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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」
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運の違い

船の構造というのはそれほど違いなどないと思っていたのだが、以前乗った小型船とはまったくと言っていいほど何もかもが違う


船での移動ということで映画などで見たことのある輸送船などを想像していたのだが、ホテルなどの室内と変わらない内装だった


床などの通路はカーペット、照明などの細部まで作りこまれているのがわかる


一体これだけの物を作るのにいくらかかったのだろうかと邪推してしまうのは致し方のないことだろうか


まず驚いたのはその大きさである


艦内地図を見ると全長三百メートル近くある、三百mというとたいしたことないのではないかと思えるが実際その中に入ってみるとその大きさに愕然とする


妙に長いだけではなく高さも相当ある、一番上の階から海まで軽く三十m近くあるのではないかと思えるほどの高さだ、落ちたら怪我では済まされないだろう


「これだけでかいとどれくらいの衝撃与えれば沈むんだろうな?」


「少なくとも氷山にかすったくらいじゃ沈まないんじゃない?」


「この辺りには氷山もなさそうだし、安定した船旅になるかな?」


すでに客船は港を出てゆっくりと陸から距離をとり始めている


海のせいでどれくらい離れたか正確に測ることはできないが、すでにちらほらと見える車や人が豆粒のように小さくなっているのがわかる


外周を移動してたどり着いた遊技場にはすでに何グループかの生徒たちが集まっていた


遊技場というだけあっていろいろなものがある、中でも目を引いたのはスロットやルーレットなどのカジノ系の設備だった


さすがに今回の乗客が学生ということもあって金銭ではなくおもちゃのコインを賭ける仕様に変更されていて何人かの生徒はすでに勝った負けたを繰り返していた


「こういうのって必ず主催者側が勝つようになってんだよなぁ」


「そうじゃなきゃカジノなんてなくなっちゃうでしょ?たまに小金せしめりゃ儲けものよ」


「お?なんだか経験があるような物言いだな」


「昔能力者ってこと内緒にして親に連れてきてもらったのよ、私の変換の力にだけ気を付けておけばいいからイカサマなんて楽なものよ」


鏡花の能力はなにも強力な変換だけではない、微弱ではあるが触れた物とその周囲の構造を理解する同調の力も含まれている


そのため触れただけでそれが何か分かるのだ、はたから見ればなにもしていないようにも見えるが立派なイカサマ成立である


「んなこといったら明ちゃんだってイカサマし放題だよ?種を相手に仕込んでおけばいいんだから」


「そうやってイカサマとかしようとするから能力者は賭博行為禁止されてんだよ」


そう、この世界において能力者は賭博行為の一切を禁止されている


能力者の賭博行為はいとも容易く、そして誰にもわからず行われる


例えばパチンコであれば念動力を起こせる発現系統能力者であればだれでも儲けられる


競馬なら予知、カードなら構造理解や思考同調、スロットなら動体視力などの強化や機械の直接操作

百%能力を封じることができない現在の科学では能力者は賭博すれば即追い出される、最悪逮捕されることだってある


それ故にこういった場所に入ることができること自体非常に珍しいのだ


「どうせだし何かやってくか」


「いいね、運でも試すか?」


「イカサマは?」


「せっかくだからなしにしようよ」


「誰が一番稼げるか勝負する?」


「いいだろう、受けて立つぞ」


全員が散らばって辺りの賭博に向かっていく中、運を持つものと持たないものというのは明確に分かれる


静希は元より運があるとは言えないもののトランプのポーカーで頭脳戦


陽太は自分の勘のみを信じたルーレット


鏡花は完全に運任せのビンゴ


明利はサイコロを転がすクラップスでなぜか勝ちまくっている


雪奈は動体視力を活かしたスロット


熊田はなんとも古風に丁半で稼いでいた


無料で支給されたおもちゃのコインを最初百枚からスタートし約一時間ほど遊び倒して最終結果


静希百十枚


陽太百十三枚


鏡花九十二枚


明利五百八十七枚


雪奈三百八十枚


熊田二百五十枚


こうして結果を見てみれば意外や意外、鏡花が最も少ないという結果に至る


「なんだ?イカサマしなけりゃ本人の運はたいしたことない感じか?」


「くっそぉ、最後の最後で欲張った・・・!あれさえなければ・・・!」


鏡花は最後に通常賭け金の五倍の金額で賭け、そして完全にすかしたのだ


それまでは四百枚となかなか稼いでいたのだが、最後の最期で詰めを誤ったというべきだろう


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