購買意欲を掻き立てる「カスタマー心理学」は、「買う」意図を持つ買い手にも、「商品力」に自信がある売り手にも効果がある!
(21)文脈効果:周りの状況・隣合う情報(文脈)によって、認識が変わる心理現象!
例えば、パッケージがピンクやオレンジなど暖色系なら「女性向けのシャンプー」という印象。グレーやブラックなら「男性向けのシャンプー」という印象。
《感想21》さらに「文脈効果」の例を挙げよう。(ア)「お腹が痛い」といっても文脈は様々だ。笑いすぎ、食べすぎ、寒すぎ。(イ)事前にアルファベットを見ていれば「B」、数字を見ていれば「13」と認識する。(ウ) 同じスーツでも「英国紳士が愛したスーツ」、同じじゃがいもでも「北海道の大自然で育ったじゃがいも」と言うことで、価値が高いと思わせる。
(22)シャンパルティエ効果(大きさ=重さの錯覚):大きさ・数字の単位などを変え、重さ・量などについて異なった印象を持たせる!(Cf. シャンパルティエは心理学者)
物理的な重さの等しい物でも,体積が小さいほうが重く感じられる。Ex. 羽毛布団、ダンベル、そのどちらも1kgだが、私たちは、羽毛布団のほうが軽いように感じてしまう。(大きさ=重さの錯覚!)また、同じ量について、数字の単位を変え、異なった印象を持たせることができる。Ex. ビタミンC「1g配合」より「1,000mg配合」とアピールする方が、含有量が多く感じる。
《感想22》イメージによる錯覚だ。「A. お米1kg」と「B. ティッシュペーパー5箱」を比べ、多くの人は「A」が重いと考える。「お米=重い」「ティッシュペーパー=軽い」というイメージに引きずられ錯覚する。
(23)ツァイガルニク効果(Cf. ツァイガルニクはソ連の心理学者):人は達成できなかった事柄や中断している事柄に多くの注意を向ける!
人は完全なものよりも不完全なものの方に注意を向けやすい。達成できなかった事柄や中断している事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく覚えている。例えば「続きが気になる」心理効果!テレビドラマや漫画・アニメで、いいところで「つづく」の文字が出てくる。
《感想23》「釣り逃がした魚は大きい」という心理現象がツァイガルニク効果だ。
(24)返報性の原理:受けた恩を返したくなるという心理!
弁護士の無料相談、ネットサービスの無料トライアル、初回申し込み無料は、返報性の原理を利用している。(ただし、単に無料で、人を引き付けるだけとも言える・・・・)
《感想24》店員さんにすすめられ試食し、「買わないと申しわけない」という心理にさせられる。これは明らかに「返報性の原理」を用いたビジネステクニックだ。
(25)罰への欲求:メリットばかりをアピールするサービス・商品は信頼されない!
人は良いことが続くと幸福と思いながら、同時に不安をもつ。「こんなに良いことが続くはずない」という感情。これが「罰への欲求」だ。例えば、メリットばかりをアピールするサービス・商品は信頼されない。デメリットも伝えることで逆に信頼を得る。
《感想25》現実は「禍福は糾える縄の如し」(カフクハアザナエルナワノゴトシ)だ。幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくる。うまい話ばかり、続くわけがない。
(26)コンコルド効果:「これまでかけたコストや時間を取り戻そう」という心理!
音速旅客機「コンコルド」は、開発途中で明らかに失敗と判断できたのに、プロジェクトが続行された。「これまでかけたコストや時間を取り戻そう」という心理が働き、無駄に投資を続けさせ、やめる決断ができない。Ex. ギャンブルで「損失した以上に取り戻そう」として、さらに損失する。
《感想26》「コンコルド効果」は、サンクコスト(埋没費用、戻ってこない費用)に引きずられ、損失を拡大させることだ。「これまで投資した時間やお金がもったいない」と止められない。「もう少しできっと上手くいく」という思いがある。愚かだ。
19/09/04 08:30