スキマバイト 介護施設で拡大 「周辺業務で助かる」、質低下が懸念

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片田貴也
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 空き時間に単発・短時間の仕事をスマートフォンのアプリでマッチングするスキマバイト(スポットワーク)が、介護の現場で広がっています。人手不足に悩む施設にとっては人材確保や採用でメリットがある一方で、履歴書や面接なしで採用される介護人材に、介護の質や安全性の課題について指摘する声も上がっています。

 閑静な住宅街や畑などが並ぶ東京都杉並区内の介護付き有料老人ホーム。常勤職員は15人ほど、派遣社員は約7人が働き、昨年9月からタイミーを導入して、取材した8月上旬の日には介護人材の3人がタイミーを通して働いていた。

 タイミーの募集は午前と午後の約4時間の枠と日中に入浴介助を担当する計3枠を出している。安全面や介護の質を保つため、タイミーの働き手は各部屋へのお茶配りや配膳、リネン交換などの周辺業務にあたり、食事や入浴などスキルのいる身体介助は常勤職員で担う。タイミーでの入浴専門の働き手も介護度がある程度低い利用者を担当して、常勤職員の補助をつけている。「身体介助など以外の間接業務もとても多い。介護業界は人材不足でそこを担ってもらえるだけでも助かっている」と施設長は話す。

 この施設を運営する介護大手…

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    白川優子
    (国境なき医師団看護師・作家)
    2025年10月13日18時37分 投稿
    【視点】

    以前、保育士のスキマバイトをめぐるトラブルが報じられたことがありましたが、今回の介護の現場でも同様の懸念を感じます。特に高齢者は体力的・精神的に声を上げにくい立場にあり、不適切な対応や小さなトラブルが表面化しづらいというリスクがあります。高

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年10月14日12時10分 投稿
    【視点】

    介護現場における業務の細分化・役割分担の明確化による業務効率化の事例について話を聞かせていただいたことがある。その現場では、介護業務はケアや介助、見守りなど多岐にわたるなかで、専門的な技能を持つ介護職員が補助的な業務まで担っている=人材が有

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