長崎県大村市では今年、新型コロナウイルス禍で一度は休止した国際交流が再び活発になっている。米国の姉妹都市を公式訪問して、大村の風景を描いた壁画の除幕に立ち会ったほか、間もなく閉幕する大阪・関西万博では歴史的なつながりからポルトガル館に出展。夏には両国やイタリアに中高生を派遣した。参加した生徒らは「貴重な経験だった」と振り返り、未来への思いを膨らませた。
同市の姉妹都市の一つ、米国サンカルロス市。サンフランシスコ近郊のシリコンバレーに立地し、アップル本社やスタンフォード大にも程近い。2012年、英語圏との交流を模索していた大村市と姉妹都市関係を結んだ。偶然にも、内海に面した景観が大村によく似ているという。
提携10年を記念した公式訪問団はコロナ禍の影響などで延期になっていたが、5月に訪米。大村の風景が描かれた壁画の除幕式に園田裕史市長らも参加し、現地の新聞でも報じられた。
米国だけではない。9月には大阪・関西万博のポルトガル館に大村市ブースが置かれた。戦国時代に領主・大村純忠が送り出した天正遣欧少年使節が滞在した歴史を踏まえ、同国シントラ市と姉妹都市となっている大村市。万博では交流の歴史を伝えるパネル展や、郷土銘菓「へこはずし」の配布などがあった。
こうした中、市は大村の中高生10人を海外に派遣。7~8月に4人が米国、4人がポルトガル、2人がイタリアを訪ねた。
米国組はサンカルロスからの学生4人を受け入れ、その後、学生の自宅へと相互にホームステイ。ポルトガル組はシントラや、少年使節が訪ねたヴィラヴィソーザに滞在した。イタリア組は近隣市町の生徒とともにローマなど少年使節の足跡を巡った。
10人は帰国後の9月21日、「YUMEかな」と名付けた発表会に登壇。海外での気付きや学びを報告し、「楽しくコミュニケーションを取って成長できた」「留学の解像度が上がった」「英語の勉強をより一層頑張ろうと思った」など達成感や目標を語った。自分たちと年が近い少年使節の足跡をたどることへの感慨も聞かれた。
交流事業を実施した大村市地方創生推進室の永田杏実さん(23)は「海外に行く前と後では子どもたちの表情が違った。歴史が受け継がれ、市同士の交流が子どもの交流になり、さらに将来につながっている」と意義を語った。同市の友好都市、中国・上海市閔行区との交流事業も予定されている。