公明党が自民党との連立を解消した。高市早苗新総裁が率いる自民党は、国民民主党や日本維新の会の連携を構築するのか。一方、立憲民主党も国民や維新、そして公明にも秋波を送る。政局の行方はどうなるのか。
高市氏は総裁就任後、国民民主党に接近した。公明党は、高市総裁に「靖国神社参拝」や「外国人との共生」「『政治とカネ』の問題」で牽制球(けんせいきゅう)を投げ、10日に連立離脱を表明した。首相指名選挙で「高市早苗」とは書かないというわけだ。
小泉進次郎総裁になった場合でも同じかと、高市総裁は斉藤鉄夫代表に聞いたが、斉藤代表は変わりないというニュアンスで答えた。
しかし、小泉氏と公明党は実務者会合で今年3月に政治とカネについて地方組織を受け皿として認めるが、透明性を図るという案で合意している。それなのに、斎藤代表は地方組織を受け皿としない案でその場で返答するよう高市総裁に求めた。
高市総裁はその場で返答できないので持ち帰るとしたが、一方的に連立解消を通告されたという。まるで高市首相阻止にもみえる。
斉藤代表は連立離脱の4日前、議員会館内で中国の呉江浩(ごこうこう)駐日大使と会っていたことが報じられている。また、中国・新華社は「公明党の連立離脱」を速報した。自公の分裂を喜んでいるかのようだ。
自公の間に亀裂が走るにつれて、野党からの揺さぶりも激しい。
立憲民主党からは、「国民民主党の玉木雄一郎代表を首相指名することでまとまろう」との球が来た。
国民民主は、立民からの離脱経緯や、安全保障とエネルギーで基本政策の違いを指摘している。日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)も、「立憲民主党と国民民主党が、もしまとまるのであれば真剣に話を聞く」という高いハードルを示した。今度は立民から維新へのラブコールもあった。
もともと、立民は、共産・れいわにも話を持ち掛けており、高市首相阻止には手段を選ばす、数合わせの野合でも構わないことを隠さない。なお、公明は野党の選択肢も否定しない。
野合がなければ、比較第1党の自民総裁が首相になるが、20日以降の国会開催まで、野党の間でどのような案が出てくるのかは興味深い。仮に高市首相になっても少数自民では国会運営にいずれ行き詰まるので、公明縛りのない高市色で年内解散になる公算は大きい。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)