誰かが気を利かせてくれたのか、カゴの中にタオルと下着、赤色のジャージが入っていた。

サイズは若干大きいが、問題無く着れる範囲のサイズだった。

 

シャワー室から出た私はタオルで髪を拭きながら、アジトでリーダーを探す。

 

すぐに見付かり、私は着替えの礼を伝えた。

 

その後、私は自身に当てがわれた天幕に戻り、何をするでもなく、座る。

 

「…レイちゃん、か…」

 

まさかそんなあだ名で呼ばれるとは思わなかった。

 

この名前の元の持ち主である独立傭兵の集まり《ブランチ》の《レイヴン》には少し申し訳なく思わないでもないが、ヘルメット団の彼女たちにそれを知る術はない。

 

私としても、悪い気はしない。

 

腰まである長い白髪は、洗ったからだろうか、くすみが僅かに取れ、灰色っぽかった白色が純白に近付いた。

 

髪もあらかた乾かし終わった頃、自然と眠気が訪れ、私は寝袋に包まれ、目を閉じた。

 

強化人間には睡眠は必要ない。

 

必要に応じて休眠状態にさせられることはある。

だが、それは自発的な睡眠とは異なるものだ。

 

食事も、入浴も同様だ。

 

遥か昔に失われた機能を取り戻し、だが、どこかポッカリと穴が空いたように虚しい。

 

ここで過ごして行けば、いつかこの空虚さが晴れる時が来るのだろうか?

 

そんなことを考えている内に、私の意識は深く深く、沈んでいった。




621の名前をどうするか…

非常に悩ましい問題です…

ヘルメット団がやたら親切かのように思われるかもしれませんが、これはアレです
義理と人情的な
敵では無い一般人に危害を加える事はなく、敵には容赦しない的な感じのヤツです
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