Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
じょ、情報の大洪水やっ!!!!
立体化戦争が来ておるぞ!えらいこっちゃ!!
これはもうアーマードコアは世界的コンテンツで間違いないのでは?ひゃあ!脳みそパチパチ弾けて最高だぜっ!!
失礼しました、あまりに興奮してコーラルキメてしました。
では、言い訳をさせてください。本来だったらミカの誕生日に投稿したかったんですけどなんだか季節外れのインフルになってしまって死んでました。
今はだいぶ落ち着いてるんですけどね。皆さんは体調管理にお気をつけてください。
それではどうぞ。
フォークで刺す、口へ運ぶ。
きっちり30回よく噛んで嚥下する。
フォークで刺す、口へ運ぶ。
きっちり30回よく噛んで嚥下する。
フォークで刺……さずに避け、隣にあった唐揚げを食べようと───
「好き嫌いはダメですよワタリさん!」
「ピーマンは入れないでって私言ったもん」
「もー、そんなんじゃ大きくなれませんよ?」
「問題なし。必要な栄養などサプリメントで補給可能」
「そんな自慢げに言ってもダメですよぅ!」
ぷんすこと怒る友人の横目にレイヴンはフォークに刺したままだった唐揚げを頬張る。
アツアツジューシー、スパイスが効いてとってもデリシャス。パチパチ弾けて脳みそ幸せだぜ。(顔筋死んでるレベルの無表情)
現在レイヴンがいるのはゲヘナ学園の食堂だ。
来た理由は食事するためで、ここで給食を提供する人物がレイヴンの友人のひとりなのと作る料理にレイヴンの胃ががっちり掴まれていて、定期的(週9くらい)訪れている。
そんなぬぼーっとした目でご飯を食べるレイヴンにぷりぷり怒っているの頭に三角巾をかぶり、エプロン姿の角の生えたスタイルのいい女生徒はゲヘナの台所を担う部活『給食部』のメンバーの一人"牛牧ジュリ"だ。
給食部と言っても、彼女はとある体質のせいで料理を作ることは出来ないのだが。
それと、もう1人のメンバーが調理場でレイヴンの追加のご飯を作っており、ここにはいない。
そんなジュリのお説教を何処吹く風といった様子で小さな口で沢山の料理を食べていると、
「ふふっ、フウカさんの作る料理はどれも絶品ですからワタリさんの反応も当然でしょう。
ところでそろそろこのワイヤーを解いて下さらないでしょうか? この体勢も結構きつくなってきたので」
「ですね〜☆床に転がされて目の前で美味しいものを食べてるのを見させられるのって中々辛いものもありますから〜♪」
「だから言ったじゃん! 今日はワタリがいるからフウカを攫うのはやめようって!!」
「そんなことよりお腹へったんだよ!!」
そんなやかましい声×4がレイヴンの足元から聞こえてきたではないか。
一旦食べる手を止め、レイヴンは足元を覗いて口を開いた。
「まだ私が食べ終わるまでダメだよ。ハルナ、アカリ、ジュンコ、イズミ」
全身をワイヤーで拘束され、4人の少女たちが床にころがっている。
彼女たちもゲヘナ学園の生徒で『美食研究会』という非公式の部活動のメンバーたちで、名前は上から順に"
そして、キヴォトスの中でもぶっちぎりのヤベー奴らでもある。
活動内容な各々の美食を追い求めるというものなのだが、その目的のためには手段を選ばないというのが問題なのだ。
接客態度や出した食事がお眼鏡に叶わなかったら爆破し、とある場所に珍しい食材があれば別の学園の自地区だろうと襲撃をかます。
相手がたとえ格上でも目的のために突撃をする(ここ重要)
話は変わるが、レイヴンが過去に引き受けた仕事で、とあるマフィアが手に入れた七色に光る巨大な果実の移送を任されたことがある。
その途中でこいつらに襲撃かまされたが、普通に撃退して仕事はきちんとこなした。
ブツを傷一つなく渡して報酬も満額+αを貰って、ホクホク顔でエアと焼肉に行こうと話しながら帰路に付いたら、何処で話が漏れたのかマフィアたちが襲撃されて本拠を爆破された挙句にブツを奪われたからと言って倍の報酬を払うから報復と奪還を頼まれた。
レイヴンからしたらそっちの不手際だしそんなの知ったこっちゃねぇ、と言って引き受けずにそのままお高い焼肉屋に行って特上カルビを食べてたら居たのだ。襲撃犯たちが。思わず2度見してしまったが仕方ないだろう。
せめて目撃情報だけでいいからと、教えられた外見が諸々あってたし、なんか大きな箱に入れられて外目につかないようにされてたけど微かに覗く部分が七色だったし。
極めつけは。
「ふふっ、1度目は不覚を取りましたが独立傭兵レイヴンがこの果実を渡した後に襲撃すれば簡単でしたわね」
「ですね〜☆彼女に比べたら楽勝です♡」
「そんなことより何で焼肉なんてやってんのよ! しかもそこまで離れてないから絶対見つかるって!!
さっさと帰っちゃおうよ!」
「そんなのよりこのフルーツポンチ生牡蠣のキャビアのせがまだなんだよ!」
なんかもう、普通に隣の席で焼肉食ってたのだ。
エアなんか余りに予想外すぎて絶句していたし、レイヴンもドン引き不可避である。というかなんだ最後のヤベーメニューは? 絶対合わせちゃいけないやつだろ?
というか割とボコボコにしてたのに何でもう復活してんの? 金髪のほうは右腕と左足をへし折ったはずなんだが?
頭の中で疑問とツッコミが現れては消えていき、最終的にレイヴンとエアな出した結論はめんどいから無視しよ、だった。
尚、最終的にマフィア含む雇った傭兵が焼肉屋にカチコミをかけ、食事の邪魔をされた美食研究会含むレイヴンがブチ切れ、最終的にはゲヘナ全域を含む裏勢力や風紀委員との全面抗争の果て、勢力図がいくつか書き換わるというとんでもドタバタ大騒動へ発展するのだがここでは蛇足とする。
ともかく、その中で彼女らとは嫌でも交友が深まることとなった。
悪いやつでは……いや、普通に駄目だ。コイツらはルビコン3にいた連中よりもイカレてる。
ともかく、色々と世話になったことはあるが、かけられる迷惑による被害の方が圧倒的に多い。
今回だってご飯を食べにきたら襲撃をしかけてきたため、レイヴンが鎮圧したのだ。
そんなこんなで食べていると、
「はい、追加のご飯ですよ」
厨房から料理を乗せたトローリーを押してきた少女がレイヴンのすぐ近くに湯気の登る料理を配膳していく。
「ん、ありがとうフウカ」
フウカと呼ばれた赤い瞳に黒髪ツインテールで、額から生えた2本の角に髪の毛を掛けている。給食部らしくエプロンと三角巾を着用した少女はレイヴンからの感謝に微笑んだ。
「別にこれくらいどうって事ないですよ。たくさんの食材だったり調理器具を安く提供してもらってますから!
でも、お料理を教えるくらいでここまでしてくれるのも気が引けるんですけどね……」
『お料理の作り方を教わってる身としては当然のことですよフウカ。
取引内容からもそう記してますからね』
その後ろには白を基調として所々に赤いラインの走ったデザインのオートマタが立っており、機械の人形からエアの声が流れてくることから彼女がそれを操作していることが分かる。
そんなエアと何処と無く声が似ている少女の名前はゲヘナ学園給食部の実質的な部長の"愛清フウカ"だ。
彼女の出会いのきっかけはやっぱりも言うべきか
時系列的には今からおよそ1年ほど前に遡る。レイヴンがゲヘナへ何時ものように仕事を片付けて温泉旅行に来た時に散策途中に市街地を給食部の車を奪って爆走する
目を覚ましたところ、助けてくれたお礼として食事を振舞ってくれ、それを食べたレイヴンが前述した通りガッツリと彼女の料理に胃袋を掴まれ、それ以降定期的にゲヘナの食堂へ通っている。
その中で食堂で騒ぐ連中をレイヴンが制圧して出入口に吊るし、気がついた頃には騒ぐやつはほとんど居なくなったりした。
そして、ココ最近はエアが彼女に料理を習い始めており、その対価としてレイヴンが個人的に所有している地下製造施設で栽培した野菜だったり、アシスタントロボを割と採算度外視の価格で提供したりしている。
しきりにフウカが申し訳なさそうにしてるが、美味しいご飯を食べさせてくれるだけでレイヴンからしたら感謝百倍なのだ。
どんな価値のある絵画や宝石などよりもレイヴンからしたら美味しい食事のほうが何百倍も価値があるというのがレイヴンにとっての持論だ。
「ッ、ちょっと待って」
そんな折、レイヴンの内ポケットに入れていた端末から甲高い着信音が鳴り響く。
液晶画面に表示されるコードを見て、途端に眉根を寄せて耳元へ運んだ。
「もしもし?」
『あ、レイヴン……? わ、悪いんだけどたすけ……て……』
少し前に聞いたばかりの声。それはとてもか細く、弱々しく伝えると同時に切れてしまう。
ツー、ツー、と話中音が聞こえる端末を直ぐにしまうとレイヴンはかけていたバッグと上着を手に取って席を立つ。
「ど、どうしたんですかワタリさん?」
「ん、急用。残りは詰めておいて。……エア」
『はいレイヴン。すでにヘリの用意は出来ています』
「ん、さすがだね」
呆気にとられた様子のフウカに一瞥もくれず、エアの操作するオートマタを後ろに連れて食堂を後にした。
「……それで、わざわざ1回ポッキリの権利を使って私を呼び出した理由が処理しきれない仕事の手伝いって馬鹿なの?」
『レイヴン、これはもうマヌケですよ』
砕かれ、飛散したガラスや散らばる瓦礫、書類などを小型のロボットたち忙しなく片付ける景色の中でレイヴンは気怠げな目でテキパキと書類やPCのモニターに表示されるデータを処理しながら呟く。
時間にして30分ほど、天井に申し訳程度の補修と修理、掃除が一段落したところにシャワーを浴びて見苦しくない程度にサッパリした様子の先生がやってきた。
「ごめん、助かったよレイヴン」
「別に。仕事で呼ばれたら仕事をするだけ」
『さすがに書類仕事をするために呼び出されるのは初めてですがね』
レイヴンの顔の上半分を覆うバイザー内には現在進行形で高速で上から下へ流れる情報が投影されており、目線入力でそれらをエアと共に処理しながらキーボードでPC上のタスクを処理するという地味に高等技術をしていたりする。
けれど、先生は顔を上げないで返答するレイヴンに対して、顔を上げる暇すらないほど大変だと自己解釈して益々申し訳なさそうにした。
別にこの程度のタスク処理など、ACを操縦する時の膨大な情報の取捨選択をするのに比べれば何百倍も楽なのだが、教える義理はないため黙っている。
程なくして先生のサインや判子が必要なもの以外の重要事項の低いタスクの処理を終えたレイヴンはバイザーを外して眉間を揉んだ。
『レイヴン、先生、珈琲ですよ』
「ん、ありがとうエア。……砂糖とミルクちょうだい」
「ありがとうねエアちゃん…………苦ッ!?」
アームロボットが持ってきたトレーに乗せられたマグカップを手に取り、レイヴンと先生は同時に飲んで顔を歪めて角砂糖を大量に落としてミルクをぶち込んで好みの味へと変えていく。
少しの間互いに無言で珈琲を飲み、一息つくと口火を切ったのはレイヴンだった。
「それで、なんで、あんな過労死一歩手前みたいな感じだった、の?」
『ですね。明らかに貴方一人で捌ける量の仕事ではありません。
一応、連邦生徒会の所属ですよね貴方は?』
「えーと……」
結局、事の顛末はこうだ。
連邦生徒会が処理しきれない雑事をシャーレに丸投げし、人員不足の連邦生徒会に迷惑をかけるため、頼るわけにはいかず、自分一人で片付けようとするがあまりの膨大さに先生は案の定キャパオーバー。
辛うじて意識の隅にあったレイヴンから渡されていた通信端末を思い出し、それを使用。
けれど、その時には既に先生の状態は徹夜を繰り返して意識を保っているのも精一杯で、何とか連絡をするだけして寝落ち。
そして、そんなことなど知らないレイヴンは大急ぎで輸送ヘリでシャーレのビルへ直行。そのまま直上でダイブして天井をぶち抜いて現れれば書類の山に埋もれてる先生を発見。
取り敢えず散らかした室内の片付けをロボットたちに任せ、レイヴンは数日間風呂に入っておらず臭う先生を風呂に叩き込んだ後にエアとともに自分でも片付けられる範囲で仕事を始めて今に至る。
「『馬鹿なの(ですか)?』」
「……カエスコトバモゴザイマセン」
救いようのない阿呆を見る目でレイヴンとエアは吐き捨てた。極低音の声色に先生は身をちぢこませて気まずそうに珈琲をすすった。
連邦生徒会に頼れない? んなの知るか。そもそも、シャーレーの権限では学園の生徒は問答無用で徴用出来るはずだろう。
そうすればこんな事態にならなかったと言うのに、お人好しがすぎると言うかなんというか……
どうせ、生徒を徴用しなかったのも前述の通りの似たような理由だとレイヴンは当たりをつけた。
面倒だしこのまま放っておくか? と、考えたところでレイヴンは僅かに溜息を漏らすと友人に語りかける。
「エア、連邦生徒会に繋げてくれる?」
『別に構いませんが、そこまでする義理は無いのでは?』
「そうかもね。でも、一応この人には借りがある」
『…………はぁ、分かりました』
渋々といった様子でエアが了承すると、レイヴンは懐から仕事用の端末を取りだして耳元へ当てると、スピーカーからノイズが少し走った後に語りかける。
「もしもし、リンチャン?」
『誰がリンちゃんですか。……この声は独立傭兵レイヴンですか? なぜこの回線を……はぁ、貴方のオペレーターの仕業ですか。
それで、この忙しい時になんでしょうか? 貴方には色々と聞きたいことが───「先生過労死しそうになってたけど?」───詳しく聞きましょう』
心做しか回線の向こう側の人物の声が数オクターブ下がったような気がし、ちょっとだけレイヴンは怖くなったので素直に事の経緯を事細かにゲロった。
『……事の経緯は把握しました。申し訳ありませんが
先生に変わっていただけますか?』
「ん、わかった。先生、リンチャンが変わってだって」
「あ、うん。わかったよ」
リンから言われ、レイヴンは端末を先生へ渡すと耳元へ運んで先生はリンと会話をし始める。
「あ、うん。うん……えっと、はい。はい。……ごめんなさい、いや本当にごめんねリンちゃん。
うん、気をつけるよ。うん……」
恐らくというか完全に怒られてるのだろうことが分かるほど、しきりに先生は謝り続け凡そ三分ほど経った頃に言いたいことを言い終えたのか先生から端末を返された。
『独立傭兵レイヴン、申し訳ありませんがひとつ依頼をしたいのです』
開口一番、彼女から言われたレイヴンは怪訝そうに眉を微かに潜める。
「……なに?」
『先生は見てのとおりの有様です。一応、後で連邦生徒会からも各学園にその補佐などをしてくれるよう有志を募るつもりですが、それでも不安が残ります』
そこで一旦話を区切り、レイヴンは傍らに置いていたマグカップを手に取って冷めてぬるくなった珈琲を飲んで続きを予想しながら来るのを待つ。
『なので、貴方には先生の補佐としてシャーレに常勤してほしいのです。
勿論、報酬や勤務時間、シフト等は互いに擦り合わせは必要ですが』
案の定と言うべきか、予想した通りの言葉を一語一句違わず言われたことにレイヴンはぬぼーっとした目でどうしたもんか、と思う。
『どうしよっかエア?』
『流石に面倒が勝りますねレイヴン。断ってもいいんじゃないんですか?』
『んー、それもそうか……でも、なぁ……』
『どうしたのですからレイヴン? なにか、煮え切らない様子ですが……』
『なんというか、うーん……んー…………?』
エアと交信しながら、ちらりと先生を見やるレイヴン。
見捨ててもいいんだが、なんというかそれだと言葉に上手くできない不快感がある。
何もしてないと地味に気になるというか、なんというか。そんな感じの不快感が。
「んー…………ん…………んんんんー………………」
唸り、レイヴンのよく分からない考えに同調するかのように腰の翼と頭頂部の獣耳が動く。その様子に先生がなんだなんだと見てるが、レイヴンは気が付かずにそのまま数十秒ほど考え唸った後に長いため息を吐き出す。
「はぁ…………今更なんだけど、私みたいな何処の馬の骨とも知れないような独立傭兵を明らかに
『そうです。レイヴンは他の連中と違って外道働きのようなことをしない分別はありますが、警戒心はないのですか?
まぁ、私のレイヴンはとても頼れて素敵で素晴らしいひとですが』
『……貴方のご意見は最もでしょう。ですが、この際は猫の手……いいえ、鴉の足ですら必要なほど人手が足りないのです。
本来であったらシャーレに我々の人員を派遣したかったのですが、ご存知の通り連邦生徒会会長の不在による各業務の滞りや各学園からの要請やクレーム、この間のサンクトゥムタワーの制御権を奪還してからの後始末に次ぐ後始末……「わかった。わかったよ」……そうですか』
なんだか闇が感じられるリンの言葉を遮り、レイヴンは眉間を揉みながら続けた。あと、エアのセリフは聞かなかったのごとくスルーするのはどうなのだろうか?
「はぁ、荒事は別料金だし弾薬費とかはそっち持ちでいいよね?」
『えぇ、それで構いません。
その質問をするということは、引き受ける……ということですか?』
「……そっちの変な派閥争いとかに巻き込まないならね」
『……引き受けていただけるだけ有難いですね。
では、詳しい話は後ほど。
それと、今度からは回線に割り込むようなことではなく、きちんと連絡をお願いします』
「ん、そーする」
『では、また』
最後にそう言い残し、レイヴンは通話終了ボタンを押すと気だるげにソファへと座り込んだ。
なんて言うか無駄に疲れた気分で、何も言いたくない。
「えっと、大丈夫レイヴン?」
「……ワタリ」
「えっと……?」
「……荒事じゃない時の仕事での名義ではそう名乗ってるから」
様子が気になって話しかけてきた先生に気だるげにレイヴンは答える。
まだ良く状況の読み込めてない先生は曖昧に頷くが、レイヴンの胸中にはグルグルと考えが巡っていた。
嘲り? はちがう。
怒り? はちがう。
それとも嫉妬? は絶対にない。
では、なんだろうか?
彼のように突然、見知らぬ土地で目覚めて、何も分からないうちに何かをしなければいけなくなったこと。
その何かをして、気がつけばやらなければならない事が沢山できて、それをひとりでやらないといけなくなったこと。
考えて、考えて、そしてレイヴンは気がつく。
「……同情、と哀れみ、か」
なんとなく、自分と似ていたのだ。
勿論、違う部分も大きいが、それでも何となく似ていたのだ。
見知らぬ土地、見知らぬ人々、見知らぬ常識……それと、今いる場所には自分だけだったこと。
レイヴンにはエアという頼れる
それでも物理的に信用して信頼出来る頼れる存在がいないという孤独は知らぬうちに不安になってしまう。
もし、本当に自分がひとりぼっちでキヴォトスに流れ着いたらどうだろうか?
今のように、ウタハ達のような友人を作れただろうか?
だから、先生に対して同情と哀れみを抱いて放っておく事が出来なくなったから、あんな風に仕事を引き受けたのだろう。
多分だけど、何も出来ないでずっと怯えてるかもしれない。
『レイヴン、どうしたのですか?』
「んー……エアが改めて好きだって、気がついた、ところ」
『……ふふっ、どうしたのですかレイヴン?
私はずっと前から貴方のことが大好きだと言うのに。ならば私はもっと好きになってもらわないといけませんね!!
そして物理的な肉体を手に入れたら"ルビコンスラング"的なこととか"ルビコンスラング"的なことを……!!』
後半部分はなにやら聞き取れなかったが、多分変なことでは無いだろう。
もし、仮にエアが求めてきたなら普通に身体なんて許すつもりだが自分の体なんて彼女は求めてくることなんてないだろう。
レイヴンはそんなことを思いながら先生に仮眠をとったら仕事の処理の手伝いをする旨を伝えて残りの珈琲を煽るのだった。
続きません。
・苦すぎる珈琲
これはかつて猟犬の飼い主がよく飲んでいた珈琲。
その味はとても苦く舌がピリピリするだろう。慣れてない者はすぐに吐き出してしまうほどだ。
けれど、それを乗り越えれば香り豊かで深いコクのある所謂人生という大人の味・・・というものを感じられるだろう。
もし、これを美味しいと思えるのなら、それはきっとこの珈琲のような人生を送り、大人になったと言うことだろう。
・とある猟犬と飼い主の記録
「・・・・どうした、621?ふっ、お前も治ったら共に飲むのもいいかもしれないが、その時は砂糖とミルクも用意しなければいけないな」
初老の男はそういうと薄く笑い、手元に握られたマグカップからは湯気が上り宙へ溶けていく。
仕事を終えたら、いつも飲んでいる飼い主の液体を見て猟犬は朧気ながらに記憶する。
いつか、共にそんな日が来るのだろうかと夢想して。
これは、ほんの少しの休息の時間に記録されたもの。