(セ・リーグ、ヤクルト8-1阪神、23回戦、阪神14勝8敗1分、21日、神宮)主砲の穴は、主将がカバーした。ヤクルト・山田哲人内野手(33)が先制の11号ソロを含む3安打2打点。村上がスタメンを外れる中、約3カ月ぶりの猛打賞(1試合3安打以上)で15安打8得点の大勝に導いた。
「自分のポイントでいい形でスイングができた。(村上欠場の中で)打線もつながっていたし、良かった」
らしさ全開の一撃で号砲を鳴らした。0-0の二回先頭。伊藤将の直球を完璧に捉え、左翼席まで運んだ。三回には右越え二塁打。五回1死一、二塁では左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、打者一巡6得点のビッグイニングを演出した。
現役選手では今季限りで引退する中日・中田を抜いて単独2位となる通算310本塁打目(1位は西武・中村剛の481本)。勝利打点が通算100度目に到達した。球団では若松勉、古田敦也、池山隆寛に次ぐ4人目。過去3度、トリプルスリー(同一シーズン打率3割、30本塁打、30盗塁以上)を達成するなど、勝負強い打撃で通算913打点を挙げてきた右打者がまた球団史に名前を刻んだ。
この日はチームトップの19本塁打を放つ村上が上半身のコンディション不良から1軍復帰後、初めて先発を外れた。20日の中日戦で2試合連続で途中交代し、高津監督は「ちょっと体調がすぐれない」と説明。この日は「日に日に良くはなっているので大丈夫だと思う」とした。悔しさを押し殺して、ベンチの最前線で声を張り上げた4番の鼓舞にチーム一丸で応えた。
2度にわたり計58分の雨天中断に見舞われた中、セ・リーグ覇者の阪神に快勝。その主役は間違いなく山田だった。「僕自身も一年間もがいていますけど、今日みたいな打撃を続けていきたい」。残り10試合。背番号1がバットでファンを魅了する。(樋口航)