米国のドナルド・トランプ政府が連邦政府のシャットダウン（一時的業務停止）事態の中で、疾病予防管理センター（CDC）の数百人の職員に解雇を通知したものの、その一部を撤回する混乱が生じた。

CNNとニューヨーク・タイムズ（NYT）によると、トランプ政府は10月10日（現地時間）夜、CDC職員約1300人に解雇通知を送ったが、翌11日にはそのうち700人に対し「解雇対象ではない」という訂正通知を改めて送ったという。

米保健福祉省（HHS）の報道官は「コンピューターシステムのコーディングエラーによって誤った解雇通知が送信された」と説明し、「訂正された職員は実際には解雇されていない」と述べた。しかし、CDC職員約600人は実際に解雇されたと伝えられている。

今回、誤った通知を受けた職員には、感染症対応の中核を担う疫学調査サービス（EIS）チームや、CDCの代表的なの学術誌『MMWR（Morbidity and Mortality Weekly Report）』の発行チーム、国家予防接種・呼吸器疾患センター、グローバルヘルスセンター、公衆衛生インフラセンターのスタッフなどが含まれており、波紋が広がっている。

シャットダウンが10日目に入る中、ホワイトハウス行政管理予算局（OMB）のラッセル・ボート局長はソーシャルメディアを通じて「連邦人員削減（RIF）が始まった」と明らかにした。OMBが裁判所に提出した資料によると、今回の措置により財務省と保健福祉省を含め、最大で4000人の連邦公務員が解雇通知を受けたことが分かった。

HHSは「民主党が主導したシャットダウンの結果として、各省庁で『非必須人員』に分類された職員が解雇された」と説明した。特にCDCをはじめ、医療研究・品質庁（AHRQ）、保健資源サービス局（HRSA）などの傘下機関を中心に大規模な人員削減が進められているとされる。

NYTは「CDCのワシントン事務所全体と、一部の『疾病探偵』と呼ばれる上級科学者も解雇対象に含まれていた」と報じた。

トランプ大統領は「解雇される人は多く、その大半は民主党寄りだ」と述べ、今回の事態の責任を民主党に転嫁した。これに対し、チャック・シューマー民主党上院院内総務は「トランプ氏とボート氏が、行う必要のない解雇を独断的に強行している」と批判した。

米国公務員連盟（AFGE）は政府を相手取り、「シャットダウン期間中の違法な解雇を中止せよ」として訴訟を起こしている。