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J/53  作者: 池金啓太
十一話「舞い込む誰かと連れ込む誰か」
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贈り物と注文の品

「でもよ静希、この銃っていつ使うんだ?今回使うことないと思うんだけど」


「そうなんだよ、せっかく手に入ったんだけど、今回護衛だしな・・・正直使うところ無いと思う・・・」


目に見えて落ち込んでいるが静希としても手に入った銃をむやみやたらと使いたい訳ではないようだ


静希の場合能力の攻撃=道具や武器の攻撃であるために攻撃手段が増えるというのはかなりのプラスだったのだろうが、その反面攻撃力が高ければ高いほどにその制御と手加減が難しくなるのがネックでもあった


だからこそ銃などという強い武器を手に入れたことで選択肢は増えたがその分注意しなくてはならないことが増えたと思うと気が重いようだった


「まぁ銃云々は置いておいて、陽太に聞いたけどあんたら称号持ちになったんだって?」


耳が早いなと驚く半面この班全員がそのことを知っている事になった


明利には世間話程度に以前話したことがあるのだが、陽太が称号持ちになったことは知らなかったらしく少しだけ驚いていた


「陽太君の称号って何になったの?」


「聞いて驚け『攻城兵器』、すごいのかすごくないのかは俺にもわからん」


攻城兵器というとイメージとしては破城槌等が頭に浮かぶ、名前の時点で対人を目的とした兵器ではないのが分かる


それだけ陽太の攻撃力が高いことを示唆しているのだろうが高校生に与える名ではないように思える


「まぁあの技を使えばこうなることは半ばわかってたけどね・・・静希は?」


「俺は『ジョーカー』だ、名付け元になった事件が海外だったのがちょっとな」


日本で事件が起きていたらそれなりに日本らしい和風名になったのだろうが、海外ということで称号がジョーカーになってしまったのもまたなんとも言い難い状況である


この班の落ちこぼれと呼ばれた二人が天才鏡花よりも先に称号を手に入れることになるというのもまた不可思議な状況だった


「私ももうちょっと活躍した方がいいのかしら、なんか最近ずっと後始末ばっかりしてる気がするのよね」


「まぁそれに関してはすまんとしか言いようがないけど、確かにもうちょっと自己主張してもいいんじゃないか?あんまり表立って活動しないだろお前」


静希の言う通り鏡花はなぜかあまり自ら進んで行動するということがない


指示系統をほとんど静希に託しているからというのもあるのだろうが彼女の得意とする大質量の変換をあまり多用しないところにも何か意味があるのだろうか


「まぁ、疲れるからってのもあるけど、中衛がそこまで出しゃばってもしょうがないでしょ?それに私いなくてもこの班回りそうだし」


「いや・・・鏡花さんがいないとこの班、ていうか陽太君が大変になると思う、今陽太君の担当ってほとんど鏡花さんだし」


あー確かにと静希も同意する


この班で唯一の前衛であり強力な強化能力と発火能力を保持している陽太


良くも悪くも彼は前衛向きの性格と能力をしているわけなのだが、前衛向きすぎる性格のせいで周りの声が聞こえない事が稀にある


そういう時の為のストッパーとして鏡花は必要不可欠なのだ


鏡花のおかげで洗練されていく陽太の能力、もう静希では負傷させずに止めることは不可能だと言ってもいい


味方として頼もしくなればなるほどにその制御に苦労してしまうのだ


「それにお前がいないと中衛の防御担当いなくなるだろ?俺防御からっきしなんだからさ、誰が明利を守るんだよ」


「そこは『明利は俺が守る!』くらい言ってのけなさいよ、剣持って騎士様っぽくさ」


陽太がそんなシーンを想像したのだろうか数秒間呆けた後に吹きだして腹を抱えて笑いだす


静希とてそんな状況を想像したくもない、何よりキャラじゃない


鏡花も鏡花で自分で言い出したくせに笑いをこらえながら肩を震わせている


唯一明利だけ僅かに頬を赤く染めてちらちらと静希の方に視線を向けている


そんな目をしても言わないからなと釘を刺しつつテーブルの上にあった資料を軽く片付け始める


「一応確認しておくけどもう決めることとかないよな?」


「ないんじゃない?後は各個人の持ち物くらい?明利の種がたくさん必要かもね」


「うん、足りなかったらホームセンターとかで買ってくるよ」


「護衛なんて初めてだからなぁ・・・やっぱスーツにサングラスか?」


バカ言ってないで片付けるわよと鏡花にたしなめられながらも陽太の言いたいことは非常によくわかる


スーツにサングラスというとどちらかというとSPのような気がするが護衛とSPなにが違うのかは静希にも理解できないので放っておこう


「あ、そう言えば今回も一応犯罪者と顔合わせることになるかもなんだよな?」


「そうね・・・あぁ、ひょっとしてあの仮面また作るの?」


刑務所の制圧時に着用していた仮面、当時囚人に顔を覚えられないためにも顔を隠したが恐らく今回もそういった注意が必要かもしれない


今までかかわった事件の中で人と関わるものも多かったが何より犯罪者と関わるということは少なかったために考える必要がなかったが、これから増えるのであればいっそのこと標準装備としてしまうのもありかもしれない


犯罪者と関わるかどうかは分からないが顔を隠すという目的以外にも顔を保護するという意味合いでも仮面というのは非常に有用性が高い


鏡花の能力があれば視界制限のない仮面だってできるだろう


一考の価値はある内容だった


「どうせまた無線つけるなら仮面と一体化させちまおうぜ、そんでもってもっとデザインをカッコ良く!ついでに画面とかで映像やら画像が映せると面白くね?」


「あんた私に何期待してるのよ、デザインと無線はいいけどそんなディスプレイみたいな事変換だけでできるわけないでしょ」


そこまでこり始めると電子工学などの知識まで必要になってくる上に鏡花の負担が一気に何倍にも膨れ上がることになる


仮面を作ること自体には賛成なのだがそこまで大仰なものを作るとなると一人二人の力ではどうしようもないだろう


「どういうデザインにする?前回みたいなのでいいの?」


「いや、通気性はよくしてほしいな、それにいちいち着脱しなくてもいいように必要な時だけ仮面としての機能が使えるといいかも」


また面倒な注文をと嘆きながら鏡花は何も書いていないコピー用紙に軽く自分の考えている仮面の図を描いていく


あえて外部を見る為の穴を開けるのではなく内側からのみ透けるような構造にするようだった


特殊な材料を使えば何の問題もない構造をしているのだが静希の言う注文が難しい


要するに普段はしまっておけるあるいはただのヘッドセット代わりに使用でき、必要な時に仮面としての機能を発揮するようなものだ


少なくとも折りたたみか収納されるような構造が必要になる


構造上不可能ではないもののいくつも案を出していくうちに鏡花は頭を抱え出してしまう


「一応考えておくけど、そんなに大したものは期待しないでよね?」


「もちろん、店に出てるような物を出せとは言わないって、そこまでの物は期待してないよ」


ふぅんと鏡花は何やら対抗心を燃やしたのか原案としていくつか絵を描いた紙をファイルにしまってしまう


専門家の作る機械ならまだしも鏡花はその手の知識はあまりない


造形や構築などの知識は変換能力のおかげで人一倍もっているだろうが機械などの電子系部品の使われている物はあまり得意としていないはず


そう思っていたのが間違いだったのかもしれない


翌日、静希の誕生日


学校が終わり一班の面々に雪奈を混ぜた五人は静希の家に集まっていた


「えー、十六歳の誕生日おめでとう!ハッピーバースデートゥ静!」


料理とケーキが並ぶ中静希の誕生日会は始まった


全員からプレゼントを贈られ静希は軽く笑いながら受け取ったプレゼントを開け始めていた


雪奈からのプレゼントは仕込みナイフ


所謂服の裾や靴の底に隠しておける小型のナイフだ


こんなものを渡すあたり雪奈らしいと言ったところか


陽太からはエアガンなどに用いられる銃のホルダー


恐らく昨日の帰りに買ったのだろう、袋の中にはレシートが入っていたがこれはありがたい、持ち運ぶにもどうしたものかと悩んでいたのだ


「なんだか二人とも無難なものなのね」


「おおよ、結構悩んだぜ」


「本当は日本刀にしようかとも思ったんだけど、それだとオルビアちゃんが妬いちゃうからね」


実用的な物を贈った前衛二人はふふんと胸を張っている


前衛型はどうしてこうも反応が分かりやすいのだろうかと思いながら鏡花は袋の中に入れていたものを取り出す


一つは長細い箱、残りはいくつもの小さな箱だった


「なんだこれ・・・?鞘?」


長い箱から取り出されたのは装飾が少なく、それでいて洗練された形をした両刃剣用の鞘だった


軽い金属でつくられており、ベルトに取り付けられる様に留め金なども付けられている


「あんたオルビアを使う時いつもトランプから出すでしょ?能力ばれないように普段はこっちに入れておいた方がいいと思ってね」


「おぉ、有り難いな、さっそく入れてみるか、ひょっとして自作か?」


当然でしょと誇らしげに笑う鏡花を見ながらオルビアを呼び寄せて剣を預かり鞘に納めてみると寸分違わず見事に鞘と一致する


剣の鞘はオルビアが身体を現した時にはちゃんとあるのだが、それはあくまでオルビアの身体の一部


剣が本体である彼女の鞘だけを取り出す訳にもいかないために普段所持する時は抜き身になってしまうのだがこれならいつでも所有武器として認められるだろう


「どうだオルビア」


「素晴らしい出来です、鏡花様、誠にありがとうございます」


「でもよ、こっちは何なんだ?」


陽太が小さな箱をいくつも眺めていると鏡花は僅かに笑う


「そっちはご注文の品よ、こっちの方がずっと苦労したわ」


箱の中から取り出されたのはいくつものヘッドセットと思わしき物体


だがそれらはどれもデザインが違う


固定箇所を首にしている物もあれば頭に取り付けるタイプ、耳に取り付けるタイプ、顔を挟み込む形、様々だった


「お、ひょっとして仮面か?」


陽太が手にとって一つをとりつけてみる


横から鏡花が手を伸ばして微調整すると陽太にジャストフィットする形に変換され、さらに何かいじると陽太の顔を覆うように仮面が現れる


全面黒い材質の仮面は表からは顔が全く見えないがどうやら内部からはよく見えるようになっているようだ


マジックミラーではないが光の調節によって内部からのみ光を透過するようになっているようだ


誤字報告が五件たまったので複数投稿


ここはできるなら分けて投稿したかったけれど、仕方ないですね


これからもお楽しみいただければ幸いです

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