申立人前田記宏の精神障害等級3級の変更について若干の疑義を指摘する

 

   本件手帳等級3級への変更の趣旨について、要するに、回復しているという。しかしながら、申立人の生活状況や、寝ている間に刺される夢をみることがある、仮に、近くに住んでいるぷちくらの鼻息を仰ぎながら生活したとしても、混乱が生じるということに照らせば、できるように改善されているとはいえない。

   また、本件診断書は、申立人の刑事事件にも利用されているが、申立人の刑事事件に有利なように書いてあるものではないことから、本人がこれを是認する余地がない。

  これを前提として、令和3年11月5日に申立人は心神喪失にあったところ、その後の時代の事情の変更があって、現実の申立人から心神喪失がなくなっているとはいえない。

   本件答申は、趣味や娯楽への参加、他者との意思疎通はできない、としているが、社会手続き、食事の摂取などは、援助があればできるので、過去2年間において重篤であった形跡がないとして3級であるとする。

  しかし、申立人の状態が3級であるとすれば、申立人は、居住している行政区の周辺で、既に円滑な生活ができているはずであるところ、申立人の行動を見ても、そのようになっているとはいえない。

  さらに申立人は昨年に窃盗事件で有罪判決を受けているものであるところ、3級に回復していることを利用して検察官にかなり悪く言われている。したがって申立人がこの3級の判定を是認するとは考えられない。

   別の者の指摘ではすでに河川敷にいくこともなくなっているとするが、いかないとは限らない。現在の生活で我慢ができているから行っていないだけで、我慢の限界のときは行く可能性があるし、既にやらなくなっているとは言えない。

  それ以外の専門的な理由については追って明らかにし、現時点では以上のような趣旨で、本件処分は是認できない。

                               以上