自治体が独自提供するデジタル地域通貨の不正利用が相次いでいる。そもそも「地域通貨」とは、日本円や米ドルのような法定通貨ではなく、特定の地域内やコミュニティーに限って通用する、商品券のようなものだ。

 日本では1990年代後半から2000年代前半に紙媒体による地域通貨発行ブームが起きたが、発行を停止する事例が多くみられた。理由はコストの大きさと紙媒体の不正利用だ。

 しかし現在は従来の紙媒体に代わって、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用した方式の地域通貨がデジタル地域通貨として再び注目を集めている。その仕組みは、PayPay(ペイペイ)などのような「QRコード決済アプリ」とほぼ同様のものが主流である。

 ユーザーはスマートフォンに専用アプリをインストールして、地域金融機関の窓口やコンビニのATM、専用のチャージ機、クレジットカードなどからデジタル地域通貨をチャージする。決済するときは、加盟店が提示するQRコードをユーザーがアプリで読み取り、金額を入力してデジタル地域通貨で支払う。

 導入自治体は24年時点で130以上という。プレミアムの分があるので、それまでスマートフォンやアプリに詳しくなかった人まで利用しており、不正利用は拡大するだろう。

 警察資料によれば、電子地域通貨のチャージに無関係な第三者のクレジットカードが利用され、商品が購入されるという事案が全国で複数確認されている。デジタル地域通貨に、フィッシングで集めたクレジットカード情報が使われているのだ。

 被害に遭わないための対策としてデジタル地域通貨の運営を行っている地方自治体に対し、警察当局は、次の3点を指摘・要請している。

 (1)管理アプリに、本人確認しなければ利用できない方式を導入する(2)登録名と異なる名義のサービス(クレジットカード、銀行口座等)ではチャージできないようにする(3)登録した本人以外の第三者が管理アプリを利用することができないようにするなど利用規約を見直す―ことである。

 (1)については、マイナンバーカードとスマートフォンのフェースIDとの組み合わせがいいだろう。いつの時代も不正利用はあるので注意が必要だ。不正利用の対策が講じられない地方自治体は、デジタル地域通貨の発行を再考すべきだ。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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