――たらお、今日は大事な打ち合わせがぶじ終わったのよ。
「あら、よかったわね。」
――すごく周囲に良くして頂いてるので、恐縮してる感じ。
あとアレだ、この10年、トライ&エラーしてきた案件なので、上手くいくのがちょっとコワイ。信じられない。
「苦労ばっかりしてるから、信じられなくなっちゃったのね…。」
――この10年、人に期待されて、上手くいかなかったことが多いのよ。
2方向あるの。小説とコラム。
「げげ、あんたそんなん書けないじゃない。」
――うん。1万字弱の、私小説風の紀行文っていうのが、最大出力ですね。
去年、小説書いてみたけど、ストレスで奥歯噛み締め過ぎちゃって歯痛になっちゃったもんなあ。医者通ったもん。
「落選したわよね。」
――処女小説で入選なんて、天才じゃない限り無理よ。まあ書いてみて、5万字くらいの短編なら、一ヶ月で書けることが分かったので、また頑張ります。小説は上手くはないけど、作り話を作るのは楽しい! 大きく嘘がつけるのっていいね。
実はシナリオセンターに通っていたという過去もあるし。うふふ。
「ああ、12年前、休職中に通ってたらしいわね。結構恥ずかしい過去ね。」
――恥ずかしくないよ。別にシナリオライターになりたかった訳じゃなく、何か他ジャンルの勉強をしてみたくて、行ったんですけどね。
「シナリオと普通の文章ってどう違うの?」
――ん? シナリオは、主人公の行動は書けるけど、頭の中は書けない。
「??」
――画面には心理描写はうつらないでしょ? うつるのは役者の動きだけ。動きや会話で、心の動きを描写するの。
「なるー。」
――で、シナリオ教室行ったからといって、特に何の役にも立ててないんだけど…。会話体も、上手くないし。インタビュー構成は結構得意なんだけど。
あと、コラムね。コラムなあ…、苦手なんだよな。
「理屈を組み立てるのが苦手なんでしょう?」
――女の人のコラムって、理屈で組み立てるっていうより、観察、観察、観察、オチっていうのが多いから、すごく無理をすれば書けるんだけど。書いてて楽しくない…。なんで楽しくないんだろ。自信がないから言い切りたくないんだよね。読む人って、言い切って欲しいじゃない?
「人気のあるコラムってそうね、何かを極端に言い切ってるわね。」
――私、言い切れないのよねえ…。
あと、ここ数年言われ続けて飽きたのは、『こじらせ系に参入しないのか』ってこと。
「こじらせ系って言われてる女性ライターって、みんな意外とキレイにしてるし若いのね。ゆきよさんみたいな、無化粧にデニムで40女って、もう逸脱してると思うのね。」
――そうなんだよね。逸脱してるんだよ。
でも化粧しない女ってジャンル、ちょっと人数増えてきてるよね。きっとここにも、代表的な、可愛い無化粧ライターが立候補して、地位を確率するんだろうなあ。そしてまた私の居場所がなくなるんだろうなあ…。
「後ろ向きなのねえ。」
――自分の商品化って難しいものなのよ。私なんか、イタイとか、GIRLYとか、サブカルとか、終わってるとか、ババアとか、そんな感じか?
「ひどいキーワードばかりなのね。」
――病気して、人の半分しか働けないから、人の倍長生きして、ゆっくり仕事するしかないのよね。120歳くらい生きる設定でがんばろうっと。
「前向き……なのか?」
――とりあえず仕事欲しい。仕事欲しい。仕事………。いや目の前にある仕事を丁寧にやろう…、そこからしかつながらない。こつこつと。
「そうよ、地味な作業よ。」
――地味に、地味に…。
まったく関係ないけど、ちょこっとLOVE。