――たらおー、病院行ってきた。つかれたー。
「あら、おかえんなさい。とにかく、ゆっくりしなさいな。」
――う、うん…。
あとさ、たらお。昨日、たらお単独で、ブログ更新してくれたじゃない?
「ああ、魅惑のセルカをね。」
――セルカってKPOPアイドル風に言わず、自撮りと言いなさいな。
そんでさあ、PV見たら、私が書くのと変わらなかったの。
「あらま。ぼく、人気なのねえ!」
――もう、たらおだけで更新したら?
「それは、めんどくさいのね。」
――たらお……。自己紹介、してなかったっけね。しようよ。
「僕? 僕は新大久保のゲーゼンでとられた、ぬいぐるみなのよ。
最初、赤ちゃんが乗ってます! っていう、ハートマークのプラスティックにぶらさがってる形だったんだけど、ゆきよさんが手術してくれて、普通のクマになったのよね」
――そうそう、カッターで糸を切った。両手を吊られてたから。
っていうか、きみ、本名は、ウーフだよね?
「うーふ?」
――本当は、アメリカの、スージーズーっていうキャラクターのグッズだから。
「うん。そうなんだけど…。」
――スヌーピーみたいな哲学的な物語のキャラじゃなくて、幼児向け絵本のキャラなんだよね。
「そう。
………話の筋もあったもんじゃないのよね。そもそも僕、物語内では、主人公の妄想だから。」
――あ、そうなんだ。妄想かよ。
「だからトリとかと、同じ大きさなんだよね。
そんで話が安直でさあ、何の話でも、最後は抱きしめ合って終わるの。」
スージ・ズー いつまでもともだち/BL出版
「あ、そうそう、こんな感じ。」
――抱きー! って感じね。ハグ落ちですか。
「ハグ落ちですよ。」
――そんでさ、たらおと同じ形のスージーズーのクマ、UFOキャッチャーでとりまくったんだけどさ、たらおの目鼻のバランスが、いっちばん可愛いんだよね。
「えへへ。」
――みんな中国製だから、ばらつきがあるんだよねえ。
それで、きみに、たらおと名前をつけて…。
「なんで、たらおなの?」
――忘れた。
「ウチのぬいぐるみ仲間も、名前シブイよね。まなみとか、ほしおとか、輝彦とか。」
――まあそのへんの奴らは、おいおい紹介していきますよ。っていうか、ぬいぐるみ集めてるのは、秘密だから。子供の頃も若い頃も集めなかったのに、今、炸裂してるから。泣きながら捨てたりもしてるし。
「ナゾよね。何にハマるかわからないものよね。
………よっぱらってる時に、ぼくの曲も作ってくれたよね?」
――ああ、そうね。たらおの恋のはじまり、ね。
「たらおーのー 恋のー はじまりーはー」
――きのうのー よるのー ことだったー
「……なんか昭和歌謡っぽいわよね。」
――あと数曲あるけど、恥ずかしいから省略ね。
もう、3年くらい一緒にいるね。
「僕もまさか、アラフォー女に愛されるなんて、思ってもみなかったのね。」
――そうだよね。女子高生の間で、しばらくブームだったもんね。
でも、今、もうたらおブーム終わってるっぽいよ!?
「まじで?!」
――ユニクロでスージーズーのコラボTシャツ出てたけど、すっげえ売れ残ってたよ。
「いやあ、ぼくは絵本のキャラだから、大人の衣服には向かなかったんじゃないかな…」
――そうなんだよね、着るのには勇気がいるデザインだったよね。すごい若くて可愛い女の子ならイケルのかもしれないけど。
電車でよくチェックするんだけどさ、たらおのマスコットをカバンに付けてる子も、減ってきたよ。
「アメリカでは結構古いキャラなんだけどな…。まあ日本人は飽きやすいから。」
――でも、私は大人なので、飽きないよ! たらお好きだよ!
「………あー、ありがとう。はいはい。
明日いろいろ大変なんでしょ。あったかくして横になってなさい。」
――はーい…。たらさん、今日もおかゆ?
「おかゆしか作れないのよ」
――たまごいれて…。
「はいはい。」
うたださんがクマの曲を作った時、何でクマ? と、意味がいっこもわからなかったけど、今ならわかるのよ…。(ぼくはくまの動画がなかったのでDevil Insideでお送りしています)
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