Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
一応これでチュートリアルの部分は終わりですかね。
無駄に長くなった気がしますねほんと。文才と話をまとめる才能が欲しいです切実に。
ゴリアテの最新型こと型式番号『KMT–117 ゴリアテMark-V』はこれまでのゴリアテの欠点を克服させた兵器だ。
人型とはいえ、その動きは鈍重で殆ど固定砲台としてしか運用できないという本末転倒だったために脚部にローラーダッシュ機構を採用し、各部に加速用のブースターを追加。
頭部の特徴的ともいえた大口径砲を廃止し、代わりにセンサー類を強化した頭部へ換装。
背部には状況によって武装を切替えるタイプのマウントユニットを採用し、両前腕部にはグレネードランチャーと火炎放射の複合兵装を装備させる。
ローラーダッシュによる高速移動を行いながら複数の武装による弾幕を形成することを可能とし、厄介な兵器へ進化し正しくゴリアテという名前を恥じない性能を獲得したのだった。
その分、費用もかかっており、これ1機建造するだけでほかのゴリアテ10機分もコストがかかってしまうのは余談だが。
「チッ、本当に面倒だ……」
ジグザグに走りながらレイヴンは右腕と背部のサブアームで保持したリニアライフルの引き金を引き、電磁加速された鉄杭が射出される。
空気を引き裂いて放たれたソレらをゴリアテは脚部のローラーを回転させ、その巨体に似合わない俊敏さで避ければレイヴンに向けて背部ユニットに装備されているガトリング砲が火を吹いた。
「ッ───!」
進路を塞ぐようにして打ち出される弾丸を前に即座にレイヴンは方向を転換する。
何も無い地面を弾丸が耕し、路駐されていた車を穴だらけにしてスクラップへ変えた。
すると、走っていたレイヴンの視界が微かに暗くなる。
何事かと思い、視界を僅かに上へむければ車が飛んできたでは無いか。
「クッ……!」
膝を曲げ、上体をそらして滑ることで間一髪飛んできた車がレイヴンの頭部のすぐ上を通り過ぎた。
後ろからひしゃげる音が聞こえてくるが、確認することなくレイヴンはすぐに立ち上がり疾走。
「近づけないな……」
背部ユニットのガトリング砲とは別の武装コンテナから小型の物体が射出されれば、ソレは空中へ滞空を始め、そこから大量の小型ミサイルがレイヴンに向けて射出された。
手首に嵌めたデバイスからワイヤーを射出し、ビルの外壁に突き刺さるとワイヤーの巻き取りが開始され空中へと躍り出る。
「…………ッ!」
リニアライフルのモードを連続射撃状態ヘ移行し、引き金を引く。
銃口から連続してマガジン内の鉄杭が発射され、迫り来るミサイルを迎撃。
幾つかのミサイルが撃ち抜かれ、空中で爆発。ほかのミサイルもその爆発に巻きこまれ誘爆を始め、巨大な黒煙が作り出された。
全くもってやりにくい。レイヴンの頭の中に浮かんだのはその一言だ。
近づこうにもあの過剰とも言える弾幕のせいで近づけず、かと言って近づけば火炎放射による牽制で距離を取らざるを得ない。
伊達にカイザーグループが持ちうる技術を詰め込んだ虎の子ではないということをレイヴンは身をもって体感していた。
『レイヴン、この際やむを得ませんがACを使いますか?
あの程度の兵器ならACさえ使えば……』
「それはダメ。ここじゃ人目につきすぎる」
『むぅ……面倒ですね』
「ん、全面的に同意する……あぶなっ」
「ギャァアァァアッ!!?」
エアと共に溜息をつきつつ、飛んできたグレネードをちょうど近くにいた不良の襟首をつかみ、投げることで進路上にぶつけて空中で爆発させる。
汚い悲鳴が轟くがコラテラルというやつだ。
「……仕方ない。あんまり使いたい手じゃなかったけど」
レイヴンはそう言うと外套の留め具を外し、脱ぎ捨てる。
外套の下に隠れていた全身に装甲を張りつけたボディスーツの姿が露となるとレイヴンは全身に巻き付けたベルトを外す。
ドサドサと音をたてて各種銃器やマガジン等の重しが地面に落ちると身軽となったレイヴンは何度か手首を回し、ゆっくりと四つん這いの体勢をとった。
「─────エア」
『はい。レイヴン』
瞬間、レイヴンのヘイローと瞳がひときわ強く輝く。
その灰色の髪の毛先が赤くなり、インナーカラーは深紅へと染め上が、周囲には赤く輝く物質が漂う。
「ッッッ!!」
息を吐き、そして全身に込めた力を解放。
凄まじい音ともにアスファルトが放射状に砕け、レイヴンの姿が掻き消える。
「はッ! ついに観念したか!」
ゴリアテの内部、広さを感じない狭苦しい操縦席でレバーを握る不良の少女は笑う。
全身の武器を捨て、膝を着いたあの独立傭兵レイヴンを見て自分が膝をつかせたという優越感に気分を良くした。
それが他人から与えられ、あまつさえ殆どAI頼りの操縦という殆ど自分の力では無いというのは滑稽とも言えるだろうがそれを指摘する存在はここにはいない。
とにかく、戦意を喪失したのならさっさとありったけの銃弾を叩き込んで残りの連中をぶちのめそう。
少女はそう思い、レバーのトリガーを押し込もうとした瞬間にモニターに映っていたレイヴンの姿が消えた。
そして、操縦席に振動が走る。
「な!? 何が起きた!?」
ビー! ビー!!
と、けたたましい警告音が鳴り響き少女は慌てた様子で声を上げる。
忙しなく視線を動かし、機体の現在の状態を表示するモニターへ視線を向ければそこには『左腕ロスト』という文字と全体図のうち、左腕の肘から先の部分の光が消えていた。
慌ててモニターを見ると、そこになゴリアテの左腕らしいパーツを両手で抱えてるレイヴンの姿が。
何が? 一体、いつ? いや、そもそもどうやって? 武器は何も────
「うわぁぁぁっ!!?」
思考がフリーズし、脳裏に疑問が浮かんでいると、今度は凄まじい衝撃と浮遊感で内臓が浮いたような気がした。
近くのビルへ機体が突っ込み、半ばまで埋まる。
どうにか体勢を建て直して反撃に出ようとした瞬間、脚部のローラー部分が壊され、立て続けに膝関節が破壊されて立つことができずに膝が落ち、酷い揺れに襲われる。
重々しい音を立てて地面へ崩れ落ち、操縦席が強く揺れ堪らず悲鳴をあげた。
「くそ、クソクソクソ!! なんなんだよお前ェ!!」
まだ映るモニターに駆け巡る黒い影に向けて少女は叫び、狙いも定めずデタラメに武装を放つ。
けれど、その悉くが避けられるか迎撃され、寧ろひとつ、またひとつと武装をその手でもぎ取られ、破壊され肉を削ぎ落とすようモニターに損傷状況を知らせるアイコンが追加されていく。
ガンッゴンッガッ!! バキッッッ!!
遂にはメインカメラが破壊され、モニター全面に砂嵐が走ったかと思えばコクピットのすぐ近く。正確に言えばハッチ部分からひしゃげるような音が鳴り響いた。
「ヒュッ……」
バキリ、と音を立てると不意に音が止む。音の出処へ視線を向ければ、そこには小さな隙間ができており少しだけ注視すると不意に奥に覗くバイザーと目が合うと息が漏れたような引きつった悲鳴が無意識に漏れる。
そして勢いよくハッチがもぎ取られ、コクピットの中に陽の光がが差し込み、外の景色を背にして縁に立ち、片手にはもぎ取ったらしきレイヴンが己を見下ろしているのが映る。
「……ようやく会えたね」
「ウワァアァァァッッ!!!?」
声が聞こえた瞬間、少女は狂乱する。やたらめったらにレバーをガチャガチャと動かしそれに連動してゴリアテは暴れ、ロデオ状態となったレイヴンは装甲をけって空中へ距離を取った。
「これで、終わりっ」
レイヴンはリニアライフルを構え、ほとんど死に体と評せるゴリアテに向け最大までチャージした弾丸を撃ちだ────―
ボンッ!!
「……わーお」
引き金を引いた瞬間、リニアライフルの銃身が爆発したでは無いか。
バラバラと空中にネジや何かの回路が散らばり、バイザーの奥でレイヴンがその深紅の瞳を丸くさせる。
本来だったら破片などによって腕がズタズタになるようなものだが、ボディスーツと装甲、加えて頑強な肉体によって殆どダメージはない。
けれど、問題なのは空中で加えて唯一残っていたゴリアテの主砲がレイヴンに照準を定めていることだ。
あと数秒後にはレイヴンに向け、その砲弾が打ち出されるだろう。
「やば……」
『っ! レイヴン!!』
即座にレイヴンは銃の役目を放棄したゴミを投げ捨て、前腕部にマウントされていたモノを引き抜く。
それと同時に砲弾は打ち出さ────―
「ハスミ!!」
「はい先生!」
──―れたと思った瞬間にゴリアテの砲身が爆発した。
何が起きたのかと思い、わずかに視線を向けるとソコにはスナイパーライフルを構えたハスミと彼女の肩に手を当ててこちらを見つめる先生の姿をとらえる。
どうやら彼女の狙撃を先生が指示し、見事ハスミが当てたようだ。
───いつの間に……
「いや、今はそんなことはいい……!」
かぶりをふり、引き抜いたソレが目を覚ます。
折りたたまれていたパーツが展開。湾曲した刀身とグリップがひとつとなって近未来的な刀となり、甲高い音を立てて刀身部分が超高速で振動を始めた。
そして、その刀身には赤く光り輝く物質、レイヴンから生み出されたコーラルが纏わりつき長く伸びた深紅のブレードを形作る。
「ハアっ!!」
両の手でグリップを握りしめレイヴンは裂帛の気合いを乗せて勢いよく落下の勢いを乗せて振り下ろした。
その深紅の刃はゴリアテの頭部へ突き刺さり、その傷口から内部へコーラルが侵入。隅々までズタズタに引き裂き、蹂躙し破壊する。
「ッ!」
爆発に巻き込まれる前に装甲を蹴けり、ワイヤーを射出して荷物をひっかけて距離をとると地面へ着地。
レイヴンはその場で振り返り、ブレードを払って残心を行う。
その後ろにいるゴリアテは各部からバチバチと火花を立て、小さな爆発を繰り返していく。一際大きな爆発をすると、
ドォォォオッッッン!!!
数空高くまで火柱が上がるほど、盛大な大爆発を起こしたのだった。
「……それで、なんで君も?」
「まだ主犯が見つかってないのに護衛もなしに行く気? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「し、辛辣!!?」
『当然では? 先程の不良を庇った時も一歩間違えば脳天に風穴空いてたことをもうお忘れですか?』
ビルの中をレイヴンが先導し、その後ろを先生がついてきながら進む。
ある程度鎮圧は済んだが、未だ今回の主犯の狐坂ワカモは見つかっておらずビルの中に潜伏している可能性が高いと判断。その護衛としてレイヴンが同行しているのだ、
もちろん、道中先生と共に来た少女たちも同行すると言ったのだがレイヴンは。
『私が設置したトラップに引っかかりたいなら来てもいいけど?』
と、言ったため残ることとなった。
レイヴンはまだビルの警備員としての仕事が残っており、先生が何するか監視するため護衛という名目でついて行く。
「んー、ブービートラップに引っかかった痕跡はない……か?
監視カメラにも映ってない……」
自分が設置したトラップを解除していきながらレイヴンは呟くと、先生が反応する、
「どうしたのレイヴン?」
『今回の主犯、狐坂ワカモは恐らくレイヴンへの報復を目的としています。
それだというのに、未だその姿を見ておらずオマケに今は
「なるほど……」
エアの説明で先生は納得したように頷き、程なくしてビルのとある地下室へとたどり着いた。
「ここから先は私が着任したときに1度だけしか入ったことないけど変なオブジェと電源のつかないタブレットが一つあるだけだったよ?」
「そうなんだ……うーん、リンちゃんがあとから来るって行ってたしそれまで中で待とうか?」
「ん……そうしよう」
そう言い、レイヴンは地下室の扉を開き中へと踏み込めば……
「うーん……これが一体何なのか、全く分かりませんね。これでは壊そうにも……」
和服を改造した衣装を纏い、銃剣の取り付けられたライフルを持った女が不可思議な形のオブジェの前にしてこちらに背を向けて立っていた。
「ッ……」
「君は……?」
先生が声を漏らすと、その女が肩を震わせて振り返る。
「……あら?」
狐の面を付けた女はレイヴンを見て、そのすぐ後に先生を見つめて固まってしまった。
そんな彼女に向けて先生は呑気に挨拶をする。すると、
「あら、あららら……」
「……」
「あ、ああ……」
「し、し……」
「失礼いたしましたー!!」
何故かそう言い残し、凄まじい身体能力で2人を飛び越えてレイヴンが追いかけるまもなく何処かへと消えて言ってしまった。
「……なん、だったのかな?」
「……さぁ? あれが『ワカメ』かもね」
『ワカモですよレイヴン。それでは海藻になってしまいます』
「ん、そうなんだ」
エアからの冷静な指摘に返しつつ、2人は何だったのだろうかと首を傾げてるとそのすぐ後に眼鏡をかけた連邦生徒会の役員が室内へと入ってくる。
「……どうかしましたか?」
「ううん、なんでもないよリンちゃん」
「ですからリンちゃんは……はぁ、今はいいです。
初めまして独立傭兵レイヴン。私は連邦生徒会の首席行政官『七神リン』と申します。
此度の治安維持のご協力は連邦生徒会を代表して感謝致します」
その役員、リンはレイヴンへ向き直ると頭を下げたが対してレイヴンは気にした様子もなく返した。
「別に仕事だし。きちんと報酬を貰えるなら問題ない。
それよりも本当にここに今回の騒ぎを終わらせるものがあるの?」
「はい。ここには連邦生徒会長が残したものが保管されています」
リンは言うと二人の間をぬけ、近くの机に置かれていたタブレットらしい端末を手に取る。
「……幸い、傷一つなく無事ですね」
表面を確認すると、そのタブレットを先生に向けた。
「……受け取ってください」
「これって、タブレット端末?」
「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残したもの。『シッテムの箱』です」
「……」
その端末の無駄に大仰な名前を先生が聞いた時、レイヴンの目には彼の横顔が何故かどこかで見たものがあるかのような反応をしているように見えた。
けれど、リンはそのことに気がついた様子はなく端末の説明をする。
「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。
連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生のもので、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだといっていました。
私たちでは起動すらできなかったものですが、先生なこれを起動させられるのでしょうか?
それとも……」
リンは言葉を区切り、目を伏せる。
これでダメなら打つ手なしであり、キヴォトスの治安は更に悪化することは明白だ。
「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかっています。
邪魔にならないよう、離れています」
「ん、私も」
あとはもう流れに身を任せるしかない、レイヴンとリンは離れて成り行きを見守る。
先生は受け取ったタブレット、シッテムの箱を見つめた後に覚悟を決めたよう電源ボタンへ触れるのだった。
今まで誰が触っても起動画面にすらならなかったその表面に明かりが灯る。
「……パスワードは……」
……我々は望む、七つの嘆きを。
…………我々は覚えている。ジェリコの古則を。
そして、そのすぐ後に薄暗かったビルの室内に明かりついた。
「……はい、はい。わかりました」
携帯に耳を当て、どこかに連絡を取っていたリンが通話を切ると顔を上げる。
「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。
これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理が進められますね。
お疲れ様でした、先生。独立傭兵レイヴン。
キヴォトスの混乱を防いでくれたこと、今日までこのビルを守ってくれたことに、連邦生徒会を代表して重ね重ね深く感謝いたします。
ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく」
「私も協力しようか?」
「いえ、これ以上は貴方の協力は必要ないでしょう。
それでは、シッテムの箱を渡しましたし、私の役目は終わったようですね」
「じゃあ、私の役目も終わりか」
レイヴンは言うと地下室の出口へと歩みを進める。
「じゃ、またね」
「あ、うん。ありがとうねレイヴン」
「別に感謝なんてされることはしてない。あくまでも仕事だから」
『それでは、皆さんさようなら』
それだけ言い残し、その場を後にした。
レイヴンは爆発し、黒焦げとなったゴリアテの残骸の上で次々パーツを漁っては何かを見て比べ、投げ捨てていた。
「これは……うん。これもそうだ……。ということは……」
『この部品は……これは……むぅ、これは、やはり』
そんなことをしていると、
「やっ、少しいいかい?」
先生のそんな声が聞こえてくる。
「…………なに? 他の子達と話してたんじゃないの?」
ゴリアテのパーツを漁る手を止め、レイヴンは顔を向けるとそこには片手を上げて朗らかに笑う先生の姿が見えた。
「あの子たちとは話が終わって学園に帰ったからね。
それで、そういえば君とはまだろくに話してないと思ったから来たんだ」
そう言われ、レイヴンは先生が少し前までいた場所に視線を向けるとそこには居たはずの生徒たちは何処にもおらず、この場には自分と先生の2人だけらしいことが分かる。
「……はぁ」
レイヴンは息を吐き、そこから3m以上はある高さから飛び降りた。
難なく地面へ着地し、顔を上げるとなんとも言えない顔で先生はこちらを見つめておりレイヴンは怪訝な表情で聞く。
「……なに?」
「……いままで散々理解させられたけどキヴォトスの子達って身体能力高いよね。
このロボットと戦ってる時なんてレイヴンの体光ってなかった?」
「ん……最後のあれは私にとっての奥の手みたいなもの。
それに、身体能力の高さについてはこの肉体で目覚めてから私も似たようなものだったよ」
「それってどういう──「そんなことより」───あ、うん」
先生の言葉を遮り、レイヴンは何かを言おうとして何度か口ごもる。
それにたいして先生は何も言わず、少しの間だけ無言が続いた。
「……ありがとう」
「うん?」
不意に、か細いレイヴンの声が先生の鼓膜を震わせる。
「あの時、ゴリアテの攻撃を中断させてくれて助かった。
だから、えっと、その、ありがとう」
『私からもレイヴンを助けていただき、感謝します先生』
「いやいや、私は何もしてないよ。今回の騒動だって後ろから指示を飛ばしてただけで皆におんぶにだっこだったからね」
先生はそう言い、なんでもないように笑うけれどレイヴンにとってはそんなことは無い。
優秀な兵士がいくらいようともソレはきちんと動けなければ意味が無い。そして、優秀な指揮官が入ればどんな雑兵だろうと優秀な兵士へ早変わりする。その逆もまた然り。
もし自分が目の前の人物の指揮する部隊と戦った時は苦戦は必至だろうと、かつてミシガン率いるレッドガン部隊と死闘をくりひろげたレイヴンにとってそう予見させる程に先生の指揮能力は卓越したものだった。
その後も他愛のない話を二三言交わすと、レイヴンは誰もいないのを確認する。
特に問題ないと判断すると、漸く付けっぱなしだったバイザーを後頭部の位置へ上げて、ヘッドギアを外し髪を掻き分けて顔いっぱいに外気を浴びて一息ついた。
「ふぅ……スッキリした」
「……そのゴテゴテしたヤツって私がいるのに外しても良かったの?」
「素顔を知られたら面倒な相手はいないしね。それに、ずっと付けてると疲れるんだよ」
『連日連夜、本当にお疲れ様でしたレイヴン。暫くはゆっくりしましょうか』
「ん、そうするつもり。……あぁ、そうだ」
近くのへし折れた標識に掛けていた外套に近寄ると、内ポケットから小型の通信端末を取り出して先生へ投げ渡す。
「うわっ……と、これってなに?」
「1度だけ私に直通で使える秘匿回線。
本当の本当に困った時に使って。どんな依頼も1回だけ無報酬で引き受けてあげるよ」
レイヴンが言うと、どこからともなく無人のスクーターがひとりでにやってきた。
「じゃ、またね」
『さようなら先生』
「うん、またねレイヴン」
外套を羽織り、レイヴンはスクーターに跨ると先生に手を振って発進させる。
『レイヴン、あのゴリアテですが……』
「うん、そうだね」
夕暮れの街中を走り、レイヴンは険しい顔でエアの話す。
「…………お粗末だけど、ACとMTの技術が使われていた」
『……はい。どうやら、詳しく調べる必要がありそうですね』
「ん。……可能性はあったけど、寄りにもよってあの連中か」
気怠げに空を見つめ、レイヴンはため息をこぼす。
空に綺麗な星空が瞬き始め、レイヴンは酷くそれが忌々しく思えた。
続きません。
掲示板ってやったら喜ばれますかね?
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