BLUE ARCHIVE -SONG OF CORAL-   作:Soburero

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ガッツリ戦闘回かつ短めです。
読みづらかったらユルシテ……。

Q.パヴァーヌ本編、レイヴンが関わってないけどいいの?
A.1章はレイヴンが入り込む隙間が無いんですよぉ!
 2章から関わらせる予定なのでお待ちください!


18.カイザー第6工廠襲撃

 『独立傭兵レイヴン、ミッションを説明しましょう。』

 

 『依頼主は、エーデル・サイエンス社。目的は、ゲヘナ郊外に位置する、カイザー第6工廠の破壊となります。』

 

 『この工廠は、大規模でありながら、ほぼ人の手を必要としない自動工場であり、多数の自律兵器によって防衛されています。』

 

 『工廠外周は自動タレット、内部には戦闘用ドローンなどが展開されていますが、どれも時代遅れの粗悪品です。あなたの脅威ではないでしょう。』

 

 『また、今回の報酬は工廠の破壊規模に応じて支払われます。特に、防衛兵器群は高いスコアが設定されていますので、重点的に狙ってください。』

 

 『当然、依頼主は今回の攻撃で全て破壊できるとは考えておられません。最終的にはそちらの判断ですが、無理はしない方が良いのでは?』

 

 『説明は以上です。』

 

 『エーデル・サイエンス社との繋がりを強くする好機です。そちらにとっても、悪い話では無いと思いますが?』

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「工場を攻め落とせ、か。随分と過激な依頼だな。」

 

 輸送ヘリ、レイヴンの移動拠点“ストーカー(コウノトリ)”の中で、簡易ベッドに腰掛けながら独り言つ。

 ルビコンではそう珍しくも無い、要所を攻め落とせ、という依頼だが、キヴォトスではあまり見かけない仕事だ。

 

 『確かに、キヴォトスではあまり見ない仕事ですね。やはりルビコンとは勝手が違うのでしょうか?』

 

 「まあ、そうだろうな。表立っては動けないんだろう。」

 

 ルビコンでは『邪魔だから殺せ。』の一言で片が付くのだが、ここではそうも行かない。

 企業がこのキヴォトスで敵対勢力を攻撃したいなら、それなりの理由が必要になる。

 さもなくば、敵対勢力から政治的に突っ込まれることになる。

 今回、仲介人が俺に攻撃理由を話さなかったのも、依頼主の本音が外に漏れることを警戒しているのだろう。

 

 「エア、この工廠と、エーデル・サイエンス。こいつらについて情報はあるか?」

 

 『まず第6工廠ですが、カイザーインダストリー初の完全自動工場だそうです。カイザー本社によって、大々的に宣伝されていました。』

 『エーデル・サイエンスは、カイザーと競合関係にある、先端技術企業です。』

 『最近、カイザーがゴリアテの新型を発表していたので、これの開発、もしくは生産を妨害したいという考えでしょう。』

 

 「それが工場の襲撃に繋がるとはな。どうも理由はそれだけじゃなさそうだ。」

 

 『同感です。これは予想ですが、この依頼によって、私達の実力を計ろうとしているのかもしれません。』

 『あるいは、更なる攻撃のための、強行偵察でしょう。』

 

 エアの言葉を聞きながら、ナイトフォールを見つめる。

 こいつの機動性であれば、上空から侵入して、防衛網を突破することは難しいことではない。

 そして工場であれば、生産ラインはもちろん、変電施設や資材保管庫、緊急用の発電機なども備えているはず。

 そこを破壊できれば、工場は簡単に機能を停止するだろう。

 そうなれば、依頼主が俺にやって欲しいであろう、防衛兵器の破壊には無理に付き合う必要は無い。

 そして、無人工場という事は、工場全体の制御は自動プログラム、もしくはAIによって行われていると考えていいだろう。

 それが格納されているサーバーを破壊するか、エアが制御を滅茶苦茶にしてやれば、復旧も難しくなるはずだ。

 

 「ふむ……。防衛兵器と要所を破壊したら、すぐに離脱した方が良さそうだな。」

 

 『そうですね。工廠全体の詳細が分からない以上、慎重に動くべきです。レイヴン、どうしますか?』

 

 「……依頼を受けるぞ。これをこなせば、俺とナイトフォールの良い宣伝になる。」

 

 『分かりました。では、いつ仕掛けましょうか。』

 

 「夜に仕掛ける。カイザーもそうだが、風紀委員会に動かれると厄介だ。」

 「一気に仕掛けて、要所を破壊し、迅速に離脱する。いいな?」

 

 『分かりました。派手に行きましょうか、レイヴン。』

 

 立ち上がって弾薬箱を引き出し、ナイトフォールの傍に置く。

 箱を開いて弾帯を取り出し、ガトリングの弾倉へと詰めていく。

 せっかくのパーティーなんだ、たっぷりの花火をお見舞いしてやろう。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ナイトフォールを着こんで、システムを起動、各部機能をチェックしていく。

 オールグリーンの表示が出たことを確認してから、ヘリ内部の中央に立つ。

 すると、ヘリの天井から2本のアームがこちらに向かって降りてきて、両肩の付け根のあたりを掴んだ。

 

 『まもなく作戦領域です。準備はいいですか、レイヴン。』

 

 「問題ない。行くぞ。」

 

 『所属不明機に通達、こちらはカイザー第6工廠管理システムです。』

 『貴機はカイザー社が所有する施設の上空に接近しています。速やかに進路を変更してください。』

 『変更なき場合、敵性機体と判断し、撃墜します。繰り返します。――――――。』

 

 無機質な女性の声で警告されるが、構わず出撃準備を進める。

 ヘリの後部ハッチが開いていき、体が僅かに持ち上がった後、ハッチに向けて押し出されていく。

 自身の真下に足場が無くなった所でアームが止まった。

 バイザーを下ろし、機体投下に備える。

 

 『ナイトフォール投下後、進路を変更して迅速に離脱。作戦領域外上空で待機します。』

 

 ヘリは今も第6工廠に向けて飛んでいる。

 工廠の警戒ラインギリギリで投下して、一気に突入する作戦だ。

 

 『……投下まで5秒、3、2、1。』

 『投下!』

 

 合図と同時に僅かな衝撃と共に切り離し。

 ヘリが進路を変更したことを確認してから、アサルトブーストを吹かして工廠内部に向けて突っ込む。

 

 『敵性機体の接近を確認、迎撃を開始。』

 

 工廠外部のタレットが反応し、こちらに銃口を向けようと動き始める。

 多数の銃口がこちらを捉えた瞬間、破裂音と共に50口径弾がばら撒かれた。

 機体のブースターを吹かして左右に照準を振りつつタレット4基をロックオン。

 ミサイルの親弾頭を放った。

 ミサイルは2秒ほど進んだ所で炸裂、タレットに向けて2発ずつ子弾頭を放つ。

 それをタレットが迎撃しようとする様子はなく、タレットに吸い込まれるように直撃した。

 薄くなった弾幕を掻い潜り、工廠内へと侵入、地面へと着地。

 勢いを緩めることなく進んでいく。

 目指す場所は、変電施設だ。

 

 『敵性機体が工廠内に侵入、脅威レベル上昇。』

 

 警報とアナウンスが流れると、多数のドローンが展開されたようだ。

 後ろから追い抜くように飛んできた3機のドローンが、こちらの進路を塞ぐように鉛玉を浴びせて来る。

 機体を右に振って弾幕を躱し、ガトリングを打ち込んで地面へと叩き落す。

 

 足を止めることなく順調に進んでいたが、正面の離れた距離で、装甲車が道を塞いだ。

 後ろのドアが開き、中からオートマタがぞろぞろと出てきて、装甲車の前で膝を突いて射撃体勢を取る。

 弾幕が張られる前に飛び上がり、右肩のMORLEYを展開。

 装甲車に照準を合わせ、榴弾を放った。

 砲弾は装甲車に直撃した後、炸裂。ロードブロックを大きく崩し、オートマタ達をバラバラに吹き飛ばした。

 そのまま空を飛び続け、変電施設へと向かう。

 

 『深刻な脅威と識別、SAMを展開。』

 

 兵器の展開アナウンス。対空ミサイルを展開したらしい。

 工廠の何処からかミサイルがこちらに向けて飛んできた。

 それに対し、あえてミサイルの方向へと突っ込んでいく。

 ミサイルが自身に着弾する直前で、ブースターのノズルを上に向けて急降下。

 目標を見失ったミサイルは、倉庫の屋根へと突っ込んて行った。

 変電施設に向けて進もうとした瞬間――。

 

 ドォォン!

 

 警告。9時方向。砲撃。

 アラートに従い機体を後退させると、眼前を通り抜ける1発の砲弾。

 左からは多数の足音と、重機のエンジン音が響いてくる。

 頭を僅かに左に向けると、自律戦車の砲塔がこちらに向けられていた。

 

 自律戦車に向けて急加速。

 オートマタと戦車の同軸機銃によって張られた弾幕を、左腕の太陽守と機体の装甲に任せて突っ込んでいく。

 戦車の右側に居るオートマタをガトリングによって引き裂き、左側はミサイルによって吹き飛ばす。

 戦車まで100mというところで再び警告、右にクイックブーストして照準から逃れる。

 自身の残像を戦車から放たれた砲弾が吹き飛ばした直後、オートマタの残骸を撥ね飛ばしながら戦車の後ろに回り込む。

 そのままMORLEYの榴弾によって後部のエンジンルームは吹き飛ばされ、燃料や弾薬に引火して炸裂。

 吹き飛ばされた爆破板から火の手が上がり、機能を停止した。

 

 立ちふさがるオートマタやドローンを撃破しながら変電施設に到着。

 金網で覆われたエリアの中に、変圧器や鉄塔が並んでいる。

 接近していた勢いそのままに金網を飛び越え、変圧施設の中央付近に着地。

 背中のヒートシンクを展開してヘイローアンプの出力を限界まで引き上げる。

 ヒートシンクとヘイローに赤い光が集まり、スパークし始めた。

 その光は共振を始めた瞬間に解き放たれ、変電施設を覆い尽くしなお余るほどの爆発となる。

 変圧器は吹き飛ばされて変形し、中の油に引火。

 鉄塔はアサルトアーマーの熱と衝撃によって大きく変形してしまった。

 ナイトフォールの各所の装甲が開き、蒸気を吐き出して冷却する。

 冷却されたヒートシンクを機体の中に納めることはせず、そのまま上空へ飛び出した。

 

 『警告。電力の遮断を検出。非常用電源を作動します。』

 

 『レイヴン。この工場は主に自律兵器を生産しているようです。』

 『これらの制御を奪えれば、あなたの仕事も楽になるでしょう。』

 

 「いい考えだ、やれ。」

 

 『実は既にゴリアテ1機の制御を奪っています。生産ラインの破壊はこれに任せましょう。』

 

 エアがそう答えると同時に、倉庫で出荷を待っていたゴリアテが独りでに起動する。

 それはゆっくりと歩きだし、他のゴリアテを押し倒し、踏み越えていく。

 倉庫の扉を破り、生産ラインが入った建物へと歩みを進めていく。

 建物の壁へとぶつかるが、ゴリアテはそれを気にする素振りも無く歩みを強引に進める。

 建物の中へ入りこんだゴリアテは、オートマタの生産ラインにある、沢山のロボットアームが並んだ場所へと進んでいた。

 いくら非武装と言えど、ゴリアテの体格に伴う質量で踏みつぶされればひとたまりもない。

 その上稼働中の警備システムは、このゴリアテを敵と認識できない。

 IFFを書き換えてはいないのだから。

 ラインの中に突っ込んだゴリアテは、製造途中のオートマタを弾き飛ばし、ロボットアームを踏み壊していった。

 

 『警告。生産ラインの破損を検知。設備部門へ整備を依頼。』

 

 『いい感じに壊してくれますね。他のゴリアテも起動させましょう。』

 

 先ほどのゴリアテが起動した倉庫から、何機ものゴリアテが歩き出していく。

 目的地は、自らを作った生産ラインだ。

 その道中でオートマタがいくつか踏みつぶされたようだ。

 

 『あとは非常電源と制御システムを落としましょう。位置をマーカーに表示します。』

 

 マーカーが指し示したのは、工場外れにある比較的小さな建物。

 2つのマーカーがほぼ同じ場所を指している。距離もそう遠くない。

 アサルトブーストで一気に接近するが、途中でミサイルが放たれる。

 ブースターのリミッターを解放して急加速、建物へと突っ込む。

 ミサイルとの追いかけっこの途中、建物に激突する直前で左にクイックブーストで回避して着地。

 ミサイルの旋回が追い付くことは無く、そのまま建物へと激突した。

 

 『警告。メインフレームへの攻撃を検知。応援を要請。』

 

 非常用の発電機は建物のすぐ横にある。

 燃料タンクは恐らく地下にあるのだろう。

 地上をブーストで滑りながら接近、太陽守のカバーを展開して左腕を振りぬく。

 投げつけられた大量の爆雷によって、発電機はあっけなく破損。

 燃料ラインにも引火したのか、少し離れた場所でアスファルトが轟音と共に吹き上がった。

 

 建物入り口側に回り込み、ブーストの勢いそのまま突撃。

 太陽守を盾に中の壁を弾き飛ばしながら、メインフレームに向けて強引に接近する。

 6枚目かの壁をぶち抜いた先には、稼働中のサーバー群が存在していた。

 MORLEYの弾頭を焼夷弾へと切り替えて、適当なサーバーに向けて狙いを定める。

 砲弾が叩きつけられると、中から大量の焼夷剤がまき散らされる。

 爆破の衝撃によって消火システムは故障して意味をなさず、システムは火の手が広がり、自身が焼き殺される時を待つことしか出来ない。

 

 十分な被害を与えられたと考え、建物から離脱。

 辺りを見渡せば、突入する前からは考えられない惨状が広がっていた。

 辺り一面が火の海に飲み込まれ、その中にはドローンやオートマタ、ゴリアテの残骸が転がっている。

 少し立ち止まってその景色を眺めた後、アサルトブーストで外壁を飛び越え、工廠の外へ飛び出していく。

 システムが落ちたおかげか、追撃を喰らうことは無かった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 今、私の目には、カイザーが所有する工場の1つが見えている。

 その工場の中では、炎がごうごうと燃え盛り、その炎を沢山の消防車が消そうとしている。

 少し周りを見渡せば、クロノスの腕章が見えた。

 報道部がこの光景を生中継しようとしているのだろう。

 普段からは考えられない光景に、頭がかき乱されていく。

 

 「何なの、これは……。」

 

 「ヒナ委員長、お疲れ様です。」

 

 「一体何があったの?報告して。」

 

 夜警に出ていた部下の1人に歩み寄り、それに彼女は敬礼で答えた。

 私は彼女からの連絡によって、この事態が起きていることを知ったのだ。

 他の部員たちは、ヴァルキューレと協力して、交通整理や近隣住民の避難誘導をしているらしい。

 彼女は神妙な面持ちで、ゆっくりと口を開いた。

 

 「はい。近隣住民から、この工場が攻撃を受けていると通報を受けまして、10分ほどで到着したのですが……。」

 「私達が到着した時には、既にこの有様で……。」

 

 「それじゃあ、少なくとも10分でこの工場が陥落したっていうの……?」

 

 「はい……。正直、私も信じられませんが、この惨状を見たら、信じざるを得ませんね……。」

 

 「そうね……。相手は何人ぐらい居たのか分かる?」

 

 「それが、もっと信じ難い話なのですが……。」

 

 彼女が顔を下げて口ごもる。

 こんな状況だ、どんな話が聞けたとしても驚かない、と思っていた。

 実際に彼女の言葉を聞くまでは。

 

 「……たった1人だったそうです。」

 

 「……え?」

 

 「たった1人、パワードアーマーを着た誰かが、工場に攻め入って、10分で攻め落としたようなんです。」

 「どうも、凄まじいスピードで飛んでいたらしく、赤い炎と、赤いヘイローがかろうじて見えたそうです。」

 

 「……たった1人、赤いヘイロー、パワードアーマー……。」

 

 私はつい最近、似たような言葉を情報部から聞いていた。

 トリニティで正体不明のパワードアーマーが確認された、と。

 写真に写っていたヘイローからして、それの主はレイヴンかもしれない、と。

 頭の中の情報と、彼女の報告によって、私の疑念は確信に変わった。

 

 「……レイヴン。」

 

 「えっ?」

 

 「レイヴンよ。こんな事が出来るのは、レイヴンしかいない。」

 

 「……やっぱり、委員長もそう思ってましたか。どうするべきなんですかね、私達は……。」

 

 彼女はそう呟きながら、頭を掻いていた。彼女が考え込んでいる時の、癖の1つだ。

 たった1人で工場の防衛網を突破し、主要施設を焼き払い、何事もなかったかのように離脱する。

 例え、レイヴンのそれと同じ性能のパワードアーマーを渡されたとしても、私だったら、きっとできない。

 

 「……化け物……。」

 

 未だ燃え盛る炎を前に、私はそう呟くことしか出来なかった。




書いていて『これブルアカでやる必要あるのかな……?』と考えている自分と『うるせぇ!!俺が書きたいから書くんだよォ!!』とキレてる自分がずっと喧嘩してました。
創作って難しい……。

次回
C-Weapon
“ヒマワリ”もヤバいがこっちもヤバい

次回も気長にお待ちくださいませ……。
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