BLUE ARCHIVE -SONG OF CORAL-   作:Soburero

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!注:オリキャラが1人追加されます!ご注意ください!
ミレニアムって医療系のネームド、居ませんでしたよね……?
調べてはいるんですけど不安です……!


14.ロマンとは、振り返らない事さ

 ミレニアムサイエンススクールのハンガー。

 その1つを工房として占有している、エンジニア部。

 今、彼女たちの目の前には、ワイヤーによってヘリから吊り下げられた鋼鉄の巨人“LOADER 4”、その残骸がある。

 武装や装甲こそルビコンでの戦いで損傷しているものの、基礎フレームは全て残っている。

 彼女たち技術者にとって、垂涎の品であった。

 

 足先からゆっくりと着地させ、膝を折った状態で着地させる。

 エンジニア部の1人がLOADER 4の安定を確認して、俺達に合図を送る。

 それに従い、ヘリからワイヤーを切り離し、機体のすぐ横に着地した。

 

 「おお!これが噂の!」

 

 「ウタハ、調子はどうだ?」

 

 「ああ、レイヴン。上々だよ。こんなに素晴らしいものが見られたんだからね!」

 

 エンジニア部部長、白石ウタハはキラキラとした目で機体を見上げている。

 実は、彼女たちには既に“仕事道具”の作成を依頼しており、参考になればと、アビドスから数日かけて発掘してきたのだ。

 ただ、機体に乗ってきたのではなく、わざわざヘリで運んできたのは訳がある。

 

 「そうか。念のため言っておくが、こいつは起動不能だ。」

 

 「ん?それはどうして?」

 

 「システムがOSレベルで消えている。綺麗さっぱりな。ジェネレーターの立ち上げすら上手くいかなかった。」

 

 「うーん、それは残念だね。まあ、ハードウェアだけでも大きな収穫だ。今後に生かさせてもらうよ。」

 

 念のため輸送前に中を調べたのだが、システムプログラムが完全に消えていたのだ。

 まるで、何処かに移されたかのように。

 エア曰く、コーラルリリースの際に、俺の頭にあるデバイスに転写されたのでないか、という話だった。

 生身でスキャンやレーダーが使えること。ACSと同じ動きが出来ること。アサルトアーマーやパルスプロテクションが使えること。

 あくまで仮説でしかないのだが、それを証明する状況証拠が多すぎた。

 

 「そうだ!実はいい知らせがあるんだ!」

 

 「いい知らせ?何だ?」

 

 「こっちに来てくれ。中で話そう。」

 

 そう言ってウタハに案内されたのは、ハンガーの中。

 布のカバーが掛かった、2mほどの何か。

 ウタハがそれを引き外すと、首のない人型の骨組みが現れた。

 よく見れば、既にモーターやケーブルなどが取り付けられている。

 

 「さあ、レイヴン。どう思う?」

 

 「……フレームか?2ヶ月はかかると思っていたんだが。」

 

 依頼してから1週間も経っていないはずなのだが、全く仕事が早い。

 

 「フフフッ。私達エンジニア部を侮らないでもらいたいね。」

 「君の要望に合わせて新規設計した専用フレームだ。」

 「最初は既存のパワードアーマーから流用しようかと考えていたんだが、設計の時点で要求スペックに耐えられないことが分かってね。」

 「いっその事、私達が作れる最高のフレームを作ってしまおうと考えたんだ。」

 

 「結果生み出されたのがこのフレーム、というわけか。」

 「性能が良いことは構わないが、生産性はどうなってる?最悪、何度も新造することになるんだぞ。」

 

 「安心してくれ。時間が掛かるのは設計だけだよ。このフレームなら2、3日あれば作れるさ。」

 「それにしても、君のパートナー……。エア、と言ったか?彼女がくれた設計図を見たときは驚いたよ。」

 「私達……、いや、このキヴォトスのものとは、設計思想が全く違ったからね。」

 「戦うためだけにある、機動兵器。必要な機能を突き詰めて、余計な機能は徹底的に排する。」

 「芸術的な設計だった。感動したよ。」

 

 「……だそうだ、良かったな。」

 

 『……こう、ストレートに褒められると、少し恥ずかしいですね。』

 

 発掘中に廃墟から回収した情報を元に、エアが設計図を描き上げている。

 あくまでも草案として送ったのだが、お気に召したようだ。

 

 「そう謙遜するな。もし君がミレニアム生だったら、うちに勧誘したいくらいだ。」

 

 『あ、ありがとうございます、ウタハ。』

 

 「……ただ、少し勿体ないと思ってしまったこともあった。」

 

 『……?勿体ない、とは?』

 

 「……ロマンだよ。」

 「君の設計は、実用性をどこまでも突き詰めるものだ。それはそれで素晴らしいものなのだが……。」

 「……私としては、1つロマンが欲しいところだ。」

 

 ロマン。こいつらが言うロマンとは、自爆装置だの変形機能だの、本懐から外れた妙なものばかりだ。

 それを仕事道具に搭載されたらたまったものではない。

 

 「……こいつは俺が使うものだって事を忘れるなよ。」

 

 「もちろんだよ。道具が実用性を欠いてしまったら本末転倒だ。私達もそれはわきまえてるとも。」

 

 「……だといいがな。」

 

 「ああそうだ。実は武器も完成しているんだ。こっちに来てくれ。」

 

 そうして案内されたのは、机に並べられた4つの武器。

 これから仕事道具に搭載するはずのものたちだ。

 この短期間で武器まで作るとは。

 

 「……こいつらがそうか。」

 

 「そうだよ。君のお眼鏡にかなうはずだ。」

 

 メインウェポンとなるであろう、ガトリングガンに手を伸ばす。

 機関部に触れながら、銃身をゆっくりと回していく。

 なめらかかつ確実な動作が手に伝わってくる。

 いい仕事をするものだ。ある1点を除いて。

 

 「……余計な機能が付いているようだが。」

 

 「よくぞ気づいてくれました!!」

 「うおッ!?」

 

 いきなり誰かが横に現れて解説を始めてきた。

 確かエンジニア部の1人だったと記憶しているが、心臓に悪いからやめて欲しい。

 そんな俺の心境を無視して、人差し指を立てながら一気にまくし立ててきた。

 

 「そのガトリングガンの機能について説明させてください!」

 「それはカメラの手振れ補正機能を応用した、照準補正装置です!内部の小型モーターによって機関部ごと稼働させることで、確実に標的を捉える仕組みとなっています!」

 「補正に必要な情報は機体の各種センサーから取得して、銃本体に搭載されたAIによって敵の動きを予測してくれる優れものなのです!」

 「情報伝達は無線通信によって行われます!最大のネックである制御遅延も、ミレニアム独自開発の通信プロトコルによって最小限にとどまっています!」

 「重量増加もモーターと制御部の重量のみ!極めてコンパクトに、高精度の補正を実現することが出来ました!」

 

 「……そうか。なら、他の武器はどうなってる?」

 

 「それは私から。」

 「また出てきた……。」

 

 「この、“太陽守(TAI-YANG-SHOU)”、だっけ?これは要望通りに、大量の爆雷を投げつけられるようにしてある。」

 「カバーは新素材開発部の、軽量防弾合金を使ってる。50口径も止められるから、盾としても使えるよ。」

 「それに、これはパワードアーマーが無くても使えるようにした。駆動系がちょっと重いけど、十分実用圏内のはず。」

 「散布数とかは、Bluetoothを使えばスマホで調整できる。もうちょっといじれば、もっといろいろな機能を詰め込めるよ。」

 

 「こっちは、肩に積むための榴弾砲だったね。今は設計図通りに“MORLEY”と呼んでいるよ。」

 「これも設計図通りに作ってある、基礎部分はね。さすがに、駆動部周りに何かを仕込むことは難しくてね。」

 「だが、装填部の横にあるシールドは違った。そのシールドの後ろにロケットを積み込んで、これ自体を弾頭として使えるようにしたんだ。」

 「弾が切れても、武器自体が弾になる。素晴らしい隠し玉だと思わないか?」

 

 こいつらやりやがった。だからこいつらに仕事を投げるのは不安だったんだ。

 最後は分裂ミサイルなのだが、既に嫌な予感しかしない。

 

 「…………じゃあ、これには何を仕込んでる?」

 

 「ふむ、これは見てもらった方が早いね。」

 

 「はい!では早速準備します!」

 

 「このミサイルポッドは、分裂式のミサイルを発射する。これは要望通りだよね?」

 「子弾頭もそれぞれ別のターゲットに誘導できるようにしてある。ただそのせいで、あんまり1発の威力が確保できなかったんだ。」

 「これから爆薬の種類を変えて対応する予定だよ。」

 

 「それはありがたい話だが……。」

 

 「そうだろう?けど、これが面白いのはここからさ。」

 

 「ウタハ先輩!ターゲットダミー、準備完了です!」

 

 「よし!では起動!」

 

 カシャン

 \コンニチワ!/

 

 「………………は?」

 

 「なんと!このミサイルポッド自体が、自走タレットとなるのです!」

 「小型軽量化のために、脚部はキャタピラではなく4本足を採用しました!」

 

 「そして、これが1番重要な機能。」

 

 「さあ行け!自爆だ!!」

 

 \イッテキマース!/

 カシャカシャカシャピョン

 ドゴォォン!

 

 「敵に向けて自爆させることもできる。どうだい?素晴らしいと思わないか?」

 

 「………………何故、こんな機能を?」

 

 「フッ、そんなの決まっているだろう?」

 

 「ロマンだからだ!」

 「ロマンだから。」

 「ロマンだからです!」

 

 「……外せ。」

 

 「「「えっ?」」」

 

 「今すぐ余計な機能を外せ!」

 

 「えぇ~!?せっかく実装したのに!君の役に立つことは保証するよ!?」

 

 「何が不満なの?自爆の威力が足りなかった?」

 

 「それとも、もっと機能を説明すれば分かってもらえるでしょうか!?」

 

 「こいつは戦闘用だ!余計な機能はいらん!!いいから今すぐ外せ!!!」

 

 「はいはい、パトロンの要望には従うよ……。」

 

 「はぁ……。ロマンが分かってないなぁ……。」

 

 「そこまで怒らなくてもいいじゃないですか……。」

 

 「ハァ、まったく……。」

 

 頭が痛い。こいつらは変な機能を詰め込まないと満足しないという話は本当だったようだな。

 頭を押さえて痛みが引くのを待ってると、不意に肩を叩かれた。

 

 「あ~、ちょっといい?」

 

 「ん?お前は?」

 

 「私はMRaDの、緑谷(みどりや)ミサト。あなたがレイヴンね?噂は聞いてるわ。よろしく!」

 

 そう言いながら手を差し出してきたのは、緑髪の白衣を着た生徒。

 肩まで下ろしたストレートヘア、暗い青の瞳が特徴的だ。

 その手を掴むが、組織名は聞いたことが無い。外部組織だろうか。

 

 「エムラッド?聞いたことが無いが……。」

 

 「え、そう?一応ミレニアムの医療担当なんだけど、何でかしらね……?まあいいわ!」

 「医療研究開発会、M()edical R()esearch a()nd D()evelopment Instituteから頭文字をとって、MRaD。」

 「ミレニアムの医療についてなら、私達MRaDに任せて頂戴。」

 

 「分かった。よろしく頼む、ミサト。」

 「それで、ミレニアムの医者が何の用だ?ただ挨拶に来たわけじゃないんだろう?」

 

 「もちろんよ。今回は、あなたのテストに来たの。」

 「ウタハ!キリの良いところでアレの準備お願い!」

 

 「分かった!今準備する!」

 

 「あなたのパートナーの、エアって子が出してくれた設計図。その動力源なんだけど、ちょっと特殊なのよ。」

 

 「ヘイロー増幅変換機、だろ。お前に関係あることなのか?」

 

 あるミレニアムの生徒が、ヘイローからエネルギーを取り出せるのではないかと考えた。

 研究の結果生まれたのが、ヘイロー増幅変換機。

 俺達はそれを動力源にしようとしている。

 本来これは実用に耐えるものではないのだが、俺達には使えるという確証があった。

 

 「あるに決まってるじゃない!アレ作ったの、うちの先輩なんだから!」

 「それに、アレはあなたが思ってるほど出力を確保できるモノじゃないのよ!」

 

 「それは試してみれば分かる。」

 

 「……なんだか確信があるみたいね。とにかく、1回試してみましょうか。」

 

 「ミサト!準備できたぞ!」

 

 「ありがと~!ほら行った行った!」

 

 ミサトに背中を押され、たどり着いた先には、まるで拘束具のような椅子が鎮座していた。

 腕を広げて大の字になりながら座るような構造になっており、座面にはセンサーと思わしき丸い何かがいくつもついていた。

 何と言うべきか、座ることを本能的に躊躇してしまうようなデザインをしていたのだ。

 

 「……これに座れっていうのか?」

 

 「そうよ?大丈夫よ、痛くしないから。」

 

 「本当だろうな……。」

 

 とりあえず、座らなければ何も始まらない。

 指示に従って、おとなしく座ることにした。

 そんな俺をミサトがニヤニヤしながら見つめている。

 

 「あらぁ?あなたもしかして、注射が苦手なタイプ~?」

 

 「いいからやってくれ、手短にな。」

 

 「アッハハ!ごめんね、つい。」

 「それじゃあ、全身のスキャンから始めるわよ。」

 

 「……必要なのか?」

 

 「当たり前じゃない。あなたの体に合わせて作るんだから。」

 「それじゃあ、力を抜いて、リラックスして。すぐ終わるから。」

 

 ミサトがそう言うと、椅子から稼働音が聞こえてくる。

 頭から足先に向けて光が走っていく。

 コピーでも取られているような気分だ。

 

 「……OK。次はディープスキャンね。これも痛くないから、安心して。あ、ちょっと眩しいかも。」

 「……ん?」

 

 「どうしたんだ、ミサト?」

 

 「……ううん、何でもない。ちょっとスキャナーの調子が悪いのかも。」

 

 「それなら、後で調べておくよ。」

 

 「うん、ありがと。」

 「……はいOK。これでスキャンはおしまい。次が本題よ。」

 

 何やらウタハたちが忙しなく動き始めた。

 機材を準備しているようだが、随分と数が多い。

 ここまで必要な機材では無かったと思うのだが。

 そんな心配を余所に、着々と準備が進められていく。

 

 「各ケーブル、接続ヨシ。」

 

 「機材接地状態、ヨシ!」

 

 「デバイスセットアップ、ヨシ。ミサト、どうだい?」

 

 「……うん、これなら70%はいけるかも。負荷の接続は?」

 

 「大丈夫だ、いつでも行けるよ。」

 

 「OK!レイヴン!心の準備はいい?」

 

 「……ああ、いつでも。」

 

 「よし、行くわよ。ヘイローアンプ、起動!」

 

 僅かにピリッとした感触が走った後、先ほどよりも大きな駆動音が響き始めた。

 

 「出力、順調に上昇。」

 

 「おお!最高出力記録を更新しました!」

 

 「……待ってくれ、上がりすぎじゃないか?」

 

 「……何この出力。負荷いじってないわよね?」

 

 「もちろんだ。アンプのセッティングは?」

 

 「変えてないわよ。これ落とした方が良い?」

 

 「……いや、このまま続けよう。もう少し負荷をかけてみる。」

 

 「OK。レイヴン、もしかしたらちょっとしんどいかもだけど、我慢して!」

 

 「了解だ……。」

 

 そう言うと、さらに何かをいじり始めた。

 体調に変化は無いのだが、エンジニア部が関わっているので、いつ爆発するのかとヒヤヒヤしている。

 

 「凄い、こんなに出るんだ……。」

 

 「凄い出力です!ちょっとした発電所レベルです!」

 

 「1,000kwを超えるか……。驚いたな……。」

 

 「やっぱりおかしい……!レイヴン、大丈夫!?違和感とか無い!?」

 

 「ああ、何も問題ない。この椅子が窮屈なくらいか。」

 

 何故かミサトの焦りがひどい。

 機材トラブルというわけでもなさそうなのだが。

 

 「ウソでしょ……!?測定機器ちゃんと校正してる!?」

 

 「1週間前にしたばかりだ。私達も異常が無いことを確認してる。」

 

 「……じゃあ、これって……!」

 

 「……なあ、もういいか?」

 

 「あっ……!ご、ごめんね!付き合わせちゃって!もうおしまい!」

 

 「ちょっと待ってくれ!私は彼女の限界を確かめたいんだ!」

 

 「ダメに決まってんでしょ!それでレイヴンに異常が出たらどうすんのよ!」

 

 「……ッ!そうだった、すまない……。」

 

 機械が止まったことを確認して立ち上がる。

 だが、すぐにミサトが深刻な顔をしながら駆け寄ってきた。

 

 「レイヴン、大丈夫?めまいとか吐き気とか無い?」

 

 「問題ない。なぜそこまで気にする?」

 

 「……君のヘイローから取り出せた動力量が異常だからだ。」

 「これは平均で100w程度、電球を1つ光らせる程度がせいぜいなんだよ。」

 「それを君は、何倍もの出力を引き出している。ハッキリ言って、異常だ。」

 

 「何が原因なんだろう?ヘイローの形は関係あるかな?」

 

 「それか、レイヴンさんが持つ力に関係があるのかもしれません!デカグラマトンのトドメの爆発は、レイヴンさんから放たれたと聞いています!」

 

 何故そのことを知っているのか。

 腰に差したリボルバーに手をかけながらコトリに詰め寄る。

 

 「待て、何故その話を知っている。事の次第によっては――。」

 

 「ちょっとちょっと落ち着いて!実は、デカグラマトンを研究してる子たちが居るんだけど、あなたがアビドスで預言者を仕留めたって噂を聞いた瞬間、アビドスに走っていった子が居て……。」

 「その子が、預言者の残骸の回収と一緒に、アビドスに居た子たちに聞き込みをしちゃったみたいなの。」

 

 なるほど、こいつらが知っていてもおかしくは無い。

 少なくとも、俺達やアビドスに害意が有るわけではなさそうだ。

 リボルバーからゆっくりと手を放す。

 

 「……よく校舎を見つけたものだな。それで、どこまで話を聞いてる?」

 

 「私も詳しくは……。今話したのが全部ね。ただ、妙な壊れ方をしてたっていうのは聞いてる。」

 

 「妙、と言うと?」

 

 「……浸食されていたんだ。」

 「君を中心とした爆発に巻き込まれた部分が、浸食されていたんだよ。まるで、ごく小さな生き物に食い荒らされていたかのようにね。」

 

 「……私としても、あなたについては気になることが多いの。時間があれば、私達の実験に付き合ってちょうだい。もちろんお代は払うわ。」

 

 「……覚えておく。」

 

 コーラルリリース。

 技研によってその危険性は語られていたものの、実際にリリースした後どうなるのかは、分かっていなかった。

 コーラルの群知能への直接干渉。

 アサルトアーマーを使った直後の、“ガス欠”による気絶。

 ヘイローアンプを使った際の、異常な出力。

 突飛な話かもしれないが、俺達は――。

 

 (……レイヴン、やはり私達は、あの時……。)

 

 コーラルその物と、なってしまったのだろう。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「先生、ウタハ、来たわね。」

 

 「どうしたんだ?そんなに慌てて。」

 

 ”レイヴンについて話があるって聞いてるけど……。”

 

 「MRaDの部室じゃなくても、他に話せる場所は――。」

 

 「あまり人に聞かせる話じゃ無いの。それこそレイヴンにもね。」

 「ねえ先生、レイヴンと関わったことは?」

 

 ”えっ?もちろんあるけど、それが一体……。”

 

 「なら良かった。2人とも、これを見て。」

 「レイヴンの頭部スキャン画像。ここをよく見て。」

 

 「……小脳と大脳の間だね。どうして真っ暗になっているんだ?」

 「確か、スキャナーの調子が悪いと言っていただろう。」

 

 「最初は私もそう思ったのよ。でも、この画像を少し処理すると……。」

 

 ”……何、これ……。”

 

 「小さい何か……。デバイスの類か……!?」

 

 「そうなのよ。彼女の脳には何かが埋め込まれてる可能性がある。」

 「MRaDにもサイバネ部はあるけど、ここまで侵略的な方法は取らないわ。失った機能を補うことが主な目的なのよ。」

 「こんな、本来の機能を傷つけるような方法は取らない……!」

 

 ”……レイヴン、まさか“外”で……!” 

 

 「……なるほど、レイヴンは外から来たのか。そんな施術がまかり通るような場所から……!」

 

 ”今すぐレイヴンに連絡して、取り出した方が……!”

 

 「待って!どこにどう繋がってるかも分からないものを、開頭して無理やり取り出すわけにはいかない!リスクが高すぎる!」

 「……悔しいけど、経過観察しかないのよ。」

 

 ”そんな……!”

 

 「……ミサト、私がもっと詳しく解析できる機械を作る。それなら、君も計画を立てられるだろう?」

 

 「それは助かるんだけど……。問題は、レイヴンがこのことを知っているのか、彼女がこれを取り除くことを望むかどうかの2つ。」

 「もし彼女が望まなかったら、私達は、何も出来ない……。」

 

 ”そういえば、預言者と戦った後、すぐにレイヴンが気絶したけど、もしかしたら……。”

 

 「……これに関係があるのかもしれないね。」

 

 「……先生、彼女をよく見てあげて。何が起きても、それこそ、突然最悪の事態が起きても、何も不思議じゃないから。」

 

 ”……分かったよ。これはレイヴンにも知らせた方が良いかな?”

 

 「正直、分からない……。私個人としては、伝えた方が良いと思ってる。ただ、内容が内容だから、あの子が受け止めきれるかどうか……。」

 

 「……大丈夫だ、ミサト。レイヴンは強い。それに、先生もそばにいてくれるはずだ。きっと受け止められる。」

 

 「……そう。……そうよね。」

 

 ”私から、頃合いを見て伝えるよ。出来るだけ早く。”

 

 「……頼んだわよ、先生。」

 

 「……そうだ!先生、1つ提案があるんだ!」

 

 ”どうしたの、ウタハ?”

 

 「確実に話し合いの場を作る方法があるんだよ。“シャーレ”の権限を使えば、ね。」




いよいよ脳深部コーラル管理デバイスの存在がバレました。
ここからどう繋がるんでしょうかねぇ。
書いてる私も分かりません!

次回
メイドとカラスと先生と
秘密エージェントがメイド服を着る理由は何処?

次回も気長にお待ちくださいませ……。
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