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「一向聴ピーク理論」と「3ヘッド最弱理論」

今や麻雀打ちのバイブルとなったG・ウザクさん(以下、ウザクさん)著のウザク式麻雀教本シリーズ(以下、ウザク本)。

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2月20日に新著「ウザク式麻雀学習 はじめの書」の発売を控えているわけですが、ここに来て「ウザク式セオリー」に関する議論がSNSを賑わしています。
話題の中心はダマテンおじさん。麻雀の勉強に大変熱心なことで有名な方です。

↓こちらのリンクからスレッドを辿っていただければおおよその流れは掴めると思います。


■「一向聴ピーク理論」への大いなる誤解

私がダマテンおじさんの言説で最も気になったところは、
「一向聴ピーク理論」とは余剰牌のない(聴牌受け入れ最大の)一向聴を目指すこと
… と “一向聴ピーク” の本質を誤認し、極小化して捉えてしまっていることです。
もちろん、多くの場合で余剰牌の出ない(全ての牌が聴牌受け入れに貢献している)一向聴の方が優秀なのでニアリーイコールではあるのですが例外も少なからずあります。

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こちらは比較的わかりやすい例です。
いくら手組みにおいてリャンメンが大事とは言え、ここで8pや7sを切るのは誤りですね。余剰牌を出さないヘッド固定の打7pか打6sが正解となります。

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では、こちらはどうでしょうか?
「何がなんでも一向聴時に余剰牌を出さないんだ!」となれば打6mになりますが、メンタンピン三色ドラ1まで見える手なので打6mは打点的に少しもの足りないですよね。
だからと言って打1mや打8pはやり過ぎで、受け入れロスを最小限に抑えつつ高打点ルートを残す打4pが正解になりそうです。

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先ほどの打4pから、例えば9pを引いたこの一向聴でもなお三色目を残す打1mや打89pはさすがにやり過ぎなので、この形になれば打6mか打7pのメンピンドラ1で妥協するべきでしょう。
ここで6mか7pが「一向聴時の余剰牌」となってしまうわけですが、「4pを残しておけば余剰牌のない完全一向聴にできた!失敗した!」とはならないですよね?
なぜなら高打点を見て最も期待値の高い選択をしただけですから。

これは打点面を重視した場合、つまり「打点面での有効牌」を優先的に残した場合、一向聴時に「受け入れ面での余剰牌」が出てしまうことがある、という例ですが、こんな例はいくらでもありますよね。

打点だと比較的わかりやすいのですが、「最終形の強さ」を重視した場合でも同じようなことが言えます。

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今回話題になっている牌姿がこちらです。
ウザク本の(と言うか一般的な)正解は打7pですが、これにダマテンおじさんが以下のような疑問を持ちました。

要約するとこんな感じです。
①「一向聴ピーク理論」の見地からは、一向聴で余剰牌の出ない打5mが正解
②「3ヘッド最弱理論」の観点では打7pが正解
③「一向聴ピーク理論」と「3ヘッド最弱理論」がバッティングする場合には、原則一向聴ピーク理論を優先するべき。
つまり打5mが正解

この③は少し難しいので、↓こちらのスレをご参照ください。私も基本的にこの見解には賛同しています。

④ ③にも関わらず、正解が打7pなのはどういうことか。
もしかしたら「一向聴ピーク理論」より上位の「リャンメン固定理論」なるものがあるのか?

さてさて皆さん。どうお感じになりますでしょうか?
これ少し難しい話ではありますが、ウザク本をしっかり理解している人から見るとかなり破綻した理論なんですよね。(私もしっかり理解しているとは言い難いですが)
言葉を選ばずに言えば何から何まで間違っている、という印象で、ウザクさんのこの少しキツいと思えるツイートもむべなるかな、という気が個人的にはしています。

ウザクさんの言う「画像部分」とはこちらです。

これ、ツッコミどころが本当にたくさんあるんですよね…
長くなってしまいますが順番に見ていきます。

■NO!① 受け入れ2枚差=3ヘッド最弱理論

これを説明するためには、まず「3ヘッド最弱理論」の正しい理解が必要です。
こちらの解説が非常にわかりやすいです。

── 3ヘッドの場合は、トイツをひとつほぐして2ヘッドにした方が、受け入れが広い。 しかし、4ヘッドになると、七対子が見えてくるから弱い形とは言えない。 つまり、メンゼン手は3ヘッドが一番弱い形となる ──

これに倣うとなるほど、577m のような形では原則、55m のトイツ(ヘッド)より 57mのカンチャン を残すべき、となりますね。
が!ここで重要になってくるのが
“好形ターツの少ない” メンゼン3ヘッドの手格好は非常に弱い
ということです。

※ ウザク本にこのような記載はありませんが、3ヘッド最弱理論の理解を深めるために知っておいて損はないと思います。

こんな風に未完成ターツが全て好形であれば3ヘッドでも全然弱くありませんし、この牌姿からはむしろ瞬間3ヘッドになる打5mが正解です。
つまり、「3ヘッド最弱理論」で言うところのヘッドとは、
・単独トイツ
・カンチャントイツ
・ペンチャントイツ
で、つまりは愚形トイツのことを指している
のですね。

それはそうです。

「カンチャンとトイツ(シャボ受け)は受け入れ枚数が同じなのでどっちにとっても同じだよね?」

「いえいえ、必ずしもそうではありませんよ。例えば3ヘッドかつヘッド部分のフォローが全て愚形の場合は、ヘッドをほぐしてカンチャンにした時に残り二つのトイツのどちらかがアンコになってもロスにはならないので、カンチャンに取った方が2枚分有利ですよ。」

── という、カンチャン(ペンチャン)とトイツ(シャボ受け)どちらを残すかの比較で起こりがちな錯覚、というか見落としに対する正しいアプローチが3ヘッド最弱理論の骨子だからです。
つまり、「単独で強い形であるリャンメンを固定し弱い部分を厚く持つ」というというのは割と基本的な手筋であり、お題の牌姿では「3ヘッド最弱理論」により打7pという結論を導き出しているわけではない、ということです。(瞬間3ヘッドである以上、必然的に3ヘッド最弱理論も内包されてはいるのですが)
なので、お題の牌姿から7pを切るのは、関連性で言えば「3ヘッド最弱理論」より「弱ターツ3枚構成理論」の方がまだ近いのかな、と思います。(577m の形を維持するという意味で)

これらを踏まえると、ダマテンおじさんの言う「①受け入れ2枚差=3ヘッド最弱理論」というのが間違いと言うか、だいぶピントがずれているのがお分かりいただけるかと思います。

■NO!② ツモ4mで68sの愚形が解消

これに対しウザクさんは「4m引きは本題ではない」と答えていますね。
「間違い」でも「関係ない」でもなく「本題ではない」と言っているところにウザクさんの苦悩がにじみ出ているように感じます。
どういうことでしょうか。
そもそも、ウザクさんは手牌進行にあたり強い5ブロックを目指すことを推奨していて、よほどのことがない限り6ブロック進行は是としていないんですね。(一向聴ピーク理論の観点からすれば当然ですが)

打7pから4mを引いたこの形になれば、そりゃまあ68sを払っていくのですが、この形って好形聴牌確定ではありますが二向聴のままなんですよね。二向聴でフォロー牌が少なく、打点にも受け入れにも貢献していないただ危険なだけの68sが残ってしまっているわけです。
つまり、この形になれば68sを落としていくしかないんだけど、5mは4m引きの6ブロックを見据えて残しているわけではない。オマケのオマケ程度だよ、ということですね。
では、4m引きがオマケなら何がメインなのか。
そう、6m引きですね。

はい、6m引きました。何切りましょう?
5677mの亜リャンメンを残し68sを落としていくのはあまりオススメ出来ません。亜リャンメンはシャンテンを落としてまで残す価値はないですから。
ここは素直に一向聴にとる打7mで良いと思います。

打7p → ツモ6m → 打7m
この手格好、何が良いと思いますか?
余剰牌(3p)のある「好形(67p) × 愚形(68s)」の一向聴って大したことないんじゃ?
と思う方もいると思いますが、一見不要に見える3p
の残っていることが実はかなり大きいんですね。

まず押さえておきたいのが、
24 や 68 のカンチャンはそれ単独ではリャンメン変化しづらい
ということです。
12 や 89 に比べれば、一手で好形変化するのとタンヤオが付く(場合がある)ぶん多少マシですが、リャンメン変化が2通りある 35・46・57 に比べると明確に弱いと言えます。
ところが!です。
自力での好形変化は5sしかなくてヨワヨワの68sですが、223pというリャンメントイツがセットだと途端にパワーアップします。
7sダイレクトや5s引きの3メンチャンは当然として、68sの縦引きでも好形変化するんですね。これが実に大きい。68sの愚形部分を223pのリャンメントイツが面倒見ている格好になるわけですね。

これは8sを縦引きした場合ですが、何と余剰牌なし(2pがフォロー牌)の完全一向聴になりますね!

ここでは不要(余剰牌)に見えた3pが実はメチャクチャ大切な牌だったというわけです。

これでもまだ、あなたは5mや3pを余剰牌と呼びますか?

■牌効率とは? 一向聴ピークとは?

さて、ここで「一向聴ピーク理論」についてもう少し考えてみたいと思います。
そもそもですが、牌効率とは何でしょう?
牌効率とは、和了りに向かうにあたり期待値最大の選択を導き出すために最も有効な手段

というのが現時点での私の理解です。
そして、牌効率と一向聴ピーク理論は非常に密接に関わり合っています。
つまり牌効率(一向聴ピーク理論)には、
【A】いかに早く一向聴にたどり着くか
【B】一向聴時にいかに余剰牌が出ないようにするか
だけでなく、打点や最終形(待ち)の強さなども当然に含まれ、これらが【A】や【B】よりも優先する場合がいくらでもある、ということです。
リーチという役が強すぎて、多少打点や待ちを犠牲にしても先制リーチを打つ方が有利なケースも少なくないので、結果的に【A】や【B】が優先される場合が多いのは事実です。
しかし、【A】や【B】はあくまで期待値を高めるための手段でありそれ自体が目的ではない、ということは銘記しておきたいところですね。


話を戻します。

この手格好から、最終形の強さを一切考慮せず最速の聴牌を目指すのが目的なら、確かに5mを切るのが良いかも知れませんが、強い5ブロックを目指し、真の牌効率・真の一向聴ピークに則るならここは打7p以外にありません。
そして、この牌姿における打7pが、
「3ヘッド最弱理論」と「一向聴ピーク理論」がバッティングした末に、それらの上位である「リャンメン固定理論」に則った選択
… というダマテンおじさんの仮説はさすがに発想が自由すぎるかと思います。
だって、リャンメントイツを二つ含んでいる時点で「3ヘッド最弱理論」の対象外ですし、“真の”「一向聴ピーク理論」にも全く矛盾していないんですから。
対象外と矛盾していない理論を持ってきてバッティングしている、と言われても訳がわからないですし、「リャンメン固定理論」なるものは上位どころかむしろ基本の手筋で、ウザク本緑の該当ページでもしっかりと説明されていますからね。

■NO!③ ツモ6mでタンヤオが確定

ほとんど関係ありません。

仮にソーズ下部分が123sだったとしても打7pが正解
です。

この場合、タンヤオにはならないので赤5p引きを重視しての打7pです。タンヤオが付かないぶん打2pと7pの差が縮まり、場合によっては打2pもありだと思います。


■ダマテンおじさんの結論?

そして、ダマテンおじさんの結論?は こう続きます。

うーん……。(-_-;)
ここまでを読んで理解して下さった方でしたら思わず苦笑してしまったのではないでしょうか。
タンヤオの要素は全然大きくないですし、今回のようにリャンメン固定が正着となるケースは無限にありますから…

■他、気になるところ あれこれ

あと、これも気になりました。

ここで出てくる「旧セオリー」とは、(ダマテンおじさんが主張するところの)「一向聴ピーク理論」と「3ヘッド最弱理論」がバッティングする場合には一向聴ピーク理論を優先させる、ということを指していると思われますが、それだと「一向聴ピーク理論」や「3ヘッド最弱理論」が、「例外が多くて使えなくなった昔のセオリー」のようにも聞こえてしまわないでしょうか?

また、繰り返しになりますが、愚形部分を厚く持ちリャンメンを固定するのは「上位理論」でも「新セオリー」でもなく割と基本的な手筋です。

ついでですが、「バッティング」という表現もあまり良くないと感じます。(違う表現は難しいですが)
あたかも「3ヘッド最弱理論」と「一向聴ピーク理論」は不完全で例外が多い故に矛盾の生じる場合が少なくない、というようにも受け取れてしまいますし、「3ヘッド最弱理論」と “真の”「一向聴ピーク理論」とはそもそもバッティングしませんので。

■お題の牌姿 まとめ

では、まとめです。

① 打5mから固定したリャンメンが埋まったこの形は、
○聴牌 → 5種16枚
△好形聴牌 → 1種4枚
△好形変化 → 3種11枚(145s)

② 対して、打7pからカンチャントイツ部分が埋まったこの形では、
△聴牌 → 3種12枚
△好形聴牌 → 1種4枚
◎好形変化 → 7種23枚(24p 14568s)
☆二向聴変わらずの好形変化(打7p→ツモ4mのケース) → 1種4枚(4m)

※ リャンカンや亜リャンメンも好形に含めています

どうでしょうか。単純聴牌受け入れ枚数こそ①の方が4枚多いですが、好形聴牌枚数は同じで、好形変化枚数が ①11枚 と②27枚 とで約2.5倍も違います。
好形変化枚数がこれだけ違うなら、ストレートに聴牌を目指した場合に余剰牌が出てしまう可能性があるとしても、②の一向聴を目指す方が期待値が高いと言えるのではないでしょうか。

■おまけ

余剰牌を出さないためには原則、
「一つのトイツからフォローを外し単独トイツとして保持しておく」
という手筋が多くのケースで有力なのですが、愚形ターツがある場合にヘッド候補を単独トイツにしてしまうと、好形変化しづらく柔軟性に乏しい手格好になってしまう、というデメリットがあります。
【A】55m 68s
【B】223p 68s
このような2ブロックから 好形+ヘッド への変化を見る場合、
【A】では 45s の2種8枚しかありませんが、
【B】では 24p 4568s の6種20牌あり、実に2.5倍の差があります。(2p・4pは瞬間6ブロックになりフォロー牌も減るので評価が難しいですが)

※ リャンカンや亜リャンメンも好形に含める


■カンチャンとリャンメントイツはセットで!

さて、ここで肝心なのは、
愚形ターツ(特にカンチャン)がある場合はギリギリまでリャンメントイツを残す
ということです。
もっとシンプルにに言うなら、
カンチャンとリャンメントイツはセットで
となります。
愚形が一ヶ所なら面倒を見るリャンメントイツは一つで事足りるので、
二向聴時にリャンメントイツが2組あれば片方はリャンメン固定し、愚形部分を厚く持つことで少しでもそこを先埋まりしやすくする
という手筋を覚えておくと役に立つ場面が多いと思います。さてさて、初級~中級入り口くらいの方には少し難しい内容もあったかと思いますが、
「カンチャンとリャンメントイツはセットで!」
だけでも持ち帰っていただけたら嬉しいです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました!

ダマテンおじさん頑張って!(>_<) (おま言う?

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