片づけ
「ありゃ、もうこんな時間か」
時計を見ながら雪奈が大きく伸びをする
すでに時刻は二十時を回っておりすでにあたりは暗くなってしまっている
「そろそろお開きとするか、ゴミの片付けもしなくては」
「いいですよ、片付けは俺がやっときますから、これ以上遅くなる前に皆帰っとかないと」
「え?でも悪いわよ・・・」
「そうだよ、私も手伝うよ?」
「気持ちはありがたいけど遅くまで女の子を残らせておく方が悪いっての、陽太は鏡花を家まで送ってけ、俺は明利を送ってく」
熊田は一人でも帰れるために問題ないがさすがに女性陣を一人で帰らせるのは憚られる
鏡花はまだしも明利は危険だ
「えぇ?静~私は送ってくれないの?」
「はは、なに言ってるんだ、雪姉は俺と一緒にお片づけだ」
「ははは、女の子が遅くまで出歩くのは良くないね、すぐ帰らなきゃ」
「オルビア逃すな」
「御意」
静希の言葉にオルビアはすぐさま雪奈の後ろに回り込み関節を決めて動きを止める
お隣さんの雪奈ならある程度遅くなっても問題なし
ここは人身御供になってもらうこととする
「雪奈様どうかご容赦を」
「は、離すんだオルビアちゃん!今度高いアイス買ってきてあげるからぁ!」
「魅力的な提案ですが、マスターのご命令には絶対です」
暴れながらオルビアの拘束から抜け出そうとしているが騎士だったオルビアの力に能力を発動していない雪奈などただの小娘、対抗できるはずもなかった
「では五十嵐、今日は楽しかったぞ、深山しっかり手伝えよ」
「熊田貴様ぁぁぁ!裏切り者めぇぇ!」
「オルビアしっかり見張っておいてくれよ」
「かしこまりました、皆様お気をつけてお帰り下さい」
さようならと一言残して雪奈の絶叫を聞きながら全員で静希の家を出る
「いや今日は楽しかったぜ、んじゃ静希明日な」
「また明日ね」
「気を付けて帰れよ」
陽太は鏡花を家に、静希は明利を家に送り届け、その途中で熊田とは別れ静希はまた家へと戻ってくる
そこにはすでに暴れることを諦めた雪奈がオルビアに組み敷かれている
「おとなしくなったのか、さてさっさと片付けはじめんぞ」
「静・・・お前はお姉ちゃんに何か恨みがあるのかい?」
「恩はあれど恨みなんてないよ、ほれ、さっさと手伝え」
くぅぅ何で私だけと悔しがりながら雪奈は渋々片づけを手伝い始める
「人間って大変ね、遊んだらいちいち片付けなきゃいけないんだから」
「そういうな、破壊と創造と同じだ、何かをすれば必ず波紋を産むのが人の業というものだ」
「なに楽しそうに喋ってるんだ?お前らも手伝え」
部屋の隅でふわふわ浮かぶ悪魔と座して動かない神格めがけ静希はゴミ袋を投げつける
「なによシズキ!私にこんなことやらせるつもりなの!?」
「シズキ、私は守り神だぞ、供物を与えられはしても何故ゴミ拾いなど」
「あぁ?」
静希が青筋を立てた瞬間一緒にゴミの片づけをしていたオルビアが無言で剣を握る
「わ、分かった、手伝おう」
「ちょっと邪薙!ここで妥協しちゃだめよ!」
「メフィストフェレス、貴女は少しは働きなさい、今ならマスターに貢献できるチャンスですよ?」
オルビアの剣がメフィに向けられる中、当の悪魔はへらへらと笑っている
「剣なんかで私を何とかしようっての?あんまりなめてると消滅させるわよ?」
メフィには物質を透過させる特殊能力がある
以前静希が戦った際、物質系の攻撃はまったく効かずに全部通り抜けてしまったのを思い出す
「なめているのはどちらですか?忘れましたか?私はマスターの能力の恩恵を受けているのですよ?」
オルビアが剣でメフィの頬をぺちぺちと叩く
「あ・・・そうか・・・あんた・・・!」
「ねえ静、あの二人サボってるけどいいの?」
「そうだな、そろそろ罰が必要かもわからんね」
静希の言葉にメフィとオルビアは姿勢をただした後にゴミ拾いを始める
「いい?あんたにビビったんじゃなくてシズキの為にやるんだからね?」
「最初からそうしていればいいのです」
互いに何やら喧騒を生んでしまったようではあるがとりあえず今日の片づけは人間二人と人外三人の手によってテキパキと行われていた
当然ながら使い魔のフィアも手伝ってくれたのだが、家具の隙間のゴミを拾ってきた際に埃だらけになってしまったので風呂に入れることにした
有り難いのだが手間が増えただけである
誤字報告をいただいたので複数投稿
鏡花と強化、物語の中で結構かぶるので気をつけていたのですが
これからもお楽しみいただければ幸いです