最初の相手がロックで良かった | 日々の凧あげ通信アネックス
テーマ:
【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。

――たらおー。今日は新宿に用事があったので、『中学生円山』観てきた!
「あら、どうだった?」
――軽くネタバレするかもしれないから色変えて言うけど、コメディだけの映画じゃないですよう、これ。っていうかコメディの部分は伏線です。善悪とは何か、常識とは何かを問う、壮大なテーマになってますよ、マジで。私は泣けたけど、万人向けの映画ではないかもしれないです。あっ、そこで価値観変わっちゃうんだ、みたいな。なんかねえ、邦画っぽくない気がしたのは私だけだろうか。
「さいで。面白かったみたいで、良かったわね。」
――そんで友達とゴハン食べて帰ったんですけど…。
俺ら、最初のライブ体験が、アイドルじゃなくて良かったなあ、という話をしましたよ。
「なにそれ。」
――私、初めてのライブはチェッカーズ@西武球場なんですよ。次がマイケル・ジャクソン@後楽園球場ね。
「東京ドームですらないのね…。」
――うむ、東京ドーム、まだ出来てなかったからね。
で、その2つって、エンターテイメントなんですよ。そのあとやっと、いわゆるライブハウスに行くようになるんですよ。新宿ロフトとか。
年越しオールナイトライブとか行ったもんな、若いからさ、年越しライブ=キツイっていう発想はまったくなくて、年越しライブ=安い値段でいっぱいのバンドが見れるラッキー! ですよ。
「あほですな。」
――16歳くらいの頃ですね。意気込んで最前列に行ったものの、角度的に、バンドマンの足しか見えないのな。ピーズのハルさんの足とかな。だいたいドクターマーチンな。
そんでバンドって、若い娘にとっては、異形の者なんですよ。きったない格好してるし、タバコすぱすぱすってるし、髪金髪だし、とんでもない歌詞歌ってるし、なにしろ爆音だし。社会的にはみ出してる人たちだし。あ~価値観を揺さぶってくれるものなんだなーロックって、って、ライブで身体的に分かるというか。
「そうかもね。」
――まあバンドブームだから、ミーハーに乗っかっただけなんですけどね。でもそのあと、パンクロックと出会って、『DOLL』を愛読し、髪を立て…。
「そりゃ、かぶれましたなあ…。」
――それをふまえてから、フリッパーズ・ギターとの出会いがありまして。17歳の夏に。
フリッパーズって、バンドブームで形骸化したロックシーンに対抗して、わざとスタイリッシュを気取ったんですよ。パーフリってパンクでロックだわ~、と、私は思っていましたよ。今もですけど。
「さいで。でもさ、あなた、運いいよね。」
――なんで?
「アイドルバンドと世界的スターを見てから、ロックバンドを生で観て、フリッパーズにはまって頭でっかちになって。そんなの、あなたの世代くらいですよ。」
――いや、でも、そうなんだよね。
……今年さ、アイドルの夏フェス、山ほどやるんでしょ? それが人生初ライブですって人も、たくさんいる気、しない?
「アラフォーのお金のあるファンが多い気がするけど…。」
――でも、今話題のものって、アイドルしかないんだよ。しかもアイドル観るのがトレンドになってる。ジャニーズファンや韓流ファンは、ひそかにヲタ活してるけど、そういうんじゃない。「若い日本人の女のアイドル」を観るのがカルチャー的に流行なの。楽しく他人の青春を消費してるのよ。そしてすすんで消費される少女が多いのよ。
「甲子園を酒飲みながら泣きながら観るようなノリ?」
――甲子園見てる人は、他人の青春をオカズにしてることに自覚的なんだけど、アイドルファンって何か違うよね。
……ロマン過多?
「ろまん?」
――ロマンティストだよね、アイドルファン。私、集団アイドル見ると、あ~このうち3分の1は生理中か~辛いだろうに、とか思っちゃうもん。
「そりゃまた極端だな。」
――っていうかさ……みんな、アイドルを、ロックを見てるのと同じ気持ちで見てる感じするよね。
「そうかなあ?」
――少女たちは、パフォーマーではあるけど、クリエイターではないからなあ。
最初は歌って踊ってチヤホヤされるのを夢見て業界入りするのかもしれないけど、売れても売れなくても、現実は過酷だもんなあ。アイドルって何だろうねえ。
「何でしょうねえ。」
――アイドルが何か分からないけど、ただ一点、私、アイドル話に関してイヤな部分わかったのよ。
ロックと並列にならべられるのがイヤなんよ。
「命を削った表現がロックだとしたら、じゃあ、アイドルは削ってないっていうの? 削ってるでしょう?」
――削ってるんだよね。でも、それは、自分の意志なんだろうか。幸福なんだろうか。
つーかそれは新しい価値観の創造になっているのだろうか。
「知らんがな。」
――そういうアイドルブームに巻き込まれてる若人は、いまどんな気持ちなのかなあ、と想像したりします。
「余計なお世話でしょうなあ…。」
――そうだよね、余計だよねえ…。
「……ていうかさ、あんたガールポップ好きだけど、それは何なのよ。」
――え。ひどい目にあってる成長期のアイドルたちが奇跡的に出す美しい音っていうのがあるのよ。その音源が好き。音だけが好き。音だけにならどんなに妄想してもいいと思ってる。
「なんかいろいろ、アンタもひどいな…。」




音楽は向井秀徳さんなんだねえ。



映画「中学生円山」オリジナル・サウンドトラック/ポニーキャニオン

¥価格不明
Amazon.co.jp
AD

yukiyooさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

同じテーマ 「ブログ」 の記事
最近の画像つき記事 もっと見る >>