ド派手なブースに巨大なフィギュア、そして溢れる来場者……!総合ホビーイベントと化した「ワンフェス2025上海」から見る、中国トイ・フィギュア産業の現在地
今回会場を歩いてみて印象的だったのが、創業から10周年を迎えたことをアピールしているメーカーがいくつかあったことだ。おそらくは2015年ごろ、ハイターゲット向けのトイ・フィギュア事業に投資資金が流れ込み、その頃に創業した集団が切磋琢磨してここまで辿り着いた結果だろう。決して平坦な道ではなかったであろうし、コロナ前にリリースを重ねていたメーカー(と呼べるかどうかも怪しいチーム・ユニット)もかなりの数が淘汰されたように思う。そんな中国のトイ・フィギュア産業が10年の変遷ののちに辿り着いた現在地が、このド派手な上海WFだったのだ。
もうひとつ書いておくと、今回は上海WFがかつて持っていたカオスな要素がかなり整理されていた点も印象的だった。以前の上海WFは展示ブースのジャンルが整理されておらず、ロボットの隣に美少女フィギュアがあり、そのとなりにハリウッドの俳優を模したフィギュアがあり……といった感じで、かなり乱雑にブースが並んでいた。しかし今回は「ロボットもののゾーン」「美少女フィギュアのゾーン」といった感じでブースの配置が整理されており、来場者が自分の興味のあるジャンルを集中して見られるようになっていた。
これは純粋に会場運営のノウハウを積んだおかげという面もあるが、もうひとつは「整理できるようなブースが増えた」ということなのではないだろうか。2018年の上海WFの参加者に話を聞くと、初回は本当に混沌としており、そのカオス具合も面白かったという。中国のホビーシーンはそんな混沌から抜け出し、ある程度ワンフェスの出展者の傾向が整理され、それによって会場もジャンルごとにある程度まとまるようになった。つまり、中国国内の「売れ筋」がくっきりと見えてきたことにより、出展者側の展示物もそれに沿って刈り取られ、その結果会場内を整頓することができるようになったのではないだろうか。成熟したともいえるし、7年前の混沌としたエネルギーを失いつつあるともいえる現象だろう。
そういった変化もある中、おそらく今後は上海WFと日本のワンフェスの差はもっと大きくなっていくはずだ。そもそも同じ「ワンダーフェスティバル」という看板を背負っていながら、精神性が全く異なるイベントなのだから、それは当然のことである。どこまでも膨張を続けて上海新国際博覧中心の17ホール全てに広がるようになるのか、それともどこかで限界を迎えるのか。新たな潮流によって展示内容ががらりと変化するのか、今の人気ジャンルがそのまま拡大するのか。いずれにせよ、中国国内のホビーシーンの動きは想像以上に早く、またそれに対するメーカーの反応も極めて素早い。来年の上海WFではどのような風景が広がっているのか、今から楽しみである。
プロフィール
しげる
変形ロボットトイとプラモデルなしでは生活できないライター。トランスフォーマーや中国の謎ロボットプラモ、1/60スケールのオモチャが好物