BLUE ARCHIVE -SONG OF CORAL-   作:Soburero

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地の文無し省エネSS集です。
暇な時にどうぞ。


オマケ.渡烏の止まり木、シャーレ

『戦闘技能検証プログラム』

 

 ――ミレニアムサイエンススクール――

 

 ワイワイガヤガヤ……

 

 『ゲーム開発部、新作のテスターが欲しいとの話でしたが……。』

 

 「こんなに数が居るなら、俺はいらないんじゃないか?」

 

 「いるいる!必要なんだよ!」

 

 「今回のゲーム、エンジニア部との共同開発なんです。パワーローダーの教習シミュレーターを改造して、戦う技能を楽しく学べるように作ったんです。」

 

 「だから腕の立つパイロットがテスターに必要だと……。そういう事か。」

 

 「さあ、選ばれしものよ!この栄光の道を行くがいい!」

 

 「はいはい……。今はトキがやってるのか。」

 

 『……撃破されましたね。』

 

 「クッ……。アビ・エシュフで第4ウェーブが限界なんて……。」

 

 「動きは悪くないな。なまっていないようで何よりだ、トキ。」

 

 「……レイヴン、お久しぶりですね。あなたもこのゲームのテスターに?」

 

 「そうだ。次は俺がやる。貸してくれ。」

 

 「いいですよ。あなたなら第3ウェーブまでならいけるでしょう。」

 

 「ハッ。バカにしてくれる。」

 

 カチッ

 キュィィィン

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ワイワイガヤガヤ……

 

 「おっ、盛り上がってんな、トキ。」

 

 「はい。今はレイヴンがやっているので。」

 

 「ゲッ……!イカレ野郎が居んのかよ……。」

 「……まあでも、ゲームは普通に面白そうだな。」

 

 「今レイヴンは第3ウェーブを――」

 

 Wave 3 Clear!

 

 「……クリアしたみたいです。」

 

 「へぇ~。やるじゃねえか。これステージは全部でいくつあんだ?」

 

 「5ステージですね。ただ、第4ウェーブから急激に難易度が上がるので、流石のナイトフォールでも厳しいでしょう。」

 

 Wave 4 Engage!

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 Wave 4 Clear!

 

 ワァァァ!!

 スゲー!

 ヤリヤガッタ!

 

 「マジかよ。アイツクリアしやがったぞ。今のかなり難易度高かったろ。」

 

 「……偶然です。私とアビ・エシュフで突破できなかったのですから。きっと偶然ですよ。」

 

 「オメーアイツに1回やられてんだろ。」

 

 「忘れてませんよ。次は私が勝つと思ってるだけです。」

 

 「まっ、やる気があるのは良い事だな。おっ、次が始まるぞ!」

 

 Wave 5 Engage!

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 Wave 5 Clear!

 Congratulation!

 

 ワァァァ!!

 ヒューヒュー!!

 

 「……やっぱフザけてんな、アイツの実力。普通やられてるだろ、あの状況。」

 

 「私とレイヴン、一体何が違うのでしょうか……。」

 

 「アタシにも分かんねぇ。でも、なんつーか……。」

 「……アイツにとって、アレくらいの戦場は当たり前だったんじゃねぇか?」

 

 「……もしそうだとしたら、どうして今も生きているのでしょう。」

 

 Extra Wave Engage!

 

 「ハァ!?オイチビ共!さすがにやり過ぎだろ!」

 

 「ふっふっふっ……!このゲームはこれからが本番だよ!」

 「ズバリ、ミラーマッチ!自分の動きの癖まで再現して、その上でユズが作ったプログラムで超強化された自分と戦うのだ!」

 

 「下手すりゃ誰もクリアできないやつじゃねえかよ!」

 

 「実際私達はユズ以外クリアできなかったよ!」

 

 「誇らしげに言うんじゃねぇ!」

 

 「……ネル先輩、レイヴン、普通に渡り合ってます。」

 

 「……オイ嘘だろ。何で戦えんだよ。」

 

 「……あれ?もしかして、クリアされちゃう?」

 

 「確かに、無人機にしては悪くない動きだ。だが……。」

 「――コピーした程度では、足りないな。」

 

 Extra Wave Clear!

 Congratulation!

 

 ウォォォ!!

 ワァァァ!!

 ヒューヒュー!!

 

 「凄い……!本当にクリアした!」

 

 「嘘ぉ!?入力を見るAIだったんだけど!?」

 

 「さすがレイヴンさんです!アリスも負けていられません!」

 

 カチン ガコッ

 

 スッ……

 

 「……良い腕じゃねぇか。見直したぜ。」

 

 「……それはどうも。」パシッ

 

 「もう1回やらせてください!私がアビ・エシュフを1番上手く使えるんです!」

 

 「おい、トキ!って、もう始めてる……。」

 

 「好きなだけやらせてやればいい。経験にはなる。」

 

 「……いくつか聞きたいんだけどよ。」

 

 「何だ?」

 

 「お前が外から来たって噂、本当か?」

 

 「ああ、本当だ。そこは戦場で、俺はその生き残りだ。」

 

 「じゃあ、お前はずっと、さっきやったみたいな戦場で戦ってたのか?」

 

 「……あれより酷かったさ。」

 

 「マジかよ……。だからイカレてんだな、お前。」

 

 「誉め言葉として受け取っておくぞ。」

 

 「どういう受け取り方だよ。でも、見直したってのは本当だ。やるじゃねぇか。」

 

 「お褒めに与り光栄だ。次は生身の実力を確かめてみるか?」

 

 「おっ!良いじゃねぇか!良いシミュレーターがあんだよ。そこでやろ―ぜ!」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『戦術指南:トリニティ』

 

 「――という事ですので、今日1日は、正義実現委員会の訓練教官として働いてもらいます。」

 

 「いずれ俺を倒す奴を鍛えろ。そういう事か?」

 

 「そんな所です。私達だけでも十分ではありますが、先生曰く、”色々な経験を積ませてあげて欲しい。”との事なので。」

 「最悪、見ているだけでも構いませんよ。」

 

 「いや、引き受けた以上仕事はする。スケジュールは?」

 

 「こちらです。午前は基礎体力訓練、午後は射撃術と格闘術の訓練を行います。」

 

 ペラッペラペラッ

 

 「レイヴン、1つ聞くが……。お前は、こういった訓練を受けたことがあるのか?」

 

 「いや、ない。最低限の教習が終われば、すぐに実戦投入だ。そう考えれば、正実の連中は恵まれているな。」

 

 「なんて環境だ……。」

 

 「……それは、戦う兵士たちを蔑ろにしているとしか思えません。無いとは思いますが、同じ扱いをする気ではありませんよね?」

 

 「“訓練”教官だろう?現場の経験を教えるつもりではあるが、加減はするさ。」

 「さて、まずは見込みがある奴を見つけないとな……。」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 イッチニー!イッチニー!

 ヨンジュウゴ!ヨンジュウロク!

 

 「レイヴン、どうだ?」

 

 「………………。」

 「……そこと、そこに居る奴。それと、向こうにいる2人だな。午後から叩き込む。」

 

 「4人だけか?」

 

 「1度に教えられる人数には限りがある。それに、多くとって全員潰しても問題があるだろう?」

 

 「それは、そうだが……。一体何を教える気だ?」

 

 「近接戦闘術と少人数の連携戦術、それと、いざという時の、“枷”の外し方だな。」

 

 「枷……?枷とは何だ?」

 

 「ツルギ。お前は戦っている最中、相手の目をわざと狙う事はあるか?」

 

 「……いや、しない。狙っても眉間だ。まさか、わざと狙えと教える気か……!?」

 

 「そうだ。首などを掴まれて持ち上げられたら、抵抗どころではないだろう?」

 「そういった危機的な状況を脱するためには、手加減などしている暇はない。彼我の実力が拮抗しているなら、猶更な。」

 

 「戦場で生きるためには、手加減などしていられない、か……」

 

 「そういう事だ。」

 

 「……手加減はしてやってくれ。お前が指名した4人は、全員1年生だ。」

 

 「了解、覚えておこう。」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 バババババッ

 ズドンッズドンッ

 ドドドドドドッ

 

 「足を止めるな!!手と足は同時に動かせ!!」

 

 「ハッ、ハイ!!」

 

 「グェッ!!」

 

 「味方が倒れたぞ!!援護はどうした!?」

 

 「ほら、立って!やられるよ!!」

 

 「遅い!!的になる気か!!」

 「自分と仲間、そして相手の位置を常に把握し続けろ!!」

 

 「あっ、当たらっ、ないっ……!!」

 

 「1発で当てられると思うな!!弾幕を張れ!!交代で撃って張り続けろ!!」

 

 「ハァッハァッ、ここなら……!」

 

 「逃げられると思ったか!?遮蔽に入っても油断するな!!」

 

 「ひゃあぁぁ!!!」

 

 バババババッ

 ズドンッズドンッ

 ドドドドドドッ

 

 「……ハスミ。あれで、手加減してるのか?」

 

 「そのはずですが……。言っている事が真っ当な分、止めづらいですね。」

 

 「動け動け!!死にたくなければ手を動かせ!!!」

 

 「「「「おっ、鬼ぃ~~~!!!」」」」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「悪くない。よくここまで喰らい付いた。」

 

 「あ、ありが、ゲホッ……!」

 

 「もう、無理……。動けない……。」

 

 「全員よくやった。これからも、移動射撃と制圧射撃の訓練は欠かすな。半年後には、チンピラ程度なら1人で制圧できるようになるだろう。」

 

 「「「「ありがとう、ございました……!」」」」

 

 オエッハキソウ……!

 ワタシモキモチワルイ……

 

 「……想定とは少し違いましたが、よく鍛えてくれました。ありがとうございます。」

 

 「奴ら4人は見込みがある。これからもしごいてやってくれ。」

 「それと、4人の内1人に盾を持たせろ。チームとして運用すれば、良い戦果を持ち帰ってくるだろう。」

 

 「人を見る目があるんだな、レイヴン。」

 

 「……恩人から、受け継いだのかもしれんな。」

 

 「……そうか。良い人だったんだろうな。」

 

 「……片づけが済んだら、お茶にしましょう。頂いた茶葉があるんです。」

 

 「レイヴン、紅茶は平気か?」

 

 「問題ない。もらおうか。」

 「その前に、あの4人は救護室に運ばんとな。」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『猛毒パンケーキ』

 

 ――シャーレ執務室――

 

 プシュー

 

 ”レイヴン、お帰……。”

 ”……一体どうしたの!?ボロボロじゃない!”

 

 「奴の自爆に巻き込まれかけただけだ。気にするな。」

 

 ”気にするなって方が無理だって!ケガはない?どこか痛む?”

 

 「痛みも損傷も無い。服がやられただけだ。」

 

 ”それなら良いんだけど……。あとでちゃんと病院行ってよね。”

 ”それと、連邦生徒会の制服で良ければ、倉庫にストックがあるから、良かったら使って。”

 

 「そうさせてもらう。シャワーも使うぞ。返り血を落としたい。」

 

 ”……やっぱり返り血だったんだ、ソレ……。”

 

 「むしろ何だと思ったんだ?」

 

 プシュー

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 プシュー

 

 「先生、食材買ってきましたよ。早速作っちゃいますね。」

 

 ”よろしくね、フウカ。今のうちに書類を終わらせちゃうよ。”

 

 「もう……。頑張るのは良い事ですけど、無理はしないでくださいね。」

 

 ”でも、フウカのご飯が楽しみでさ。フウカがご飯を作ってくれてるって思うと、つい頑張っちゃうんだよ。”

 

 「――ッ!もう!そういう事、あんまり簡単に言っちゃダメですよ!勘違いされちゃいますからね!」

 

 ”あはは。気を付けるよ。”

 

 トントントン

 コトコト……

 

 プシュー

 

 ”あっ、お帰りレイヴン。服のサイズ、あってたかな?”

 

 「少しキツイが、問題ない。どうせすぐに着替える。」

 

 「レイヴン……?レイヴンって、ウトナピシュティムにいた、あの!?」

 

 「ん?お前は、給食部の……。」

 

 「はっ、ハイ。ゲヘナ学園給食部の、愛清フウカです。あなたは、レイヴンさん、ですよね。」

 

 「ああ、そうだ。あの時以来だな。」

 

 「あの時、ハルナと話してる時、私を見てたの覚えてますからね!助けてくれても良かったじゃないですか!」

 

 「あの時はすまなかったな。作戦前に、余計な体力を使いたくなかったんだ。」

 

 「それは、凄く分かるんですけどぉ……!今度同じ景色を見かけたら、絶対助けてくださいね!」

 「攫われるのはいつも私なんです……!」

 

 「……覚えておこう。請求は万魔殿にツケておく。」

 「しかし、お前も苦労しているようだな。美食研もそうだが、噂だと、助手が妙なものを作ると聞いているぞ。」

 

 「それは、牛牧ジュリって後輩の子で、あの子自身は、凄く頑張ってくれてるんです。ただ……。」

 「ジュリが料理をしようとすると、何故か食材や料理が命をもって勝手に動き出しちゃうんです……。」

 

 「…………はっ?」

 

 ”うん、そうだよね。そんなリアクションになるよね。ただ、フウカは何一つ嘘を吐いてないんだ。”

 ”ジュリが凄く頑張ってるのも本当なんだけど、ジュリも料理が動き出すのをコントロールできないみたいで……。”

 

 「…………エア、理解できるか?」

 

 『…………すみません。私にも、理解できそうにありません……。』

 

 「ま、まあ、あれは実際に見てみないと分からないですよね……。」

 

 『――ッ!レイヴン、多数の生体反応がこちらに接近中!凄い数です……!』

 

 「――ッ!一体何だ!?」

 

 「まさか……!」

 

 ”噂をすれば、ってコト……!?”

 

 プシュー

 

 「せんせーい!フウカせんぱーい!ごめんなさーい!パンちゃんが!パンちゃんが沢山こっちに来ちゃいました~~!!」

 

 「ジュリ!?もしかして、連れてきちゃったの!?」

 

 『まさか、この生体反応、全てが……!?』

 

 ヌチャッ……

 キュー!

 ドドドドドド!!

 

 バババババッ

 ズドンッズドンッ

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「…………シャーレ。」

 

 ”……はい。”

 

 「次は火炎放射器を用意するぞ。」

 

 ”……買っておきます。”

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『災厄と凶鳥』

 

 ――シャーレ執務室――

 

 ズズ……

 

 「……奴はまだか。」

 

 プシュー

 

 「先生、失礼いたします。あなたのワカモが参りましたわ。」

 「……あら?」

 

 「……ほう。災厄の狐、狐坂ワカモが、シャーレに何の用だ?」

 

 「……黒い凶鳥、レイヴン。あなたこそ、何か先生に御用が?」

 「もし無いのでしたら、招かれざる客として、あなたを追い払わなければならないのですけれど。」

 

 「俺は奴に仕事があると言われてここに来た。それこそ、お前には依頼出来んような仕事がな。」

 

 「奇遇ですね。私も当番として、先生に招かれておりますの。あなたには出来ないような、色々な仕事をこなすために、先生に招かれたのです。」

 

 「アポは取ってある、か。なら文句は無い。普通ならな。」

 「矯正局からの脱獄犯を、今ここで見逃す理由は無い。違うか?」

 

 「……あら。やる気ですか?この部屋で?」

 

 「ああそうだ。やるか?」

 

 「ウフッ。ウフフフフフ……!」

 「良い度胸ですね、あなた……!」

 

 「その言葉、そのまま返すぞ。」

 

 グニャァ……!!

 

 「……あなたを追い出したいのはやまやまですが、今日は止めておきましょう。」

 「私とあなたが戦えば、この部屋は確実に無事ではすまないでしょうし、先生に迷惑をかけたくないのです。」

 

 「……同感だ。お前を捕えた懸賞金より、この部屋の賠償金の方が高くつきそうだ。」

 

 「それでは、一時休戦という事で。決着は、またどこかで出会った時に。」

 

 「良いだろう。覚えておくぞ、ワカモ。」

 

 プシュー

 

 ”ワカモ、レイヴン、来てたんだね。待たせちゃったかな?”

 

 「いえ!私も、ついさっき着いたばかりでございます!」

 「さあ、あなた様♡このワカモに、何でもお申し付けくださいまし♡」

 

 ”そんなにかしこまらなくても、今日はいつもの書類整理だよ。”

 ”早めに終わったら、一緒にケーキでも食べようか。”

 

 「まあ!それは楽しみですわ♡」

 「ウフフフ……!こんな邪魔な書類など、私が片づけてみせましょう……!先生、書類を頂けますか?」

 

 ”えっと、今日の分は……。これだね。一緒に頑張ろうね、ワカモ。”

 

 「はい♡あなた様のワカモに、お任せください♡」

 

 「……随分慣れているな。」

 

 「あら、羨ましいのですか?この席を譲るつもりはございませんよ。」

 

 「欲しいとは一言も言ってない。シャーレ、仕事の情報は?」

 

 ”これ。このメモリの中だよ。期限は1週間。出来るだけ、無傷で……。“持って”来てね。”

 

 「……了解。取り掛かる。」パキッ

 

 プシュー

 

 「……何か。いえ、誰かを連れてこい。そんなお仕事ですか?」

 「もしそうでしたら、私が連れてきましたのに……。」

 

 ”……そんな事は無いよ?ちょっと距離がある場所からの配達だよ?”

 

 「……あなた様がそう言うのですもの。きっとそうですよね。」

 「さあ、早く書類を終わらせて、一緒にケーキを食べましょう♡」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『ヴォーパルバニーの幼体』

 

 ――シャーレ執務室――

 

 プシュー

 

 「先生~。居るか~?って……。」

 

 「……ん?お前は……。」

 

 「ん?んん~……。どこかで……。」

 「……ああ!おっ、お前!?レイヴンだろ!?」

 

 「ああ。お前はRABBITの。シャーレに用があるのか?」

 

 「いや、私はシャワーを借りに来ただけで……。」

 「――その前に!お前、自己紹介も無いのか!?」

 

 「お前は俺の事を知っているようだからな。自己紹介など要らんだろう?」

 「それで?お前は誰だ?」

 

 「うっ……!私は、RABBIT小隊の空井サキ。ミヤコから色々聞いてるぞ。大暴れしてるらしいな。」

 「SRTが解体されてて良かったな。じゃなかったら、お前は今頃矯正局の牢屋の中だ。」

 

 「それはどうだろうな。SRTにどれほど経験があるのか知らんが、実戦を知らないのなら、技量など高が知れている。」

 

 「何だと……!?お前は私達の訓練を知らないからそんなことを言えるんだ!気ままな傭兵に何が分かる!」

 

 「訓練、か……。訓練を積むことを否定する気は無いが、それしか言う事が無いのか?」

 

 「実戦なら、先輩達はもちろん、私達だって積んでるぞ!」

 

 「ほう。例えば?」

 

 「FOX小隊は、カイザーの第2工廠に潜入して、弾道ミサイル用の違法サーモバリック弾頭を破壊してる!」

 「私達だって、D.U.の湾港から、誰にも見つからずに廃棄のドラム缶を持ち帰ってきた!それも2つだぞ!」

 「これでも、私達に実戦経験がないと言えるのか!?」

 

 「……じゃあ聞くが、お前、死が見えたことはあるか?」

 

 「はっ?どういう事だ?」

 

 「……無いならそれでいい。死線を潜らずに済むなら、それに越したことは無いからな。」

 

 「まるで、お前は潜った事があるみたいな言い方じゃないか。」

 

 「ああ、ある。それも何度もな。だから俺は今ここに居る。」

 

 「本当か?一応聞くけど、お前が一番辛かった実戦って、どういう作戦だった?」

 

 「そうだな……。ある物を護衛する依頼を受けたが、それは失敗した。俺が到着した時点で、既に護衛対象が破壊されていた。」

 

 「何だ。黒い凶鳥も失敗するんだな。それがトラウマなのか?」

 

 「問題はここからだ。護衛対象を襲っていたのは、2機の高性能機だ。キヴォトスで言うなら、地上を高速で滑るパワーローダーか。」

 「俺はそれを、生身で相手取らなきゃならなくなった。そいつらを倒した後も、パワーローダーがもう2機、自走型の破砕機6機が増援として来た。」

 「面倒な仕事はいくつもあったが、あれほど肝が冷えたのは、その仕事だけだ。」

 

 「待て待て待て!!生身で、パワーローダーを、4機撃破したのか!?出来る訳がないだろ!!」

 「それに、自走型の破砕機ってなんだ!?嘘を吐くのも大概にしろ!!」

 

 「生憎嘘じゃない。俺にも装備があったからな。やりようはあった。」

 「“外”の戦場には、お前が想像も出来ないような景色が広がっているんだ。覚えておくといい、小僧。」

 

 「小僧……!?いくつも違わないだろ!!」

 

 『レイヴン、通信です。』

 

 「シャーレからか。繋げ。」

 

 『”レイヴン!悪いけど、緊急の依頼!D.U.にある事務所ビルで、人質を取った立てこもりが起きてるんだ!”』

 『”犯人達の装備が強力で、ヴァルキューレじゃ対処が難しい!手を貸して!”』

 

 「了解した、引き受ける。今近くに、RABBIT小隊のサキが居るが、そいつらも連れて行くか?」

 

 『”もちろん!ミヤコ達にも連絡してあるから!それじゃあ、よろしくね!”』

 

 「了解、すぐに合流する。」

 「サキ、それとゴミ箱に隠れているのも行くぞ。」

 

 「ひゃうぅぅ!?」ガタガタッ!

 

 「うわっ!?ミユ、居たのか!?」

 

 「じ、実は、レイヴンさんが来る、ずっと前から……!気づいてたの……!?」

 

 「……屋上にヘリを止めてある。それで行くぞ。付いてこい。」

 

 「お前に命令されたくない!」

 

 「なら徒歩で行くんだな。ミユと言ったか、来い。」

 

 「ほ、ほら、行こうよサキちゃん。」

 

 「ああもう……!付いていけば良いんだろ!!」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『狐と木蓮、それと烏』

 

 ――シャーレ執務室――

 

 コンコン

 

 ”どうぞ~。”

 

 プシュー

 

 「先生。ヴァルキューレ警備局FOX小隊隊長、七度ユキノ。招集に応じ参上しました。」

 

 ”ユキノ、来てくれてありがとう。調子はどう?”

 

 「FOX小隊全員、任務に支障はありません。いつでもご命令を。」

 

 ”えっと、そういう事じゃなくて……。ほら、カヤとカイザーの一件の後、体調はどうかなって。”

 ”結局、SRTの復活は難しくなっちゃった上に、ヴァルキューレに転向したわけだからさ。”

 

 「そういう、事でしたか……。失礼しました。」

 「体調自体は、全員好調です。ただやはり、心理的な面で傷が残っています。」

 「SRTの復活のため、私達がやっていたことは、正義とはかけ離れた事でしたから。」

 「その上で、レイヴンに、あんな目に合わせられたものですから。特にニコが、難しい所です……。」

 

 ”やっぱり、そうだよね……。RABBITの皆と一緒にお見舞いに行った時も、私達が入った時にちょっと怖がってたからね。”

 ”今回の仕事で、FOXの皆とレイヴンが、仲直り出来ればいいんだけど。”

 

 「仲直り、ですか……。簡単には行かないでしょうね……。」

 

 プシュー

 

 「初めまして。あなたが先生?」

 

 ”そうだよ、初めまして。君が――”

 

 「カーチス少尉!お会いできて光栄です!」

 

 「ハァ……。敬礼はやめて。私はもうSRTじゃない。」

 

 「しょ、承知しました。少尉。」

 

 「階級呼びもやめて。マグノリアでいい。」

 

 「……承知しました。ミス・マグノリア。」

 

 「……もうそれでいいわ。」

 「改めて、初めまして。ブルー・マグノリア。独立傭兵よ。よろしく。」

 

 ”う、うん。よろしくね、マグノリア。”

 ”マグノリア、この子は七度ユキノ。元SRTで、今はヴァルキューレに所属してるんだ。”

 

 「本日はよろしくお願いします、ミス・マグノリア。」

 

 「ええ、よろしく。聞いた所だと、カヤとカイザーに巻き込まれて、レイヴンに叩き潰されたらしいわね。」

 

 「不名誉ながら、その通りです……。これからはヴァルキューレとして、職務を全うするつもりです。」

 「しかし、1つお聞きしていいですか?ミス・マグノリア。」

 

 「ん?なにかしら。」

 

 「……何故、SRTを除隊されたのですか?貴女の実力であれば、名誉十字勲章すら、夢では無かったはずでしょう。」

 

 「……退屈だったからよ。楽しかったのは、最初の半年だけ。チンピラやごろつきの掃除とか、証拠物件の奪取とか、いろいろやったけど、結局全部退屈になった。」

 「規則や縛りも多いし、1人で出撃させてもくれない。給料も手当は付くけど、それでも大した額じゃ無いし、多少頑張った所で、貰えるのはくだらないメダル。」

 「だから、全部自分で出来る傭兵になったのよ。代償は高くついたけどね。これで満足?」

 

 「そう、だったんですね……。」

 

 「何?ガッカリしたの?」

 

 「いえ!そのような事は!」

 

 ”マグノリアの左腕も、代償の1つ……?”

 

 「そうね……。でも、悪い事ばかりじゃないわ。生身の時より力が強くなったし、ランチャーも仕込んであるから、戦闘に便利なのよ。」

 「感覚が無い事だけに慣れれば、どうとでもなるわ。」

 

 プシュー

 

 「……遅れたか?」

 

 ”ううん、まだ大丈夫だよ。あと3人、FOX小隊の子達が来るからね。”

 

 「了解した。マグノリア、ユキノ。今日は味方だ。よろしく頼むぞ。」

 

 「久しぶりね、レイヴン。今日はよろしく。」

 

 「……ああ、よろしく頼む。」

 

 ”それじゃあ、全員揃ったら、ブリーフィングを始めるよ。もうちょっと待とうか。”

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『ASSET MANAGEMENT』

 

 ――シャーレ執務室――

 

 ”やっぱりカッコいいなぁ……!行け行け、シュリーカー!”

 

 「シュリーカー?誰の話だ?」

 

 ”あえぇっ!?クロハ、居たの!?”

 

 「ああ、ついさっきからな。ノックでもすれば良かったか?」

 

 ”う、うん。今度はそうして。”

 

 『……なるほど、アニメを見ていたのですね。タイトルは、シークレットレベル。』

 『……レイヴン、アーマードコアの名前が出ています。』

 

 「……シャーレ、俺にもそれを見せろ。初めからな。」

 

 ”えっと、何を心配してるの、クロハ?”

 

 「それを作った奴が、俺の“知り合い”であるかどうかだ。もしそうなら、すぐに殺しに行く。」

 

 ”多分、関係ないと思うけどなぁ……。取り合えず、クロハも一緒に見よう。”

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ”コックピットの質感良いなぁ……!もしかして、クロハが乗ってたACも、こんな感じ?”

 

 「いや、違うな。血液を体外循環させる機能などない。その辺りはパイロット任せだ。」

 「その代わり、俺のACは、機体とヘルメットをケーブルでつなげる。機体とパイロットを同調させるためにな。」

 

 『ここまでの描写でも、私達が知るACとはかなりの差異が見られます。』

 『偶然の一致、あるいは、収斂進化と言って良いでしょう。』

 

 ”ほらね。ただの偶然だよ。たまたま、同じことを思いついた人がいただけ。”

 ”それじゃあ、私と一緒にこの作品を楽しんでみようよ。難しい事は考えずにさ。”

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ”――ほら、ここ!左腕を一刀両断!カッコいいなぁ……!”

 

 「……やるな。全員腕利きだ。」

 

 ”そうなの?”

 

 「よく見ろ。ACSが落ちた相手をシュリーカーが仕留めにかかったが、即座に相方がカバーしてる。」

 「その後は、滑らかに挟撃に移行した。間違いなくプロの動きだ。」

 

 ”凄い分析眼だね。流石クロハ!”

 ”……おおっ!真っ二つ!”

 

 「シュリーカー、いい腕だな。」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ”逃げちゃうの!?それだけ強いってことかな……。”

 

 「無理を言うな。このレベルで連携してくる相手との3対1は、俺も避ける。」

 「戦うならせめて、地形を利用して分断しなければ。」

 

 ”囲まれると辛いのは、どの世界も一緒か……。”

 ”……ヤバいヤバい、気絶しちゃってる……!”

 

 『……血液内の成分を調整して、強制的に覚醒させたようですね。私もあなたをそう起こすべきでしょうか?』

 

 「止めてくれ。それをやられると寝覚めがキツイ……。」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ”今までの相手も、全員……。”

 

 「……だろうな。あれほど高度に連携できたのも、恩恵があったからだろう。」

 

 ”…………えっ、助けるよね?”

 

 「まさか。」

 

 『………………。』

 

 ”えっ?うわ……!うわうわうわっ!あぁぁ~~……!”

 

 「まあ、そうなるな……。」

 

 『サブタイトルの、アセットマネジメント。恐らく、依頼内容はACの排除ではなく、彼ら全員の“処分”。』

 『依頼主が詳細を話さなかったのも、それが理由だったのでしょう。』

 

 ”そういう事~……!?”

 

 「フィクサーが仕事を持ってくると、こういう事はままある。だから俺は、詳細が確認できない仕事は受けない。」

 「こいつは、そうはしなかったようだがな。」

 

 ”傭兵の常なのかぁ~……!ねえクロハ、今からでもシャーレ専属にならない……?”

 

 「お断りだ。」




山海経の生徒が1度も出てきてないのは許してください……。
先生がレイヴンを山海経に連れて行ったりしない限り、接点が無いのです……。

これの次は、本編世界線にレイヴン達が実装される時のイベストになると思います。
プロットを整えておりますので、気長にお待ちください。
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