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「女性議員が増えることで、本当に、暮らしやまちは良くなるのか?」(小川晶群馬県議会議員へのインタビュー・聞き手:池田麻里)

2019/2/1

池田麻里

池田麻里

2018年5月に成立した「候補者男女均等法」では、女性候補の割合を50%にするよう政党に努力義務を求めている。女性議員の増加は、政治や社会にどんな変化をもたらすのだろうか。
今回は群馬県議会議員の小川晶さん。無所属、2期目。地方議員にはまだ少数の弁護士資格をお持ちです。独身女性としての葛藤もお聞きしました。

少数派の女性県議会議員として

-今、群馬県議会の中で女性議員は何人でしたっけ?

2人です。

-自民党会派にはゼロなんですね

32人いてゼロなんですよ・・・。

-まぁ割合でいうと、埼玉県議会も同程度。これが全国の県議会の課題の一つだと思っています。

-初めて当選して先輩議員の方々から「女の子」扱いされたりなどはしなかったですか?それとも腫れ物に触るような感じだったのでしょうか?

まるで宇宙人のような感じで(笑)腫れ物でもないのですが、なんだか分からない様子だったような気がします。ただ、当時はまだ1期上の阿部知世県議や安中の市長になられた茂木英子県議がいて、同期当選で自民党の女性県議も1人いたので、私を入れて4人それぞれキャラクターがあったので、私は若手で自由にやらせていただきました。懇親会などでもお酌とかもしないので。いわゆる女性がやるようなことをやらないというか。

-女性であることで何か困ったことはありましたか?

議会の中だと・・・。女性だからということで、矢面に立たされる場面がありましたね。
知事が知事公舎に女性を宿泊させているという週刊誌の記事が出た際にも、その追及は「女性だからお前やれよ」という感じで。

-女性だし、どちらかというと野党的な立場だから、そういう追及はやってくださいというようなことなのかな

おそらく。ですので、そういうプレッシャーは全部こちらにきました。知事の不適切な行いを指摘するのは大切ですが、それは女性だからというわけではありませんよね。なのに、そういう話題になると、私が担当のような雰囲気が出るのは、まだまだ遅れていると感じました。

-結果を出すためにはどういうアプローチが近道か、戦略を持った方が良いのでは、と女性に対して感じる時もあります

戦略は大事だと思います。県議会は市町村議会よりも他の会派との仲が良いと思います。選挙区が異なればライバルではないので。
私の同期も会派に関わらず皆仲が良いので、同期の他会派の議員を通じて(主に自民党会派の議員になりますが)「ここをこう変えてほしい」と提案しやすいです。委員会の視察で行きたい場所を挙げたり、こういう意見書を出したいと相談したり、根回しが出来るので、それを活かせればと考えています。

-最近、群馬県全体の女性議員の会のようなものは開催していらっしゃいますね

ぐんま女性議員政策会議といって、超党派の県・市町村の女性議員の集まりです。平成18年から続いています。

-何人くらいいらっしゃって、どのような活動をなさっているのかしら

現在の加入者は26名ほどかと思います。
基本的には、年に2回勉強会を開催し、そのうち1回は総会を兼ねていて、もう1回は知事提言を行います。その他にも役員会や意見交換会を開催しています。

-女性に関わる政策の提言ですか

女性の視点で、教育や福祉、男女共同参画などですね。

-今年の知事提言で、柱になっているテーマは何ですか?

教育、スクールカウンセラーの配置や、発達障害児支援などですね。

群馬県特有の課題としてお感じになっていることは何かありますか

児童虐待や障がい者施策、大型開発の問題など県の課題は様々ありますが、群馬特有というと外国人対応でしょうか。もともとの定住の外国人も多く、これからの受け入れ見込みも多いですので、群馬モデルとして良い形で発信できればと考えています。その提案もしていますが、なかなか県は積極的な動きではなく、どちらかというと国任せな印象です。

-もったいないですね、モデルケースとしてやっていけたら良さそうなのに

改正出入国管理・難民認定法(入管法)が話題になっている現在、群馬でしっかり出入口を改善して、不当な労働条件を解消していこうと提案しているのですけれど・・・。

-外国人定住者が増えることは、地域活性化にとってマイナス面ばかりではないはずです

群馬は、製造業と農業が基幹産業、メインになっています。観光業もありますが、あまり強くありません。製造業も農業も、どうしても外国人が必要になってきていますので、そこは群馬が注力できるところだと思いますし、群馬でできたら全国にPRできると考えています。まだ県の反応が弱くて残念です。

-外国人を受け入れたくないということなのでしょうか

受け入れたくないということはなさそうですが、議会からも、群馬県に取り組ませようという意思や発想が感じられません。他会派の県議は「それは国や国会議員の仕事ですから」という雰囲気なので・・・。

-国との太いパイプがあるからですかね

その方がラクじゃないですか、伝えるだけで終わるので。それよりも県でできることを考えましょうという発想はあまりないようで、だから全部が遅れているのだと感じます。国がやったらやりますが、他県がやっていてもたいして動きません。

-もう少し主体的に動いていただけると嬉しいですね

議会にもそういう人材を求めています。外国人対応、国連とは言わないまでも国際活動をしているような女性が議会に入ってきていただけると面白いと思っています。

-私自身も本音の部分で、女性という性にのみターゲットを絞って増やしていくこと、が良いのか迷っているところがあって。そこはどう思われますか?

長い目で見れば、とりあえず増やすことは大事だと思います。
よく話題になりますよね、女性議員の会で集まった時にも。誰彼構わず増やせば良いものではないという意見もあります。女の性別で当選しても中身がおじさんのような人もいますので、誰でも良いわけではありませんが。
じき、当たり前になってくると思うんですよ。今はわざわざ「女性」とつくほど数が少なくて、増員を求められますが、議会でも1から2割程度になれば、性別関係なく「普通」になって雰囲気も変わるはずです。当たり前になるその過程が大事だと思っています。

-さて、私も含め、独身の女性議員は良くも悪くも注目されていますが、晶ちゃんはプライベートの過ごし方などでご苦労があったりしますか?

気にしていないです、全然。池田さん、気にしていました?

-地元国会議員の秘書を車の助手席に乗せたりすると、「男と車に乗っていた!」と噂されたりしますね(笑)

そんなことしょっちゅう言われます(笑)。でも気にしていられないので、「そうですよ」と流しつつ。青年会議所活動なんかもですよね。夜、お酒の出る食事会に参加していると、「いつも違う異性と一緒にいる」と揶揄され、「その通りです!」とやり過ごして。

-気にしないのが一番ですね。本当に近い方はご理解くださるので

そういうことを気にしてしまう人は、あまり向いていないかも知れませんね。

-良い意味での図太さがないと、あとは取捨選択する勇気。先日も、議員活動や政治活動中のセクシャルハラスメントが話題になっていましたが、私自身はそういう経験がなかったので。

あったけど気にしていなかっただけではないですか(笑)

-そうかも・・・。私の周りには女性議員が多くいましたので、うまく発散できていた部分があると思っています。一方、たった一人しかいなかった場合、思いつめてしまったりするのではとも思いますね。

ネットやブログなどインターネット上のやり取りは変な方向へいってしまいがちですしね。

-夜中に送り付けられたLINEやメッセージを「なぜすぐ確認しないのか」と責められたりするのがしんどいというケースもありました。私なんかそんなもの一晩明けないと絶対に開きませんが。

私もそういう連絡には応じませんし、電話も折り返さないので、よく「いつも電話に出ない」とお叱りを受けます。

-でも、自分の身を守ることも大事だと思うんです

100%人に好かれようと思うと辛いでしょうね。
女性議員だけでなく男性議員も、地元の方に都合よく「すぐ出てこい!」と夜でも昼でも呼びつけられたりして。「こいつは俺の言うことを何でもきくんだ」と言いたい方も多くいると思うので、そういう相手との付き合い方、適度な線引きが必要だと思います。

-地方議員は秘書がいないので全て自分が最前線ですからね。

私自身の反省点は、ここのところ、そういう細かい要望や一人ひとりの相手が疎かになってしまって、それよりも自分の勉強したい課題や取り組みたいテーマの方に一生懸命になってしまっています。とはいえ、最も大事なのは政策や、課題をどう解決するかです。個々人の悩みももちろん大事ですが、少なくとも「電話に出ろ」「飲んでいるから出て来い」の優先順位は限りなく低いです。葬儀参列でさえ、正直そう高くありません。もっと、自分はこれを大事にしていこうという信念がある程度決まっていれば、あとは気にしなくて良いのではないでしょうか

-私もそう思います
-3期目に挑戦したいことや、引き続き取り組みたい政策はなんですか?

現在、障害者に関わる課題をいろいろ伺っているところですので、それをより進めたいです。社会参加やケア、就労もそうです。障害のある方の周辺におられる方(保護者、きょうだい)に対する支援も進めたいです。
DET(障害平等研修)を群馬県は熱心にやっています。それを教えてくださったのが、伊勢崎市議会議員になられた高橋さんという車椅子の方です。高橋さんと知り合って、そういう研修があるので群馬で進めていきませんかとご提案いただき、すぐ当時の委員長に打診して視察に行きました。それ以来、県庁でも毎年DET研修を開催してもらえるようになりました。小さなきっかけですが、障害の分野には足りないところが多いことに気づかされ、広がれば広がるほど知ることも増えてやりがいがあります。

-今後のご活躍に期待しています。ありがとうございました。

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池田麻里

池田麻里

池田麻里。 1975年生まれ。早稲田大学在学中に代議士事務所でインターンを経験。民間企業勤務を経て枝野幸男秘書へ。2007年さいたま市議会議員に初当選。3期12年にて引退。女性を政治の場へ送り出すために活動中。

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