テラリア転生者が次はグラブルに転移した話RE   作:なかえもん

7 / 15
なんか日間ランキングに乗ってました。割と本気でハーメルン側の不具合を疑うくらいビックリしましたね…。

これからもゆるく頑張ってまいりますのでよろしくお願いします。



アストレイ・アルケミスト②

sideグラン

 

「カリオストロさん、今いいですか?」

 

僕はカリオストロさんの部屋の扉をノックしながらそう聞く。

 

「ああグランか、入っていいぞ。」

 

カリオストロさんに許可を貰ったので部屋に入ると、なにやら難しそうな顔で実験しているカリオストロさんと、カリオストロさんの髪をブラシでとかしてるケインさんがいた。気のせいかこの前見た時より疲れた顔をしているような…

 

「で、なにかあったのか?」

 

あ、そうだ。伝えなきゃ行けないことがあったんだ。

 

「これを見てください。」

 

2人に僕宛てに届いた手紙を見せる。宛先の名前は…

 

「デリフォードさんか。たしか今は団を抜けちゃったんだっけ?」

 

確認するようにケインさんが聞いてきた。

 

「うん、デリフォードさんの親御さんが体調悪いみたいで、看病のためにも団を抜けたんです。」

 

今でも覚えてる。僕にとっても団を抜ける人っていうのは初めてだったから。けど、僕はデリフォードさんを止めなかった。寂しかったけど、止めるべきじゃないと思ったからだ。

 

「…団を抜けたおっさんの手紙か。家族の元に戻ったって聞いたが穏やかな内容の手紙じゃねぇな。」

 

手紙に書かれてる内容を見たカリオストロさんが言うように。手紙の内容は決して明るい内容ではなかった。というのも手紙には僕たち以外頼れる人がいないや、家族を助けて欲しいと言ったことが書かれていたからだ。

 

「なるほど、行くんだろ?」

 

確信を持ったようにケインさんは僕に聞いてきた。もちろん僕の答えは決まってる。

 

「もちろん、助けに行きます。」

 

「はいっ!助けに行きましょう!」

 

「離れていても仲間は仲間だからな!」

 

ルリアとビィも僕に続いて賛成してくれる。それを見たケインさんとカリオストロさんはやれやれと言ったふうに笑う。

 

「ま、俺は行くけど。カリオストロは?お前結局全然体調良くなってねぇじゃん。」

 

「オレ様も行くぞ。まあ本音を言えば今の状況で厄介事に首を突っ込みたくないんだがな…」

 

そう言いつつ来てくれるから、なんやかんやで優しいんだよねカリオストロさん。

 

そうして僕達はデリフォードさんの手紙に書いてある島に向かった。

 

__________________________

sideケイン

 

「手紙に書かれてる場所って…ここですよね?」

 

「こりゃあ…あのおっちゃん、すげぇところに住んでるんだな。」

 

俺も驚いた。目の前にある家は貴族の屋敷と言ってもおかしくないほどの大豪邸だった。

 

「…デリフォードって貴族だったのか?」

 

え、俺めっちゃ気安く接しちゃったんだけど、この世界不敬罪とかないよね?

 

「いや、たしかあのおっちゃん、昔は槍の腕前がスゲェだとかでもとはやされたらしいな。」

 

「あいつがか?いまいち信じられねぇな。」

 

まあ、団にいる時のデリフォードさんはかなり気さくな人だったし。何回か槍について指導してもらったことあるから結構話したことがあるんだけど…

 

「いいか、私はギリギリお兄さんだ。けっしておじさんではない。」

 

と30代はお兄さんとよく言ってたり…余談だけどデリフォードは37なので四捨五入すると40代である。

 

「ぐ…すまん、筋肉痛が…う、うごけん…」

 

「え?昨日なにかキツい依頼ありました?」

 

「3日前の依頼で相手した魔獣の攻撃が激しくてな…」

 

「え?3日前なら関係なくないですか?」

 

「ある!歳をとると、筋肉痛は後から来るのだ…」

 

と妙に悲しそうな声で言っていたり、結構愉快なおっちゃん…間違えた、お兄さんだったけどね。

 

豪邸のドアをノックするが、何も反応がない。

 

「…留守ですかね?デリフォードさん。」

 

「…これだけデカイ屋敷で人っ子ひとりいない、か。お前ら用心しろよ。嫌な予感がしてきやがった。」

 

気を引き締めて警戒しながら屋敷の中に入るが…

シェルフォンには敵の反応がある。しかもかなりの数だ。十中八九罠だな。

 

「グラン、敵を検知する機械が反応してる。多分罠だぞ。」

 

「…罠かもしれないけど、その場合デリフォードさんはどこにいるのかな。」

 

「もしかしたら捕まってる可能性がありますかね?」

 

「それも含めて分からないから団長の判断に任せる。引くか、戻るか。ひとつ言えるのは確実にこれは罠ってことだ。」

 

ルリアが心配している通り、その場合デリフォードがどこにいるのか、という心配もある。捕まっているなら救出しなきゃだしな。

 

「行きます!もし捕まってるなら、助けたいですから。」

 

「了解。」

 

「ま、お前ならそう言うと思ったぜ。」

 

心配事があるとしたら、あの白い人型の塊だな。カリオストロに特効なあいつがまた不意打ちを仕掛けてくる可能性もあるしな。

 

ルリアとビィが大きな声で呼びかける

 

「デリフォードさーん!!どこに居ますかー!!」

 

「おーい!デリフォードのおっちゃん!来たぞー!どこにいるんだー!!」

 

「その声…まさかビィ殿とルリア殿か?」

 

意外にもすぐにデリフォードは見つかった。すぐ近くの扉を開けると大広間のような部屋に、豪華な椅子に座りながらも鎖で椅子に縛り付けられたデリフォードがいた。

 

「デリフォードさん!よかった、無事だったんですね!」

 

「な、何故ここに!?私がここに居るのをなぜ知ってるのだ?」

 

「それについてなんだが…お前、オレ様達に助けて欲しいって手紙を送ったか?」

 

「私が?そんなもの出してないぞ…まさか!」

 

どこかに隠れていたのか、ワラワラと帝国兵とヘルメス錬金術学会のヤツらが現れた。

 

とはいえ、こっちは罠であるのを承知の上で来た身、驚きはしない。

 

「お前ら。こいつらを掃除するぞ。」

 

またウェザーペインで蹴散らすか。杖を構え、ウェザーペインを発動させるが…

 

「来たぞ!お前らの出番だ!」

 

「「「ファイヤー!」」」

 

ウェザーペインの竜巻は3人がかりで放ったファイヤーとぶつかり相殺される。

 

「馬鹿め!貴様のその魔法の対策に火属性を使える魔術士を連れてきたのだ!これで貴様の厄介な魔法は潰した!」

 

あー、ウェザーペインは風属性のような挙動をしてるから有利な火属性の魔法で相殺しようとしたわけね。

 

「これで魔法は使えない!あとは数で押し切るのだ!」

 

虚空のバッグを出すと中を漁る、うーんとこの辺に…あった。

 

「"アクアセプター"」

 

水を放物線上に放出する魔法の杖。テラリアに属性、という概念がないのであまり気にしなかったが。これなら水属性、つまり火に対して強いはず。

 

「な!?こいつ水属性も!?」

 

とりあえず遠距離持ちから潰すか。アクアセプターを発動したまま杖の先端をさっきの魔術士に向ける。

 

「くそ、ファイヤー!」

 

魔術士達はさっきみたいに魔法を放つが。やはり相性もあるのか。拮抗は一瞬、こっちの魔法があいつらに届いた。

死なないようにちゃんとタイミングを見て当てるのを辞める。

 

グランとカリオストロの方は…大丈夫そうだな。というか可哀想になるくらい蹴散らされてる。錬金術師たちはカリオストロに手も足も出ないし。グランも帝国兵を片っ端から薙ぎ倒してる。

 

さて、蹴散らしたあとはカリオストロお楽しみの煽りタイムである。普段から美少女に徹しようとしてる癖に煽るのは辞められないらしい。

 

「おいおい、オレ様を捕まえるんじゃなかったのか?この程度じゃオレ様を捕らえるどころか触ることすらできねぇぞ?」

 

「ぐふ…まさかこれ程とは…計算が狂ったか…」

 

これだけボコボコにされてると途中式を確認したくなるほどの狂い具合である。割と真剣にどんな式を立てて勝てると踏んだんだろうか…

 

煽り散らかしてるカリオストロを尻目にデリフォードさんの拘束を解く。

 

「団を抜けた私のことまで気にしてくれるとは…すまない。ありがとう。」

 

「無事でよかった。」

 

グランは安心したように言う。実際最悪のケースもありえたからな。そうじゃなくて本当に良かった。

しかしデリフォードさんは次には焦ったような声を出す。

 

「いや、そんなことよりも皆、早くカリオストロ殿を連れて逃げるのだ!」

 

咄嗟にシェルフォンを見る。反応が増えてる。どうやら援軍が来るらしい。

 

「デリフォード…また命令違反を犯すつもりか?」

 

そう言いながら数多の帝国兵や錬金術師と一緒に現れた黒いフルプレートの鎧を着けた男が部屋に入ってきた。

 

「ゼシード……っ!」

 

「やれやれ、そんなことだからお前はクビになるのだ。」

 

部屋に入ってきた兵士たちは俺たちを囲む。ゼシードの実力は知らないが。少なくとも周りにいる兵士たちなら何とかなりそうだな。

 

ゼシードはデリフォードさんに語りかける。その内容は俺たちがとても口を出せる内容じゃなかった。

 

デリフォードさんは団を抜けた後、家族のために金が必要で帝国に再就職したようだ。グラン率いるグランサイファーは基本帝国と敵対しているので、立場だけでいえばデリフォードさんと俺たちは敵対関係になる。

まじか…別に帝国に就職したことを責める気はないけど、元仲間だからやりずらいな…

 

「おっさんの事情は分かったが…さっきの、オレ様を連れて逃げろ、って言うのは、どういうことだ?」

 

「おっさんその2、デリフォードさんはお前のことを心配してるんだぞ。」

 

「ケインテメェうるせぇぞ!ナチュラルにオレ様のことをおっさん呼びしてんじゃねぇ!」

 

いやおっさんだろうが。それに後半の言葉は真面目に言ってるつもりなんだが…

 

「とにかく!この天才美少女錬金術師のオレ様が、この程度の脇役共相手にしっぽ巻いて逃げろって言うのか?」

 

「…詳しくは知らぬ、だがカリオストロ殿を捕まえるために一芝居打てとゼシードに言われ、それを断ったら拘束されたのだ。」

 

「ふん!その通りだ。パラケルススの計画の為には、どうしても貴方が必要らしくてな。」

 

パラケルスス?誰だそいつ。

 

「実際は開祖、貴様を呼ぶ方法がないか聞いたらゼシードがそう提案したから利用しただけのこと。」

 

知らない男性の声が聞こえた。

 

「あ?なんだ、てめぇは?」

 

そこに現れたのは、ある程度歳をとった白髪の眼鏡をかけたおじさん。

 

「俺はパラケルスス。開祖、カリオストロを超える力を手にする者だ。」

 

「はっ、オレ様を超える力を手にするだぁ?随分とでかい口叩くじゃねぇか。」

 

「ふっ…大口かどうかはすぐにわかることになる。ゼシード。始めるぞ。」

 

「そうだな。ではデリフォード、命令だ。開祖たちを拘束しろ」

 

そう来たか…嫌な手を使うな。カリオストロや俺ならまだしも、団員思いのグランには一番効く手だ。

 

「な!?…わ、私は…」

 

「デリフォード、これは最後通告だ。この命令に従えない場合、お前をクビにする。」

 

家族のためにお金を稼いでいるデリフォードにとって。クビにされるとのは困る、なにせそれで困るのが自分だけではないからだ。

 

「いいかよく聞けデリフォード、この帝国以外にお前のような年齢の奴を再雇用してくれる場所などそうそうないぞ?例えあったとしても…これだけの給金は貰えるのか?」

 

「うぐ!?たしかに…老後の安定と給料の良さを考えるなら…それに保証まで付いている…。」

 

クソ、なんて汚い敵なんだ。まさか老後の生活を人質にするなんて。人の心とかないのか?けどこっちにだって対抗策はある。

 

「デリフォードさん。よく考えてください。帝国の上司にロクなのいませんよ。あんな上司が人を刺すような職場で保証もクソもないですよ。」

 

俺の頭の中に浮かぶのはあのチビである。割と本気で殺すか悩むくらいにはどうしようもないやつだったのでよく覚えている。

相手が給料と保証で勝負するならこっちはアットホームと仕事の楽しさで勝負である。

 

「ぐっ…上司もそうだが…帝国は近所の評判が…それに休日出勤は当たり前…有給取得率20%以下…」

 

「甘えるなデリフォード。帝国兵に有給なんてものは本来必要ないのだ。あくまで最近のコンプライアンスが厳しいから配っているだけ、その証拠に私の去年の有給取得はゼロだ。」

 

「クソブラックじゃねーか!?デリフォードさんやっぱりやめた方がいいですよ、体本気で壊しますよ!?後ゼシードさんも休んだ方がいいですよ!?」

 

「彼は特別だ。彼は仲間内では連勤術師ゼシードと言われていたからな。私も未だにあれほどの連勤術を見たことがない…。」

 

「見る機会が無い方がいいと思いますよ。」

 

帝国はゼシードの鎧が明るく見えるほどブラックな職場だった。帝国は上司に腹いせで殺されるか過労で死ぬかの2択なのかも知れない。

 

…だがそれはそれ、これはこれ。もしデリフォードが俺たちを拘束しようとするなら。責めはしないが全力で抵抗する。

カリオストロも同じ考えのようで俺と同じように何時でも抵抗する用意をする。

 

「ぐっ…私は…!!」

 

「「デリフォード!」」

 

グランとゼシードが同時にデリフォードの名前を呼ぶ。が、グランは名前を呼んだあとこう付け足した。

 

「仲間だって、信じてる。」

 

「!!…やはり、そうだな…ここは自分に素直になろう。ゼシード、悪いがお前の言うことは聞けん!」

 

「デリフォードさん!」

 

「私が帝国に入ったのは罪なき人々を守るためだ!決して己が目的のために、仲間を貶める為ではない!妻も団員も家族として守る!」

 

「青くせぇが、嫌いじゃねぇぞ。そういうの。」

 

デリフォードは俺たちについた。それはそうとして今度デリフォードさんに金目の物プレゼントしようかな…鉱石、宝石採掘とか俺の得意なことだし。

 

「そうか…実に残念だ、お前たち!デリフォードごと捕らえろ!」

 

数々の錬金術師と帝国兵たちが襲いかかってくる。だが。デリフォード抜きでも元々蹴散らせるくらいの実力差があったんだ。そこにデリフォードが加わったら余裕…そう思っていた。

 

「くそ、有象無象が次々と……キリがねぇ!」

 

「さすがに…僕もキツくなってきました…」

 

「はぁ、はぁ、まさか、これほどの数を投入してくるとは…」

 

どうやらアイツらの狙いは数の暴力によるスタミナ切れを狙っているようだ。実際効果はある。グラン、カリオストロ、デリフォードはバテている。

 

「そろそろ限界…と言いたいところだが。1人だけ元気なのがいるな。」

 

向かってくる兵士達に対してブレイカーソードを振る。これだけデカくて質量がある剣だ。どうしても兵士たちの恐怖心が消せてない。だから俺がバテるまでこうして待ってるんだろうな…

 

くそ、俺はスタミナって概念がないから死ぬまで無限に戦えるが。こいつらは違う。さすがにこの人数を庇いながら、尚且つ相手を殺さないように凌ぐのはキツい…!

 

いっそ、どうせ敵ならこいつらを殺しても…

 

「やめとけ。お前が何を考えてるのか、何となくわかるが。…オレ様が何とかしてやる。」

 

「カリオストロ、今キツイんだろ?無茶すんな!馬鹿なこと考えたって俺も思ったよ。もうしないから休んでろお前は!」

 

その時、急に壁を突き破るように紫の球体が出た。

 

「みんな…無事!?」

 

そこにいたのは…カリオストロの妹の末裔、クラリスだった。

 

「クラリスさん!?」

 

「な、なんでクラリスがここにいるんだよ!たしか実家からの呼び出しで家に戻ってるはずじゃ…」

 

「話はあとだよ!じゃなきゃ逃げられないから…早くこっちに!」

 

とりあえずクラリスについて行くがカリオストロが考え事をするかのように立ち止まっている。

 

「カリオストロ!今はとりあえずこっち行くぞ。」

 

「…ああ。」

 

走りながらカリオストロが突然こんなことを聞いてきた。

 

「…お前、クラリスについてどう思う?」

 

「え?別にかわいい女の子だな〜くらいにしか。」

 

「ちげぇよ。あいつが怪しいと感じるか感じないかだ。」

 

「え?急になんでそんなことを……良く良く考えれば誰がクラリスにここに俺たちがいることを教えたんだ?」

 

クラリスの家族?

けど、クラリスの家はカリオストロを助けるようなことはしない家だ。クラリスの家はなんでもカリオストロ抹殺が家の祈願だって聞いたな。そんな家がわざわざピンチのカリオストロの居場所を教えると思えない。

 

気にし過ぎならいいんだが…

 

「…俺はクラリスの近くにいる。いざと言う時グランとルリアを守ってくれ。」

 

「わかった。頼むぞ。」

 

さり気なくクラリスの近くに移動しながら走る。けど意味が無さそうだ。

 

「みんな!先に行って!うちが奴らを足止めするから!」

 

それ死亡フラグじゃ…別の意味でクラリスに離れたくなくなったんだが。

 

「僕たちも手伝うよ!」

 

「うち1人で大丈夫!っていうかごめん!いたら邪魔かも、纏めてドカーンしちゃうから!」

 

仕方ない。とりあえず安全な場所に行ってから考えよう。最悪俺だけすぐ戻ればいい。

 

「では、私が先導する!グラン殿は殿を…」

 

「いや、オレ様がする。」

 

「大丈夫なのか?」

 

「オレ様の方が都合がいい。オレ様ならどんな攻撃だろうと防げるからな。」

 

ならここはカリオストロに任せよう。俺のフローズンシールドもあれってダメージを引き受ける…つまり直撃前提の能力だからな。喰らわないならそれに越したことはない。

 

そうして走り続けた俺たちだが、どうしても普段から体を激しく動かすわけじゃないルリアが早くバテてしまう。

休憩も兼ねて1回止まるか?そう聞こうと思い、敵が居ないか後ろを見たらクラリスがいた。それだけならいい事なんだが…クラリスは俺らに向けて手を向けるとさっきと同じような攻撃…紫色の巨大な球体を飛ばしてきた。

 

「後ろ!」

 

グランはすぐにルリアを庇うように抱き寄せ、カリオストロは障壁を展開する。

カリオストロなら防げる。そう判断した俺はすぐにロッドオブハーモニーでクラリスの真横にテレポートし、取り抑えようとする。事情は後で聞けばいい。今は捕まえる。

 

しかしすぐにクラリスは反応し、さっきとは違う小さめの球体を幾つか放ってきた。ダメージ覚悟で…そう思い最初の1発を食らう直前。

 

「バカ!それに触れんな!避けろ!」

 

カリオストロが大声で俺にそう忠告してきたので素直にテレポートで1回距離をとる。

 

「あの球体は物質の崩壊、分解をするシロモノだ。…当然、人なんかが当たったらどうなるか、わかるな?」

 

「そんなものをこっちに向けて撃ってきたのか?」

 

百歩譲ってカリオストロに撃つのはわかる。

けど、あのクラリスがグラン達まで巻き込むようなことをするのか?

 

「お、おい!これはなんの冗談だよ!」

 

「く、クラリスさん?嘘ですよね…?」

 

「どうして…」

 

特に3人の動揺が激しい。俺はそんなに話したことないが。3人は違うもんな。

 

「しっかりしろ、グラン!」

 

カリオストロが激励する。15歳の子に酷なことを言うが、それでも今はこの状況を何とかするしかない。

 

「まさか今のを防ぎ、さらに反撃までしようとするとはな…まさか気づいていたのか?クラリスが裏切り者だということに。」

 

いつのまにか追いついていたらしいパラケルススが感心したように言う。少なくとも俺は念の為警戒しておこうかな。くらいだったけどな。

 

グラン達はクラリスに説得をしているが。クラリスの意思は硬いようで折れる気がない。

 

「…しょうがねぇ。おい、てめぇはこの俺様が相手してやる。」

 

「おい。俺がやるからお前は…」

 

「いいから、オレ様にやらせろ。あいつにわからせてやるさ。オレ様の…開祖の力を」

 

カリオストロとクラリスの勝負が始まった。カリオストロにとってクラリスは相性最悪の相手だが。年季の違いだろう。

 

「こいつで反省しやがれ!」

 

そう言いながら錬金術でクラリスを吹っ飛ばす。

 

「カリオストロ殿やりすぎだ!これではクラリス殿が…」

 

「安心しろ、死なない程度に手加減はして…ん?」

 

カリオストロの錬金術を食らったクラリスは叫び声を上げながら強烈な光を放つとこの前見た黒い人型の塊になった。色は違うけど、こいつこの前の!

 

「くそ、まさかオレ様がこんな初歩的な罠にひっかかるとは…いや、それだけオレ様も動揺してたってことか。とにかく。次こそコイツを一撃で吹き飛ばして…!?」

 

言い切る前にカリオストロが倒れる。

カリオストロだけじゃない。倒れるほどでは無いが。他のみんなも体調が悪そうだ。俺も体がだるい。

 

「これが貴様を超えるために俺が作り上げた兵器、ヘルメスの門だ。いや、今はニグレドと呼んだ方がいいな。」

 

「ニグレド…?白から黒…そうか。こいつは賢者の石か。」

 

カリオストロが納得いったように言うが。こいつが賢者の石?なんか俺が知ってる賢者の石と全然違う…。俺の知ってる賢者の石赤いし勝手に動かないしなんならミミックが落とすんだけど…。

 

「な、なぁ、賢者の石ってなんだ?」

 

ビィがカリオストロにそう聞くが。正直ビィだけでなくみんなわからないのでカリオストロの話を聞く。

 

「ざっくり言うとどんな願いも叶えてくれる魔法の石、だな。もっとも、賢者の石にさせるのが面倒でな。初めは白化、そして黒化、翠化、黄化、赤化を経て、初めてそれは賢者の石と言えるようになる。」

 

…余談だが俺が持ってる賢者の石は赤色である。まじか、後で試してみよっと。

 

「今は黒化だから賢者の石になるまでは程遠いが…」

 

「だが、黒化の影響は今の貴様にとって驚異であろう?黒化の状態の賢者の石は周囲の物質を徐々に腐敗、分解する能力がある。」

 

「それで?そいつを使ってオレ様をまた封印するのか?」

 

「封印?そんなことするつもりはない。俺はこのニグレドに貴様の持つ知識や技術、肉体…いや、貴様の全てを吸収させ、俺たちに都合のいい存在として新生させる。」

 

自身の目的を誇らしげに言うパラケルスス。いやまあ本人からしたら壮大な目的なんだろうけどさ。

 

「うわ、新手の変態だ…」

 

「同じ…いや私の方が若いが。ある程度近い年齢の男としてはドン引きだな。」

 

「絶対アイツ彼女欲しくなったら自分好みにホムンクルス作るタイプだぜ。」

 

みんなドン引きである。グランに至ってはルリアの耳を塞いでいる。上からグラン、デリフォード、俺のコメントである。

ちなみに俺の言葉を聞いた時カリオストロがビクッと少し体が動いた。

 

…そういえば。こいつの見た目って自分好みの美少女なんだっけ。錬金術師ってみんなこうなのか?…クラリスがこうならないことを祈る。

 

「…やれ。ニグレド。」

 

キレ気味なパラケルススがニグレドに命令する。白い時と同じように結晶の槍を生やしてくるのでみんなで避ける。

 

「ぬぅ!?鎧と槍が錆びていく…!?」

 

「デリフォードさん倒れてるカリオストロさんを回収してください!」

 

「おいおっさん!オレ様を運ぶ時は蝶よりも花よりも…」

 

「デリフォードさんそいつ小麦袋くらいの感覚で運ぶでいいですよ!めんどくさいし。」

 

「そうだなすまんカリオストロ殿!」

 

「テメェら覚えとけよマジで!!」

 

なんでこの非常事態でそんなこと命令できんだか。

 

「グラン!たしか銃使えるんだよな?」

 

「はい!それが…」

 

言い切る前にグランにフェニックスブラスターを投げて渡す。

 

「ニグレドの効果範囲外からそれ撃って援護してくれ!」

 

「わかりました!けどケインさんがテレポートした時に弾が当たったらごめんなさい!」

 

フェニックスブラスターくらいなら食らってもそこまで痛くないから気にしなくていいんだけどね。

 

一応鎧やバスターソードを確認してみるが、特に腐ってる様子もないので気にせず使ってみる。

 

「アローレイン!」

 

グランは銃弾をまるで雨のように振らせる。銃なのにアローレインなの?

とか、あれ?そもそもなんで銃弾を上に撃って落ちるんだ?俺の時は落ちなかったぞ?

と思わなくはないが。まあ気にしたら負けだな。

 

ブレイカーソードで切りつけるが。やはり再生する。なら、もう少し強いのを出すか。

 

"ロケットランチャー"を構える。

昔弾を爆買いしたおかげで撃ちまくっても大丈夫である。これぞまさに備えあればロケットランチャー打ち放題だな。

 

直撃すると威力2倍なのでニグレドにぶち当てる。弾はロケット弾III、まあ所謂オーソドックスな地形破壊無しの弾だ。

 

ニグレドに直撃する、当たったニグレドを中心に爆風が吹き荒れる。

 

「やりましたかね……?」

 

ルリアがフラグを立てたのでまだ見えてないけどもう1発撃ち込む。

 

すると俺のすぐ下から黄色の水が吹き出してきた。反応できずに直撃してしまう。あるアクセサリーの効果で俺は溺死などはしないが。それでも顔によく分からない液体がかかるのはいい気分ではない。

 

「ケインさん!」

 

「まず1人。それは黄血…まあ貴様らにも分かりやすく言うと猛毒だ。それにニグレドの効果でそれを浴びた貴様はさらに体が腐り、崩れる。」

 

バラケルススの言う通り、俺の体は腐っていく。ちょっと人前には見せられない見た目になっている。早く治さなきゃ。

 

"ビン入りのハチミツ"を一気飲みする。

 

「テメェさすがにハチミツ好きもいい加減にしとけよ!?」

 

「待っててください!今ポーションを…」

 

「よし治った!」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

ライフポーションがこの世界に来たことで数に限りがあるようになってしまった。だから余程緊急で回復しなきゃ行けない時を除き、普段はハチミツを飲んで回復している。そもそも体は確かに腐ってたけど。受けたダメージ自体は大したことなかったからな。1本でほぼ回復した。

 

 

「な!?強がりでもなんでもなく体が再生してるだと!?」

 

「…ちなみにデリフォードのおっさん、グラン、オレ様が知らないだけで本当にハチミツで体が治るのか?」

 

「「そんなことないです(ないぞ)」」

 

パラケルススが驚愕し、カリオストロは自分の常識を疑い始める。

 

引き続き俺はロケランとブレイカーソードによる斬撃、グランはフェニックスブラスターをそれぞれ当てるが。際限なく再生するため決定打にならない。

 

「無駄だ。ニグレドは黒化による自壊を待つか、ニグレドを構成する全てを消滅…つまり錬金術を使わなければ倒すことが出来ないんだ。そして、それを唯一出来る開祖は今やその力を大きく弱体化させてる、さぁ、どうやってこの状況で俺を倒す?」

 

「どうにかして……だ。オッサン下ろせ。アイツを錬金術でしか倒せない以上。オレ様がやるしかねぇ。」

 

デリフォードに下ろしてもらったカリオストロはフラフラとしながらも毅然とした態度で言い放つ。

 

「こちとら、産まれた時から手詰まりなんて慣れっこなんだよ。」

 

今にも倒れそうなくらいなのに。それでもニグレドと相対する。

 

「これくらいの逆境、すぐになんとかしてやるぜ…。」

 

その時、壁を突き破り、周りにいた帝国兵を吹き飛ばすように紫の球体による爆発が起きた。さっきも見たことがあるこれは…

 

「助けに来たよ!グラン☆ルリアちゃん☆」

 

そこにいたのは今度こそ本物の正真正銘美少女錬金術師、クラリスだった。

 




"アクアセプター"
ダンジョンのチェストから手に入る魔法杖水流を放つ魔法杖で、入手時期で言えばノーマルモードの後半の方だが。普通に優秀な杖である。もっとも、ノーマルモード後半になると同じく優秀な魔法にデーモンサイスあるので、近距離と遠距離で使う方を分けるなどしよう。
ちなみに、ハードモードに上がるとさすがに力不足なのと、完全上位互換の魔法武器が序盤から作れるのもあってお役御免になってしまうのだが、唯一見た目だけはこっちの方がいい。あっちは見た目が最悪なので…

"ロケットランチャー"
使い方は簡単、敵に向けて撃つ、と言ったランチャー系の武器。
ダンジョンのスケルトンコマンドがドロップする。敵として使われると威力は高いし爆風でもダメージ食らうしで結構面倒である。ランチャー系の中でも癖がなく。使いやすいが、自爆には注意、特にクラスター弾などを使う場合は。
テラリアの世界にはオスロ条約なんてものはないので普通にクラスター弾は使ってOKである。

"瓶入りのハチミツ"

ガラスの空の瓶を持ってハチミツの近くでクラフトすることで作れる。
回復量は80とノーマルモードで1番お世話になるライフポーションより20回復量が低いが、その代わりハチミツによる自動回復上昇のバフが着くのと、ガラスの瓶とハチミツがあるだけで作れるので、コスパがよく。普段使いはこっちでもいいかもしれない。
当たり前だがハチミツの飲み過ぎには気をつけよう。

グラブルとテラリアは知っている?

  • 両方とも知っている。
  • グラブルだけ知っている。
  • テラリアだけ知っている。
  • 両方とも知らない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。