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J/53  作者: 池金啓太
十話「壁と屋上と晩夏のある日」
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緊急準備

静希達はすぐさま家に帰って各自準備を進めることになる


陽太、鏡花、熊田に関してはほとんど準備は必要ないが静希と明利、雪奈は所持品によってできる行動が大きく変わってくる


猶予はあまりない、静希はできる限りの装備をかき集めてカバンの中に突っ込んでいく


今回はすでに戦闘を行うことが前提となっている節がある、なにせ籠城している犯人を叩かなくてはならないのだから


静希が装備を整えていると来客を告げるチャイムが鳴る


オルビアが即座に対応すると、どたどたとリビングに向けて来訪者が駆け足でやってくる


何とはなしに気付いてはいたが来訪者は雪奈だった


「静!ナイフ足りない!貸して!」


「もうさっさと自分の用意しろっての!適当にもってけ!」


自分の部屋を指さして今手が空いていないことをアピールすると雪奈は何のためらいもなく静希の部屋に入っていき何本かのナイフを拝借していく


もはや恒例行事となってしまっているがそんな事にいちいち目くじらを立てていては雪奈の弟分なんてやっていられない


「ほら急げ、時間ないんだから」


「待ってよ!まだ選んでるんだってば!」


まるでアクセサリーや服を選ぶかのようにいくつものナイフを手にとってあぁでもないこうでもないと試行錯誤している


雪奈の基本的な選択基準は使いやすさと性能だ、その武器のデザインなどはまったく無視される


その手に持っているのがナイフでなければ年相応の女子高生に見えるのだが、いかんせん物騒すぎる


「もぉ・・・こういう時に私らみたいなのは面倒なんだよ、陽みたいにぱぱっと使える能力だったらなぁ」


「ない物ねだりしてどうする、早くして、室内戦になるだろうから俺もいくつか持ってくんだから」


雪奈の言う通り陽太のように身体一つあれば能力を自由に発動できる能力と違って雪奈の能力は道具の有無によって発動さえできないような状況がある


主に付与、収納系統に多い悩みだ


道具に対して能力を発動するタイプの能力者はこういった悩みに度々直面する


事前準備を行えない場合一番困るのがこの二つの系統だ


道具に依存しない他の系統の能力者は基本的にそう言った苦労がない


明利の場合同調でありながら普段植物の種を利用しての索敵を行うことが多いためよく種を持ち歩いているがそれは明利が特殊なだけである


いくつかのナイフを見つくろいカバンに入れすぐに装備できる状態にした後静希達は急いで家を出る


約一時間ほどかけて準備した為にそれなりのものはできたが万全とはいえない


本当ならトランプの中身を完全な室内戦用のものに変えておきたかったのだがその時間はなさそうである


「お、来た来た」


「遅いわよ」


「無茶言うなよ、こっちはいろいろ準備があるんだよ」


校門前につくとそこにはすでに陽太と明利、鏡花の姿があった


やはり基本準備の楽な三人は行動も早い


そして静希達が来たのとほぼ同時に熊田も駆けつける


熊田も多少道具を使っての攻撃をすることが多いため準備が必要だったのだろう


こういう突発的な行動開始は勘弁願いたいところだ


もっとも事件発生を予告するようなテロリストはあまりいないだろうが


「とりあえず先生呼ぶ?ていうか移動手段とかまったく聞いてないけど」


今更ながらまったく綿密性のない計画に呆れながら静希は今回の現場となる刑務所を資料で確認した


刑務所は電車で一時間程度の郊外に存在しており、周囲は森林を多く設置していて環境的にはとてもいいところと記されている



刑務所が環境にどう影響しているのかは静希達には理解できないが少なくとも遠くはない


「せめて車だったら自由にだらけられるんだけどね・・・免許はあっても車がないしなぁ」


鏡花が電話で城島を呼び出している間に雪奈は自分の免許証を取り出して嘆いている


この中で自動車などの免許を取得しているのは雪奈と熊田、そしてつい最近免許を取得した静希のみ


年齢無視の資格取得制度のおかげで免許自体は特に問題なく取得することができたが問題は運転するための自動車がない事でもある


バイクなどの二輪車でもいいのだが高校生の財布事情としてはバイクだって非常に高価な代物だ


「いっそのこと全員で金出しあってワゴン車でも買うか?そうすれば使い放題じゃね?」


「お前な、買うのはいいけどその金はどっから出すんだよ、それに税金だってかかるんだぞ、購入費と維持費に見合うとは思えないぞ」


静希達は能力者で国からいくつも援助を受けられるが自動車などは基本的にその援助の対象外になる


もっとも能力を使うことに車などが関係している場合は別だが静希達の中に車を媒介にして能力を発動するような人間はいない


安くて購入に何十万、そして月々にかかる税金でさらに金が飛ぶ、仮にこの六人で金を出し合ったとしても相当の出費を強いられる


高校生からすれば到底無理な話だった


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