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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」
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班内評価

「最優秀班?」


「そうよ、C組は石動さんのいるとこにほぼ確定ですって」


学校での他愛ない会話の中、先日も鏡花の口から出てきた単語に静希を含めた班員が首をかしげる


最優秀班は文字通りそのクラスの一番優秀な成績をとった班に贈られる称号のようなものだ


「それとるとなんかいいことあるのか?」


今まで絶賛劣等生街道を猛進してきた静希にとってまったくもって興味のない事柄の為に静希の脳にそのような単語は欠片たりとも存在していなかった


「えと、一年生の場合は終業式の後の交流会の出席が義務になるみたい」


「交流会ってあれか?日本の姉妹校の?それむしろ罰ゲームじゃねえか」


日本にある能力専門学校は喜吉学園を含めば四つ


喜吉、士努、鳴哀、楽導、その四つの一年生の各クラスの最優秀班を一度に集めた顔合わせのようなものが鏡花の言う交流会である


「そうでもないわよ?いろいろなお偉いさんがいたり、これから進学したり働いたりする上でも十分役に立つこと間違いなしなんだから」


はっきり言ってそんなものは元から取れるつもりはなかったので完全に眼中になかった


そんなことよりももっと生産性のある自分の能力の応用法を考えていた方が有意義なことこの上ない


「でもその優秀班ってどう決めるの?この前の成績だけ?」


「成績もそうだけど校外実習の功績なんかでも判断されるみたい、そう考えると私達って公にできないこともやってるから正直期待できないし、成績の方で挽回したかったんだけど、どっかのバカがね」


「さーせんしたー」


まったく反省の様子を見せず陽太は椅子をぐらぐらさせながら天井を仰ぎみている


「まぁ陽太の成績は鏡花が穴埋めするとして、問題は俺だろ、軒並み能力低いんだから」


「あんたの能力は仕方ないわよ、その分は明利が穴埋め、成績評価は班で見れば平均くらいになるのかしら」


静希の評価が低いのは基礎能力値と能力応用の部類だけ、それ以外の制御性、操作性、精神力はほぼ最高評価、こればかりはどうしようもない


明利は基礎能力もそうだがどの値でも平均より高い評価を得ている、応用力は最高評価をもらってすらいる


この班は地味に優秀なのだ


問題はこの班がやってきた校外実習の内容なのだが


「初回はしょっぱなから面倒事、その上さらに面倒な物抱え込んでの秘匿性最高の内容、評価に修正は入るだろうな」


「二回目はそれこそ口外すらしてはいけないような内容、犯罪と人種問題に食い込んでるからね、まともな評価は期待できないし」


「で、でも、三回目は普通の内容だったでしょ?あれは研究所の問題だけだったし」


「その前に俺ら海外交流で問題起こしてんだから評価低いんじゃねえの?」


陽太の言葉に全員がうつむく


海外交流の際に静希達はまず集合時間の違反に加え城島の厳重注意と監視下から意図せず抜け出してしまった、あちらもこちらも大混乱にさせてしまったいわゆる問題児である


「ていうかそうだよ、俺の能力の中にいる奴を考えろ、そんな奴を表舞台に出すわけない、もしばれたら大問題になる」


静希の能力の中にいるのは悪魔、神格、霊装、奇形種の使い魔


この四つだけだがその中の二つは確実に大問題になる


「あー・・・でも隠されてるんでしょ?問題ないんじゃ、むしろそれと上手く生活してるんだから+評価になっててもおかしくないんじゃない?」


「そんなうまくいくとは思えねえな、それともそれを考慮に入れても評価されるか?」


「そんなにすごいこと私達やってない気がする・・・」


明利の言葉に全員が同意する


静希達はたいしたことはやっていない


その場その場でできることをやっただけで恐らく他の班の人間でも同じことはできる


城島は以前の実習の際一年にしてはたいしたものだと言っていたが逆に言えばそれだけだ


たいしたことをしたとはこの班の誰も思っていなかった


「じゃあ逆に考えよう、ダメじゃなくて俺らの中で評価できることを考えよう」


「まず鏡花さんは評価高いよね、攻撃防御、地域住民への貢献、この班ではトップじゃない?」


「なによそんなに褒めないでよてれるじゃない」


実際のところ鏡花の班への、そして事件への貢献度は非常に高い


能力の汎用性から言ってもこの班随一だ


「明利の能力も索敵、回復と役に立ってるよな山の中で迷わないってのはありがたいしよ」


「えへへ、ありがとう」


はにかみながらてれる明利の能力も非常に汎用性が高い


海外交流の時に迷わずそして行く道に確信が持てたのも明利の能力のおかげだ


「陽太の能力は強力だし、何より相手の攻撃を引きつけてくれるしな」


「戦い方はお粗末だけどね」


「うっせ、いいんだよ俺はあの戦い方で」


陽太は直線攻撃しかしないもののそのあまりある力と耐久力で敵の攻撃を受け、時にかわし猛攻をかける、前衛としては非常に優秀だ


「静希は能力よりその場の発想だとか、作戦や行動を決める時が一番輝くわよね、ちょっとやりすぎじゃないかって思う時あるけど」


「手段選んでられないんだからしょうがないだろ、それにこのくらいしか貢献できないんだから」


能力的に劣っているのは先刻承知、ならば別のところでフォローする


静希がずっとやってきたことだ、きっとこれからもそれは変わらない


ずっと考え続けてずっとそうし続けることしか静希はできないのだ


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