キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。 作:旅する野良猫
気が付けばお気に入りやUAがバカスカ増え続けてビビってました。
ギルティギアにかまけていたせいか、かなり難産でした。
今後ともよろしくお願いいたします。
「んへ……」
「あ、目が覚めた?」
「先生?」
ヒフミに首を締められ、意識が落ちてしまっていたらしい。
何かヒフミと出遭うと意識落としがちだな……?
今後ファウスト関連で絶対いじり倒してやる。
「……ヒフミは?」
「今は隣の教室でテストの返却を待ってるよ」
「そっか。じゃあ他の子も全員集まったんだ」
「うん、ルカがヒフミに引きずられてたからちょっと誤解があったりはしたけどね」
それはヒフミが悪いからノーコメント。
そう思いながら立ち上がって、隣の教室に行こうとすると先生に止められる。
「はいこれルカの分。ちゃんとテスト受けてね」
そう言って採点をしている先生に渡されたテスト用紙を受け取り、ご丁寧にも鉛筆と消しゴムが用意してある近くの机を使い、覚醒したばかりの意識を起こして回答していく。
……なんかこれ、思ったより難しいな?
マークシート形式だし……
俺が部長になったバタフライエフェクト的な感じかな……まぁとりあえず、
ひとしきり答えを妥協気味に書いて提出して隣の教室に入る。
「あ、ルカちゃん! 起きたんですね」
「アンタが部長?」
「……気が付いて一発目にまさかテスト食らうとは思ってなかった」
「大丈夫? 必要なら水を汲んでくる」
「平気、ありがと」
「彼女のことを知らない子もいると思いますし、改めて自己紹介をしませんか?」
「そ、そうですね! 皆で改めて自己紹介をしましょう!!」
「あー、じゃあまず部長だし私から。高等部二年の
「で、では「では次は私がイきますね♡」」
ヒフミに少し被せてハナコがこっちを見ながら言う。
「トリニティ総合学園高等部二年生の浦和ハナコです♡以前は互いの名前も知らずに行為に及んで「こ、行為!? えっ、アンタたちそんな関係だったの!? が、学生なのにエッチなのはダメ!! 死刑!!」
「待って!? 私の知らない記憶捏造しないで!?」
「そんな……あんなにも互いに汗だくになって荒い息を吐かされたというのに……」
「ハナコの話は長くなりそうだから、次は私がしよう」
「アズサちゃん……」
ヒフミがちょっと恨めしそうに見てるけどアズサは気にしないらしい。まぁ、ハナコの話を断ち切ってくれたし……
「ルカと同じく高等部二年生、白洲アズサだ。好きなものは……塩パン?」
……?
え、アズサって塩パン好きなの?
てっきり、特に無いとか学年と名前だけ言って終わると思ってたのに。
「つ、次私!! 正義実現委員会所属一年の下江コハルよ!! 言っとくけどここには何かの間違えで来ちゃっただけで私はエリートだから今日のテストですぐこんなとこ出てってやるんだから!!」
アズサの好物でボケっとしてたらコハルが捲し立てるように自己紹介をおわらせる。
「え、あ、うん」
「何よそのぱっとしない反応!!」
「いや、まぁ頑張れ? エリート」
「分かればいいのよ!!」
うん、本当に頑張れエリート。このままだと一次試験ヤバいからな。
「とりあえずこれで全員揃ったな……」
「ルカちゃん!?」
「いや、だってヒフミのこと知ってるし、私が意識無かった間に自己紹介してたんじゃないの?」
「こういう場合は知り合いでも一応したほうが良いと思いませんか……?」
「えー、じゃあはい。どうぞ」
「え、あ……高等部二年の阿慈た「採点終わったよー」
「先生!!」
ヒフミの自己紹介を遮るようにして先生が教室に入ってくる。
「え、ひょっとして入ったら不味かった?」
「大丈夫。ヒフミがちょっと不貞腐れてるだけだから」
「? 大丈夫なら良いけど。後、ハイこれルカの答案用紙。それとコレが皆の答案用紙ね」
そう言って俺に先程のテスト用紙が返却され、以外の用紙がヒフミに纏めて渡される。
五大教科をちまちま分割して問題が纏められた総合テストは、数学と他言語が弱いものの概ね望んでいた点数だった。
「その……ルカちゃんは何点ですか?」
「70点ジャスト。ヒフミは何点だった?」
「私は、ちょっと後で皆と一緒に公開するので……」
そういったヒフミのテスト用紙をチラ見するが、点数は見えない。
「それより、その……ルカちゃんに話さないといけないことがありまして」
「え、なに怖い……」
「実は補習授業部なんですが、既に始まってまして……」
呼吸が止まる。
既に始まっている?
え、何どういうこと? 今日からスタートするんじゃ無いの……? だってテスト……あ……!?
「……さっきのテストって一回目の特別試験だったりする?」
「あ、あはは……」
その力無き笑いで察した。
ナギサ様、いくら何でも補習授業部途中参加とか難易度が高すぎるのでは無いでしょうか。
「具体的にはいつ頃から……?」
「実はルカちゃんを轢いた日にはもう集まっていまして……」
「え、じゃあ何ヒフミ、その帰りにゲリラライブ寄ろうとして私轢いたの!?」
いくら何でも、心臓が鋼鉄過ぎないだろうか。
「え、何アンタ轢かれたの?」
「うん」
今更だけど身体が頑丈な部類の生徒で良かった。
これで身体が脆かったら多分死んでる程度にはトラブルまみれだ。
「何で人を轢いた加害者と被害者が仲良くしてるの……?」
「すごい真っ当な意見」
「ルカは轢かれても無事だったのか」
「無事じゃないよ、救護送りだったよ……?」
なんかアズサ、俺にだけ言動が幼児になってない?
「えぇっと、それで……その、ですね」
「まだ爆弾を出すの……?」
「ルカちゃんだけ、テストが別に用意されてまして……」
嫌な予感がする。
それもストーリーにさえ影響のある特別嫌な予感が。
「…………まさかと思うけど」
「試験自体は一緒に受けられるんですが……キヴォトス統一模試に採用される問題を前提としたテストになります……」
キヴォトス統一模試。
キヴォトスにおいて最も難しいとされる模試の一つであり、マウントの取れる資格書にもなる個人的に不思議なシステムの模試。
自分の試験結果のカードが配布され、高得点であるほどクレカのサービスみたいなものが受けられるらしい。
過去問集やら対策問題集を買ってもロクに点数が取れない事で有名な模試である。
「……ヒフミ、他にも条件とかルールみたいなのがあるよね」
「う……ですが、その……」
「良いから全部言って。こういうのは早めに知ってないと対処出来なくなる」
具体的には皆の退学とか。
もう既にストーリーから逸脱してる今、原作云々を気にしてる場合じゃない。
「その、ルカちゃんは三回目の試験までに95点以上を取れないと留年扱いになります……」
「はぁ?」
留年……?
退学ではなく、留年?
「ちょっと待てヒフミ。『ルカちゃんは』って今言ったよな」
「はい、私達は……その、三回目の試験に合格出来ないと退学になります……」
ヒフミがちょっと萎れながらそう言った。
「ナギサ様からは『
「ねぇヒフミ、他にはもうなんもない……?」
「は、はい、私が聞いているのはこれで全部です」
「うん。マジでなんでそんな重たい条件ある中、ゲリラライブ行ってんの……?」
「うぅ……!!」
「いや、そんな苦しそうな声上げんな……あーはいはい、どうせ辞められないの分かってるからしょぼくれるなって」
見て分かる程にはシナシナにしょぼくれたヒフミを撫で、ヒフミのカバンからモモフレグッズを取り出していく。俺にペロロ中毒を指摘されるのそんなにダメージがデカかったのだろうか。
そんなことを考えているとアズサに肩をつつかれる。
アズサの手元にはカバンから取り出していたモモフレグッズ。ヒフミをあやすのを交代してくれるらしい。
「話は変わるんだけど、ルカ。さっきのテスト大雑把にやってなかった?」
先生がヒフミを気遣ったのか、少し距離を取って先程のテストについての話題を振る。
「そりゃあなんのテストか分からなかったんで雑にやりましたよ」
とりあえず誤魔化してみる。
「これはもしかしてと思っただけなんだけど」
でも先生にそんな誤魔化しは無意味だった。
「ルカってひょっとしてテスト点調整してる?」
真正面から核心を突いてきた。
「いやぁ……まぁ……これに関してはなんといいますか」
「え。いや、キヴォトス統一模試レベルですよ?」
いつの間に回復したのかヒフミが素であり得ないという反応をするが、俺よりもそういうことに長けた生徒がここにいるんだよなぁ……
俺の逃げ回って問題を起こしながらも、あんまり話題に上がらないようにしてたマジックその一。
適度なテスト点のキープ。
割とトリニティ生はマウントの取れない要素があると問題を起こしていても大問題で無ければ、ヒソヒソと陰口を言う位で済む。
クソみたいな陰湿なイジメやら大々的に人を叩いてくるのは本当に学校転覆クラスのことをした時だけなのだろう。
元よりミレニアム志望。ミレニアムで遊び惚けるべく、それなりの成績を出せるように必要な勉強を本気で詰め込んだのだ。最終的には、入試で自己採点上80点になるよう自己調整したりとかできるようになった。
まぁ、これに関しては言っていいか。
「……普段トラブルに巻き込まれるんで成績はやや良いから普通位でキープするようにしてるんです。変に成績良いと政治的に利用価値があると思われちゃうんで……」
「政治的に?」
「あー……トリニティって自称民主制の貴族政治なんです。三大派閥みたいな形で分かれてずっとギスギスしてるんですよ。そんな中、あっちこっち行って揉め事に巻き込まれるそれなりに頭の回る生徒がいたらどうです? 他の派閥に押し付けて失脚させる足掛かりに出来ません?」
「なる……ほど?」
「先生あんまり分かってないでしょ。……まぁ要するに人間関係を壊す爆弾として使える生徒として今以上の面倒事に巻き込まれたくないから、あんまり成績良すぎる様にしたくないんですよ」
そういう面も理解してのキヴォトス統一模試問題を俺にだけやらせようというナギサの魂胆だろうが、合格点とって全員退部したら、ティーパーティー権限いっそ剥奪してやろうか……?
しかも『逃げるな』と来た。
「ルカを爆弾にするのは良くないね」
「でしょー?」
マジでわかってないじゃん先生。なんでこれでエデン条約問題解決出来ちゃったんだよ。
……まぁ人の考えが分からないのはナギサも俺も同じだ。
どこまで俺のことを分かってるのか分からないからこそ、その言葉に含まれた意味が膨大に膨れる。
少なくともナギサは、ヒフミ達補習授業部の部員は俺に対しての人質という面を強調したいらしい。
だが、それよりも今、一番腹が立つのは―――
友達であるヒフミよりも、
俺を縛り付ける為の役職、他人からしたら無理難題レベルの条件。そして何よりペナルティがあからさま過ぎる。
補習授業部の面々に対して、俺だけがデメリットになる要素が少過ぎる。
脳裏に『何故』がこびりついて離れない。
「ルカちゃんはすごいですね、
そんな頭に浮かぶ何故を上書きするように、ポツリと漏らしたハナコの
その気になれば俺以上に点数調整が出来る奴が何を言ってんだと思う、が。
少し考えてハナコのやる気スイッチを押せそうな言葉を探す。
「……アズサ、お前なら結局全部意味が無いことをしてるぞって言われたらどう返す?」
「……たとえ全て意味が無かったとしてもそれをすることに意味があると思う」
「うん、私もそう思う。やっぱそれが答えだと思うんだよなぁ」
「答え、ですか……?」
「そう。次コハルかな、コハルは周りが敵で味方の居ない子がいたらどうする?」
「はあ?! そんなのとりあえず守るに決まってるじゃない!! 私が正義実現委員会のエリートなの忘れてない!?」
「
「へぇ!? わ、私ですか……?」
「そりゃあ一人一人に質問してるから。さて、問題です。
『貴女は今、人生の岐路に立っています。友達が一人何処かに消えてしまいましたが、友達を探せばひょっとしたら学籍を失い路頭に迷うかも知れません。一方、探さずに学校にいれば貴女とその他の友人は幸せな暮らしが出来るでしょう。貴女はどうしますか?』」
「そ、そんなの……」
ハナコが非常に分かりにくいが少し顔を暗く濁らせる。
ヒフミが選べないと言うと思っているのだろうか。それとも、どんな嘘が出てくるのかと考えているのだろうか。
「友達を探しますよね……? それが普通じゃないですか?」
ハナコがその一言に顔を上げる。
普通。
そう、普通の事だ。その普通を通すのがどれだけすごいか本人は分からないだろうけど。
がんばっていじめから守ったり、がんばることを諦めなかったり。それを知ってるから。
だからこそ、少し早いかもしれないけど
「言うほどそれ普通か?」
「え、いやだって、……そ、そう!! 探さないと幸せにはならないですし……!」
「何で幸せになれないと思う?」
「それは、ええっと……友達が一人居ないのに幸せになんてなれなくないですか?」
ヒフミのその答えに俺はとても満足を覚えた。
そして何より、ハナコの顔が驚きに満ちていたことに快感を覚えた。
あまりにも意外過ぎる例外を知ったみたいな、そんな常識を壊された顔をしてるんだ。
やっぱ最高だよ、補習授業部。
「
「私からも、聞いて良いですか?」
「どうぞ?」
一瞬、間が空いてハナコが口を開く。
「それは、トリニティでは少数の考え方です。だから、私にはどうしてそんな考えが出来るのか分からないです」
いやちょっと待ってほしい。
ハナコは感情を表に出すの苦手だった筈だ。
なのに……???
なんでこんな急に変わる?
ナギサに原作に組み込まれるわ、色々大筋変わってたりするわでちょっとくらいならいいかって、ハナコを本気にさせようとはしたけどこんな変わるものか?
皆何かちょっとおかしくなってない????
アズサ然りヒフミ然り、コハルは……特に変わっていないが。
「あー、えっと。ハナコ……私達は後のことなんてよく分かんないし、そんなことも考えられないバカなんだよ。じゃなきゃ、こんな部活は生まれない」
「バカ……?」
咄嗟のことで思考がズレてしまったが、何とか聞かれたことへの返答をする。
「うん、成績どんだけ良くなっても、根っこはバカだからハッピーエンドしか見たくないし、いつまでも反抗期だし、コハルはエッチなものが大好きなんだ」
「好きじゃないわよバカぁ!!!!」
「こんな風にね?」
「あはは……」
「ほら、副部長も何も言い返せない。バカだから」
「ルカちゃん、私にだけあたり強くないですか!?」
「ヒフミ、ルカが言うならきっと私達はバカなんだ」
「アズサちゃんまで……」
俺の首絞めて落とした恨みだ、バカ筆頭。
俺を除く部員全員と顔合わせしてその足でライブ行ってるのマジでやばいぞ。それに、ブラックマーケットをゆるキャラの為に闊歩するなんぞ、マジモンの狂人だからな?
「だから、バカ同士分かりやすい会話しよう? ここで初めて会った奴ばっかだろうし、ハナコの話し方ちょっと小難しく考えすぎてるよ」
「……そうかも、しれません――――ヒフミさんにも驚きましたが……貴女も変わらないんですね」
「うん? うん、じゃそういう事で私は帰るね」
なんかヒフミが変わらないとか言ってるし、バタフライエフェクト多発してるじゃん。
「ヒフミさん、彼女をふん縛って下さい♡」
「ちょっと良い話をしたと思ったらいつも通りの逃げる為だったとか、私の感情を返して下さい」
ヒフミがバッグからペロロの舌が伸びるワイヤーの様なものを取り出して迫る。
「いやほら、ここは場を和ませないとかなぁって思いまして……」
その言葉の判断をハナコはヒフミに委ねるように、目線を送る。
「いえ、アレはあわよくば逃げれるならこの場から離れようという本気の目でした」
「だそうですよ♡ 大人しく椅子に座って縛られて下さいね〜」
「助けてコハル!! 正実でしょ!?」
「いや、アンタが悪いんだから大人しくしてなさいよ……」
「……ヒフミ、ルカはきっと逃げないから縛るのは良くない」
意外なことにアズサが助け舟を出し、俺を庇ってくれようとする。が――――
「アズサちゃん……その人はご飯を一緒に食べようと誘っただけなのに逃げ出す人です」
「ならもっとちゃんと縛らないとだ。ヒフミ、私にワイヤーを貸してほしい」
どうしてその情報でその判断に至ったのかはわからないが判決は覆らないらしい。
アズサが綺麗な手のひら返しで敵に回ってしまった。
そんな悲しい顔しないでくれ、俺が悪かったのは分かってるから。
「アズサ……」
「ルカには悪いけど痛くはしない」
「はい、部長を無事縛り終えたので、先程のテストの結果を返しますね」
すごい丁寧に、且つ簡単に抜け出せない様に椅子に縛り付けられ身動きが取れない俺をそのままに、テスト返しが始まる。
多少はハナコのメンタルケアが出来たということで良しとしよう。いや、正直帰って格ゲーしてドローンとか愛銃弄くり回してたかった……
「なんですかこれぇ!!?」
他の部員のテスト点を知ったヒフミの絶叫とも言える心の叫びが聞こえる。
補習授業部合宿編の開幕だよ畜生。
家に帰りたい……
次回合宿編に入るか、過去編です。
今後ともゆっくり書いていきますがお付き合いいただけますと幸いです。
いつも誤字脱字報告、感想、評価ありがとうございます!!
作者は乞食なのでガソリンになってます!!
これからも頂けますと喜びます……! 飛び跳ねます……!!
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