ヤンマーのうなぎ完全養殖技術が実現する持続可能な未来|2028年商業化へ
はじめに
絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの持続的な利用に向けて、「完全養殖」技術の量産化が現実味を帯びてきました。国立研究開発法人水産研究・教育機構とヤンマーホールディングス株式会社、一般社団法人マリノフォーラム21が、水産庁委託事業「ウナギ種苗の商業化に向けた大量生産システムの実証事業」において、ニホンウナギの種苗生産用の新しい量産水槽を開発しました。
本記事では、ヤンマーが取り組むうなぎ養殖技術の革新と、その社会的意義について詳しく解説します。
ヤンマーのうなぎ養殖事業の概要
完全養殖技術とは
完全養殖とは、人工的に孵化させた魚から親魚を育て、その親魚が産卵し、さらにその卵から次世代を育てるという、完全なライフサイクルを人の管理下で実現する技術です。従来のうなぎ養殖は天然のシラスウナギ(稚魚)を採取して育てる方法が主流でしたが、完全養殖では卵から成魚まですべての段階を人工的に管理します。
ヤンマーの役割と強み
ヤンマーは従来から水産業向けのソリューション提供に積極的であり、IoT技術を活用したスマート養殖や自動給餌装置、水質モニタリングなどを手掛けてきました。産業機械メーカーとして培った技術力を活かし、養殖施設のオートメーション化と安定操業の実現に貢献しています。
画期的な技術革新:コスト削減を実現
新量産水槽の開発
ヤンマーが開発した新量産水槽により、1水槽あたり約1000尾のシラスウナギの生産に成功し、以前に開発した大型水槽と比較して種苗1尾にかかる飼育コストを約20分の1(1800円程度)まで大幅に削減しました。
この新量産水槽の特徴は以下の通りです:
- 低コスト製造: 安価かつ大量に製作が可能
- 効率的な運用: 1人あたり4槽程度の運用が可能
- 高い生産性: 1水槽で約1000尾のシラスウナギを生産
- 省力化: 従来の大型水槽に比べて管理が容易
特許技術の取得
この技術は2024年12月18日付けで特許(特許第7606689号)を取得しており、「仔魚を飼育するための水槽および仔魚の飼育装置」として公開されています。水槽設計においては、ヤンマーの強みである流れ場シミュレーション技術が活用され、ウナギの幼生が快適に過ごせる環境を実現しています。
人工飼料の開発
従来の課題
うなぎの仔魚飼育における大きな課題の一つが、餌のコストと入手性でした。従来はサメの卵を使用していましたが、希少で高価であることが量産化のボトルネックとなっていました。
革新的な人工飼料
水研機構とヤンマーは、希少なサメ卵に代わり鶏卵や乳タンパクなど安価な材料で作るウナギ仔魚用餌を開発しました。この技術により、安定的な飼料調達が可能となり、さらなるコスト削減と量産化への道が開けました。
商業化に向けた取り組み
実証実験の進展
現在、実証実験施設の運用が始まっており、技術の精度とスケーラビリティの確認が行われています。量産化によるコスト低下が見込まれる中、自治体や民間企業との連携による商業展開の計画も進行中です。
販売体制の整備
ヤンマーグループは、新量産水槽の販売に向けて水産研究・教育機構等と準備を進めています。これにより、全国の養殖事業者が完全養殖技術を導入できる環境が整いつつあります。
2028年の食卓へ
完全養殖ウナギは2028年には食卓に届くことが目標とされており、持続可能なうなぎ消費の実現に向けて着実に前進しています。
社会的意義と環境への貢献
資源保護への貢献
ウナギの完全養殖は、単に供給量を増やすだけでなく、自然環境への負荷を減らすという重要な意味を持ちます。天然のシラスウナギへの依存を減らすことで、絶滅危惧種であるニホンウナギの保護に大きく貢献します。
食料安全保障
漁業資源の枯渇が世界的に問題となっている中で、人工的なライフサイクルの確立は、生態系の保護と食料安全保障を両立するモデルケースとして注目を集めています。
経済効果
完全養殖ウナギの量産化により、将来的にウナギの価格が安定し入手しやすくなる可能性があります。また、新たな産業として地方創生や雇用創出にも貢献することが期待されています。
ヤンマーの企業理念と持続可能性
1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開しています。
環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、ブランドステートメント「A SUSTAINABLE FUTURE」を掲げ、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。
今後の展望
技術のさらなる進化
ヤンマーと水産研究・教育機構の共同研究は今後も継続され、さらなるコスト削減と生産効率の向上が期待されます。特に、IoT技術を活用したスマート養殖システムの発展により、より高度な飼育管理が可能になるでしょう。
産業としての成長
完全養殖技術の確立により、うなぎ養殖は新たな成長産業として発展する可能性があります。技術を導入する事業者の増加に伴い、関連産業も活性化することが見込まれます。
グローバル展開
日本で培われた完全養殖技術は、世界的にも注目されており、今後は海外展開も視野に入れた取り組みが進められる可能性があります。
まとめ
ヤンマーホールディングスが水産研究・教育機構と共同で開発したうなぎ完全養殖技術は、絶滅危惧種の保護と持続可能な食料生産の両立を実現する画期的な取り組みです。
主なポイント:
- シラスウナギの生産コストを約20分の1に削減(1800円程度)
- 特許技術による新量産水槽の開発
- 鶏卵を使った安価な人工飼料の実現
- 2028年の商業化を目指した実証実験の推進
- 環境保護と経済性の両立
産業機械メーカーとしての技術力を活かしたヤンマーの取り組みは、日本の水産業の未来を切り開く重要な一歩となるでしょう。完全養殖うなぎが一般家庭の食卓に並ぶ日も、そう遠くはありません。
関連情報:
- ヤンマー公式サイト: https://www.yanmar.com/jp/
- 水産研究・教育機構: https://www.fra.go.jp/
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