「醬油は何色?」と問われた小学生の回答は? 考えてみよう「無意識の思い込み」
無意識の思い込みを指す「アンコンシャスバイアス」と呼ばれる概念は、今年度から一部の中学生向けの道徳の教科書に掲載され、学ぶ機会が増えてきた。東京都内で開かれた学習イベントでは思い込みへの気付きを促す問いが繰り返し参加者へと投げかけられていた。 【ひと目でわかる】裁判にも影響する「後知恵バイアス」…無意識に記憶が変わる ■「実は透明もある」 「醬油(しょうゆ)は何色だと思うかを、周りの人と話し合ってみましょう。その色を発表してくれる人は手を挙げてください」 小学校が夏休みだった8月、日本科学未来館(東京)に集まった小学生約150人に、アンコンシャスバイアス研究所(東京)の太田博子理事がこう問いかけた。指名を求め、数人の腕がピンと伸びた。 小学生の1人が「茶色」と元気に発言。太田さんが「そう思った人は?」と挙手を求めると、たくさんの小さな手が挙がった。さらに「そのほかの答えは?」と呼びかけると、「黒」「赤褐色」と口々に違う色の名が続く。醬油一つをとっても、種類や見え方はさまざまあるということに、だんだんと気付いていく。 「実は透明の醬油もある。それでも私たちは無意識に黒だとか、思い込むことがあります。そのように思い込むことをアンコンシャスバイアスと呼んでいます」。代表理事の守屋智敬さんがそう説明すると、小学生は目を丸くして聞き入っていた。 ■講座で何度も質問 アンコンシャスバイアスの解釈には諸説ある。独自の解釈を展開する同研究所はアンコンシャスバイアスに気付くヒントの一例に「男子はスカートをはかない」などジェンダー(社会的・文化的な側面での性差)にまつわるものを挙げる。 ほかにも多数意見に流されてしまう「同調バイアス」や、災害などの非常事態でも「自分に被害はないだろう」と平常時のような感覚で判断しようとする「正常性バイアス」などがある。自分の能力を過小評価する「インポスター症候群」は、「私なんて」などの言葉で可能性を狭めてしまう恐れがある。 こうした思い込みは自分やほかの誰かを傷つけ、トラブルを招く原因となることもある。