文部科学省は、大学の学部と大学院の修士課程を計5年の一貫教育で修了できるようにする新制度案を示した。現状の計6年より短縮することで、大学院進学を促し、専門知識のある人材を増やすという。ただこの案、本当に学生のためになるのか。(佐藤裕介)
◆原則は学部4年、修士課程2年の計6年
現在は原則、学部で4年、修士で2年学ぶ。文科省は早ければ本年度中にも大学院設置基準などを改正し、2026年度から学部を4年、修士を1年で修了できる教育課程を制度化する。
文科省の案は、
(1)学部で通常と同じように4年学んだ後で修士を1年で修了
(2)学部での4年の間に修士の単位を先取りし、修士を1年で修了
のいずれかを大学が選ぶ。文科相の認定を受けた大学・大学院が導入できるようにする。
(1)学部で通常と同じように4年学んだ後で修士を1年で修了
(2)学部での4年の間に修士の単位を先取りし、修士を1年で修了
のいずれかを大学が選ぶ。文科相の認定を受けた大学・大学院が導入できるようにする。
現在でも、特に成績が優秀な学生らを対象に計5年で修士まで修了させる特例があるが、制度化はされておらず、個別の学生の成績に応じた例外的な対応にとどまってきた。
◆大学院進学率がOECD平均を大きく下回る現状
大学院進学を促す一貫教育の制度化は今年2月、文科相の諮問機関の中央教育審議会が答申していた。この案の狙いは何なのか。
経済協力開発機構(OECD)によると、日本の修士相当課程への進学率(2020年度)は7.4%で、OECD平均の20.4%を大幅に下回る。修士の後に進む博士相当課程への進学率も0.7%で、OECD平均の1.5%より低い。
日本政府は、一貫教育の制度化を通じてこのような状況を変え「国内外における国際的な競争環境下で活躍」できるような専門人材の育成を目指す構えだ。
◆そもそも「就職先」の問題が
ただ、素朴な疑問も浮かぶ。大学と大学院の計6年で学んでいた内容を5年に短縮して修士を「量産」しようとするかのような制...
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