Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
ちょっと影の地でミケラの追っかけしてました。
HALの立体化来ましたね。やったぜ。
「ホシノ……」
短かった桃色の髪は長く伸ばされ、いつも着ていたはずの暑苦しいベストは脱いで傍らにはここにはいない彼女の盾を携える姿は2年前の記憶にある姿とは殆ど違うというのにを一目見た瞬間にレイヴンはそれが誰かとわかった。
けれど、それと同時に誰かの姿を幻視してしまう。
「ワタリ……」
向こうも同じのようで、自分の偽名を小さく呟くのが見える。
左右で色の違う瞳に覗く色は友好的なものでは無く、敵意や失意、哀哀、そして何処か戸惑いの色が見えた。
けれど、レイヴンにとって当然かと胸の内で自嘲する。
あれだけのことをしたのだ。これでも出会い頭に鉛玉をぶち込まれないだけマシと思えた。
「……なんで、貴方がここに──タァン! ──シロコちゃん!?」
「ッ……」
ふと、ホシノが何かを言おうとしたが遮るかのよう発砲音が響き、引き金を引いた人物の名を叫ぶ。
弾丸がレイヴンの頬を通り過ぎ、血の球が零れ一筋の線が下へ落ちた。
シロコと呼ばれた少女はレイヴンに鋭い視線を叩きつけ、構えられたARの銃口からは硝煙が立ち昇っており彼女が発砲したことは火を見るよりも明らかだ。
「……お前、なに? いきなり」
ホシノに撃たれるのは構わない。けれど、それ以外となると話は別だ。
血を拭うことなくレイヴンは下手人を睨みつける。一応とはいえ助けたというのにこの仕打ちにレイヴンが殺気立つ。
それに呼応するかのようヘイローと瞳の輝きが微かに強まり、周囲の空気がピリ付き、何かあれば即座に起爆するほどだ。
けれど、そんな空気を破るかのように声を上げる者がいた。
「ワタリ! 来てくれたの!?」
それはホシノを除いてこの場でレイヴンの事を知っている先生だ。
草臥れた様子の先生が能天気な顔をしてレイヴンへと近づいてくると、その顔を見たレイヴンは貶すよう答える。
「……先生、生きてたんだ。良かったよ死体じゃなくて。
死んでたらリンチャンに説明するのが面倒だったからね」
「酷くない!? 私の扱いちょっと軽くないかなぁ!」
酷く傷ついたように反応する先生。
空気の読まない彼の声のお陰が、一触即発だった空気は弛緩してシラケたのかレイヴンのヘイローと瞳の輝きが弱まった。
「……その人、先生の知り合い?」
先生とレイヴンの気安い会話を見てシロコが銃口を下ろし問い質せば、先生はそれに軽い調子で答える。
「うん、一応私の補佐としてシャーレに常勤してくれてる子だよ。名前はワタリ。
えーと、このとおり悪い子じゃないから皆銃を下ろしてくれるかな?」
「でも、ソイツさっき私たちの事撃ってきたのよ!? オマケに校庭をめっちゃくちゃにして!」
セリカが吠えるとおり、先の銃撃は彼女たちを巻き込んでおりホシノが庇わなければ今頃ヘルメット団たち同様に地に伏せることとなっていただろう。
けれど、そんなことはレイヴンからは知ったことでは無いし、レイヴンから見ても先の戦闘は殆どアビドス側が敗北は必至だった。
寧ろそちら側は感謝をすべきでは無いのだろうか? と、レイヴンは思ったが何も言うことはせずに口をとざす。
断じてめんどくさくなった訳では無い。ないったらない。
「ちょっと、何か言いなさいよアンタ!」
「ま、まぁまぁ落ち着いて。ほら、ワタリも説明しないとあの子はどんどん怒るよ。ね?」
「はぁ……わかったよ」
先生に言われ、レイヴンは虚ろな目を瞬かせた後に周囲を見渡す。
「とりあえず、立ち話も面倒だし校舎に案内して欲しいんだけど?」
邪魔だったヘルメット団たちに最低限の手当を行い、ロボットたちが近場の病院へ運ぶのを見送り、こじんまりとした室内に案内され、それぞれが対面するように座る。
「黒見セリカよ。学年は1年で対策委員会の会計担当よ」
レイヴンに威嚇していた黒髪のお下げの少女が名乗る。
「お、奥空アヤネです。シャーレに手紙を出したのが私で、セリカちゃんと同じの1年生です。
対策委員会で書記をやっています」
眼鏡をかけ、耳のとがった素朴な印象の少女が名乗る。
「十六夜ノノミです〜。学年は2年生ですよ☆
よろしくお願いしますねお2人とも☆」
ベージュの髪色のおっとりとした雰囲気の少女が名乗る。
「砂狼シロコ、学年は2年。先生を保護したのは私」
素っ気なく名乗るのはレイヴンに向けて発砲した少女。
そして最後に。
「…………小鳥遊ホシノ、3年で一応対策委員会の委員長だよ」
ホシノが名乗り、視線はレイヴンに固定され何時でも対応出来るように手元の愛銃のグリップへと手を添えていた。
「えーと、改めてシャーレの先生です。
ここに来たのはこの手紙による救援要請をみたからだよ」
レイヴンの隣に座る先生が言い終えると、武装の解いたレイヴンは名乗る。
「……連邦生徒会に雇われてシャーレの補佐をやってる。名義はワタリ。
さっきのは貴方たちが傍から見てたら制圧されそうだったからやっただけ。
それと、ここに来たのはこのボンクラが遭難したからソレの捜索のためと───」
レイヴンは一旦区切り、小さくホシノを見てつづけた。
「───個人的な理由が幾つか」
「ッ──」
ピクリと、ホシノの手が動くが理性が働いたのか引き金を引かれることはない。
『では、最後に私も名乗りましょう。改めて初めましてアビドス対策委員会の皆さん。
私はレイヴンの完璧で究極なオペレーターをさせていただいています。エアと申します』
「声が……?」
「一体どこから……」
レイヴンの首に嵌められたチョーカーからエアの声が出力されるが、ホシノと先生を除く面々が音の出処を探るように声を出す。
『申し訳ありませんが、私は一身上の都合で皆さんには姿を見せることは出来ません。
ですが、レイヴンを通して見ていますのでコミュニケーションには問題がありませんので悪しからず』
エアが告げるとレイヴンは席から立つと口を開く。
「補給物資の受け渡しをしたいから責任者……ホシノが来てくれる?」
「……別に私じゃなくてもいいんじゃないかなぁ?」
「…………私が変なことしてたら止めれるのがいないけどいいの?」
「うへ……」
ホシノは呻くように笑うと愛銃と盾を掴み、レイヴンの後へと続く。
「なんだか先輩の様子が変だった」
「変ってどういことなのシロコ先輩?」
余所者が小さな先輩を伴って出ていったところ、ふとシロコが零す。
それに反応を示すのは後輩のセリカだ。
「ん、いつものポヤポヤした雰囲気を感じなかった」
「言われてみれば……。ねぇ、先生。あの補佐の人と先輩ってなにかあったの?」
「え!? いや、どうだろう……私もあの子のことは何も知らないんだよね」
「先生の補佐なんですよね? ワタリさんは……」
「あはは……助かってはいるんだけどね」
「あのおっきなヘリも凄いですよね〜。ワタリちゃんの持ち物なんですかね?」
ノノミが窓から外を見やれば、完全に耕された校庭の中心に鎮座する全高が10mを容易く超える大型の輸送ヘリが見える。
物々しいヘリの外殻には翼を広げる鴉とその鴉を慈しむように掌を広げる女性のエンブレムが刻印されていた。
シロコを除いた面々が話しているのを横目にシロコは眉根を寄せ、出ていったホシノへ意識を向けて思う。
「(なにもないといいけど……)」
「えと、その、調子は……どう?」
「そうだね、誰かのせいで絶賛底値を更新してるよ」
「……そ、う」
無言で廊下を歩いていたが、ふとレイヴンがホシノに尋ねるが彼女は冷えた声色で返す。
取り付く様子のない彼女にレイヴンの頭頂部の耳がへにゃりと倒れ、背中の羽も心做しか元気が無さそうだ。
視線を彷徨わせながら、レイヴンは拙い語彙を総動員させながらホシノへ話題を作りだす。
エアは頼れない。これはレイヴン自身の問題でもあるからだ。
「……4人も新しい子が入ったんだ、ね?」
「…………」
「やっぱり、まだ借金はある……?」
「…………」
「えと、その……髪、伸ばしたんだ、ね?
その、最初、見た時びっくり、した……。その、まるで───」
「ッ!!!」
「アグッ!?」
突如胸倉を掴まれ、壁へと叩き付けられる。
かなりの勢いで背中を強打し、肺から空気を押し出されレイヴンは呻き、エアが叫んだ。
『レイヴンッ! ホシノ、なにをっ!』
「ぐ……ぅ……エア、なにもしない、で……」
『ですがっ……!』
「いい、からッ……」
『ッ……わかり、ました』
その言葉にエアは吐き出すように答えて引き下がるを確認し、レイヴンはホシノへと視線を向ける。
そこには両手で襟を握りしめ、顔を俯かせているホシノが絞り出すように叫んだ。
「んで…………」
「なんで、今更私の前に現れた!!?」
「そ……れ、は……」
顔を上げた彼女の顔には憤怒、悲観、憎悪、懐古に哀愁、後悔といった様々な色の感情が浮かんでは消えていた。
目尻に透明な雫が零れる彼女の顔を見つめながらレイヴンは何度も間を開けながら口を開き、話し出す。
「……君に、謝りたかった……」
胸の奥にささくれのように刺さった小さな引っかかり。
彼女たちが底抜けの善人だったから。自分のことを受け入れてくれ、優しくしてくれた。
「えと、許されることじゃないと分かってる……
寧ろ、恨まれて当然……だから
けど、でもずっと、良く、分からないけど……」
「ユメと君が私にとって……「黙れッ……」うぐ……」
途中で強くホシノに胸元を締められ、堪らずレイヴンは呻き口を閉ざす。
「───……さら」
「今更、遅いよ……」
不意にホシノの手の力が抜け、レイヴンは重力に従って塩ビシートの床に落下して尻もちを着いた。
「ゲホッ! ゴホッ……!」
喉元を抑え、何度も咳き込みながらレイヴンは空気を喘ぐ。
「ホシ、の……」
こちらを見下ろす彼女を見るが、その顔は影となって見えることは無かった。
続きません。
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