第6回公明失った自民、多数派戦略見直し 「押し込まれれば解散しか…」

 公明党の連立政権からの離脱によって、自民党は多数派形成の戦略見直しを迫られている。第一関門は臨時国会での首相指名選挙だが、これを乗り切ったとしても政権運営の展望は開けない。

連載「決別 自公26年」

 公明党が、連立政権からの離脱を決めました。背景には何があったのか。少数与党のなか、孤立無援となった自民党の展望は。自公の今とこれからに迫ります。全6回の予定です。

 自民の高市早苗総裁は11、12両日、東京・赤坂の衆院議員宿舎にこもった。「高市政権」発足に向けて準備を進めたとみられる。12日は自身のX(旧ツイッター)に「人数が少なくなった自民党では、全員に役職に就いて頂かなければ、党運営も政策構築も追い付かない」と書き込んだ。

 だが公明の連立離脱で、足元は揺らぐ。公明の斉藤鉄夫代表は臨時国会の首相指名選挙で「斉藤鉄夫」に投票すると明言。高市氏が衆院(定数465)で過半数を確保するには会派別にみると37議席も足りなくなった。

 斉藤氏は12日のフジテレビの番組で、首相指名選挙で決選投票になった場合も、棄権か自身への投票が「基本」だと主張。すでに軸足も野党側に移し始めた。立憲の安住淳幹事長によると、公明幹部から野党の幹事長や国会対策委員長の会談に参加したいとの意向が伝えられたという。

取り残された自民、維新との連携模索

 高市執行部はこれまで、自公連立の継続を前提に連立枠組み拡大を模索。最有力候補として国民民主に照準を絞っていたが、国民民主まで距離を置き始めた。玉木雄一郎代表は「公明党が抜け、我々が(政権に)加わっても過半数にいかないので意味はない」。むしろ、政治改革の推進を掲げて公明に接近する。

 取り残された自民の新たな戦略に、日本維新の会が急浮上した。高市氏周辺は「国民民主だけでは足りない。日本維新の会との連携も探らなければいけない」と危機感を募らせる。衆院会派でみた議席数は「自国」が223、「自維」が231、「自維国」なら258となる。

 自民内ではもともと、小泉進次郎農林水産相が総裁に選出されることを前提に、維新が連携相手と目されていた。政策が近く、小泉氏と吉村洋文代表(大阪府知事)は良好な関係にある。小泉氏の後ろ盾の菅義偉元首相と維新創設者の松井一郎元大阪市長には太いパイプもある。国政選挙で大阪を中心に維新と激突してきた公明が離脱したことで、連携のハードルは下がった。

 自民との連立協議に応じる方針を示す維新だが、望んでいたのは「小泉政権」だった。吉村氏は10日、読売テレビの番組で「進次郎さん、菅さんは絶対に約束を破らない」と語り、ある幹部も「高市自民に積極的に手を貸すつもりはない」とにべもない。

高市氏、首相に選ばれてもいばらの道

 自民にとっての救いは、野党がまとまりを欠くことだ。野党第1党の立憲は首相指名選挙での野党候補一本化を呼びかけるが、政治的立ち位置の違いから維新と国民民主には立憲への拒否感が根強い。維新と国民民主は政策は近いものの、互いの出方を見極める構えだ。

 ただ、「立維国」の枠組みが整えば210議席となり、自民の196議席を上回る。首相指名選挙の決選投票で野党側候補が首相に選出された場合、政権交代も可能となる。自民中堅は「野党がその気になる可能性はある。臨時国会召集までの1週間でどう動くか」と警戒する。

 野党がまとまらず、高市氏が首相に選ばれたとしても「超少数与党」でいばらの道は続く。高市執行部は出だしで大きくつまずき、「刷新感がまったくなくなった」(自民中堅)。党三役経験者は、公明離脱の理由となった企業・団体献金の見直しについて、受け手を党本部と都道府県組織に限定する公明・国民民主案に立憲や維新も賛同する可能性を指摘。「公明が離れ、受け手規制までのまされれば、自民はすべてを失う。押し込まれれば衆院解散を打つしかなくなる」と話す。

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    馬渕磨理子
    (日本金融経済研究所 代表理事)
    2025年10月12日21時42分 投稿
    【視点】

    高市総理の可能性が消えたわけではありません。ただ、市場は“政治の不確実性”と米中貿易摩擦の混乱を織り込み始め、日経平均先物は一時2400円安。 「政権構図の読みづらさ」そのものがマーケットにとってのリスク要因になっているからです。金融市場は、政策整合性が取れないものを嫌います。異なる経済思想を無理に束ねれば、市場は不安定になります。 金融・経済視点から見れば。 仮に「立憲・維新・国民」の“野合的連携”が現実味を帯びれば、成長・財政・安全保障を一貫して進める政策軸が見えなくなり、海外投資家の日本への評価は確実に下がります。一方で、高市政権が実現すれば、アベノミクスを継承しながらデフレ脱却後の「成長投資×供給力強化」へと進化する可能性がある。 政局の混乱は一時的で、「政策の筋」が生き続けるなら、日経平均5万円という中期シナリオは依然として現実的です。

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高市早苗総裁

高市早苗総裁

高市早苗前経済安全保障相が、自民党の新総裁に就任しました。その後、公明党が連立政権からの離脱を表明し、26年間続いた自公関係は解消されました。首相指名選挙はどうなるのか。関連ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]

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