Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
新イベ来ましたね〜。ストーリーは見ましたか?最高ですね。新しい学園の生徒も来ましたけどインパクト強すぎじゃないですか?
それにどすこいエアちゃん号・・・じゃなくてSOLのフィギュアが来ますね。欲しいですね〜
「ふっ……」
「あがっ!?」
不良の顎をサマーソルトキックで蹴り上げ、両手でアスファルトに着地。腕の力だけで再び跳躍。
「ッ……」
空中に投げていたサブマシンガン2丁を掴みとり、腰の翼を稼働させ空中で体が横回転をする。
視界が回る中でバイザーの奥にあるレイヴンの瞳は的確に狙いを定めて引き金を引いた。
乾いた炸薬の音が連続して響き、キラキラと排出された薬莢が陽の光を反射させ、地面へ降り注ぐ様は絵画のひとつにも見えるだろう。
「しんど……」
レイヴンが着地して立ち上がると一番に気だるげな呟きが零れる。
そんな周囲には何人もの不良や装甲車の残骸などが転がり、空高くに有毒な煙を立ち登らせ続けていた。
『かれこれ朝からぶっ通しで戦い続けてますもんね。本当によくこれだけの頭数を揃えたものです』
「そうだね。数えるのもめんどいや」
サブマシンガンのリリースボタンを押すと軽くなったマガジンが重力に従って落下し、カランと軽快な音を立てて転がる。
すると、外套の背中部分が蠢いて、脇の下からひとりでにマガジンが出てきたかと思えばレイヴンが握っていたサブマシンガンへ装填された。
弾の節約も兼ね、まだ意識のある不良たちの顎を蹴って意識を完全に落としていると。
『レイヴン、ポイントA5に配置していたタレットやオートマタの損耗率が他よりも高くなっています』
「ん、そこにいるヤツらは他よりも強いってことか……」
最後の一人の顎を蹴り上げ、レイヴンはエアからの報告に僅かに眉根を寄せて嘆息する。
レイヴンにとって一山いくら程度の
「AC持ってくれば良かったかな……」
『レイヴン、気持ちは大いに分かりますが、そうしてしまった場合は悪い意味で新聞の一面に飾りますよ。
……いえ、レイヴンの素晴らしさがたくさんの人に知られるのは良いことなのでは?
レイヴン、やりましょう!』
「……変わり身早いね」
エアのハッスル具合にレイヴンは顔をしょぼしょぼさせながら思う。初めて彼女と出会った時のミステリアスさはどこに行ったのだろう? と。
いや、ルビコンで活動して時も段々と彼女の性格がおちゃめというか、ノリがいいと言うか、愉快な部分が出てきたがキヴォトスに来てからはかなりはっちゃけてるようにも感じられる。
友人が楽しそうならレイヴンとしては嬉しいし胸の内がポカポカする。それはそうと時々良かれと思ってのことなのだろうが時折変な方向と間の悪さが悪魔合体してドタバタ騒動になるのは勘弁して欲しい。
つい最近トリニティでの仕事中に勃発した正義実現委員会やトリニティ自警団、救護騎士団たちとの銃撃戦に巻き込まれたのを何処か遠い目をしながらレイヴンは思い出す。
エアの提案をやんわりと辞めるよういいつつ、レイヴンは先程報告のあったポイントへと駆けるのだった。
〇
「スズミは閃光弾でスケバンたちの目くらましをしながら撹乱を。
ユウカはスズミに追従して出来る範囲で無力化をおねがい。
ハスミ、あそこにある看板を狙い打てるかい? ……うん、頼むよ。そしたらすぐに狙撃ポイントを変えてね。無理はしないように
チナツは戻ってくる2人に手当をお願い。
みんな、ここからは正念場だよ」
耳につけたインカムに向け、その向こう側にいる少女たちに指示を送る男がいた。
その男は的確に指示を送れば次々と不良たちは無力化され、少しづつだが着実に目標へと進んでいく。
目が覚めたら見知らぬ場所、学園都市キヴォトスにいてあれよあれよと流されれば女の子たちが銃撃を行っている場面に投げ込まれ、これまた流されて指示をすることとなった。
幸いにも自分には初めての経験だというのにまるで知っているかのようにスラスラと何をすべきか、何をやってはダメなのかが分かる。
そうしていると。
『ッ、戦車なんてどこから持ってきたのよ!?』
『あれはトリニティの巡航戦車のクルセイダー1型ですね……型落ちですがどうやって?』
『備品管理部門は何をやっていたのですかまったく……!』
『それよりも射線上から退避を! 型落ちとはいえ戦車は脅威です!』
インカムから聞こえる生徒たちの言う通り、瓦礫をキャタピラで踏み潰しながら奥から出てきたのは1両の戦車だった。
トリニティ総合学園で運用されている戦車が何故不良たちが所有しているとか疑問が尽きないが、そんなことをしてる暇はない。
その戦車の砲門が狙いを定め、轟音を伴い火を吹いた。
「退避ッ!!」
砲弾が打ち出されるが、既に射線上には誰もおらずアスファルトの地面を砕くだけにとどまる。
「あの装甲を貫ける子はいる!?」
『悔しいですが、私はありません!』
『同じく、お力になれずすみません先生!』
『私の武器はハンドガンなのでそもそも土俵にすら立つことができなさそうですね……』
『一応徹甲弾を持ってきています先生!』
「わかった。……ハスミをメインにして他のみんなは戦車の注意を引くことをお願い!」
『『『『はい!』』』』
手短に指示を行い、生徒たちが配置につこうとした時に。
『そこの貴方たち、巻き込まれたくなければ離れなさい』
ザザッ、インカムにノイズが数瞬走った後に知らない女の声が聞こえてきた。
思わず聞き返すが。
「ッ、誰だい?」
『今私たちの正体はどうでもいいでしょう。それよりも、来ますよ』
「なにが────」
取り付く暇もなく切り捨てられ、最後まで言い終えぬうち、戦車の砲台の旋回する部分のハッチ部分で爆発が迸った。
更にもう二度、同じ箇所で爆発すると今度は。
バシュ! バシュ!! バシュ!!!
銃が発砲した特有の重々しい発砲音ではなく空気を引き裂くような変わった音が連続し、先の爆発で装甲に大きくダメージの蓄積していた戦車にダメ押しとばかりに3発の杭が突き刺さり、ハッチをぶち抜いた。
一連の攻撃により戦車が沈黙したこと思えば、上空から黒い影がその戦車の上へと降り立つ。
全身につや消しの装甲を貼り付けたボディスーツをまとい、その上から防弾繊維で編まれた外套を羽織り、顔の上半分を覆う大型のゴーグルタイプのバイザーを取り付け、腰から一対の漆黒の翼をはためかせ、自分の身長に匹敵するほどの大きさを持つ対物ライフルを握る少女が。
「────戦車の無力化を確認。……やっぱりリニアライフルを人間サイズにまで無理に小型化した弊害か、射撃する度に照準機構に異常が発生してる……。オマケにバッテリーを内蔵したから無駄に重いし嵩張るな。
エア、問題点をチェックして後でウタハに送っておいて」
ぶち抜かれたハッチに向け、いつの間にかピンの抜いていた手榴弾を投げ入れるとその少女は装甲を蹴り、上空へと踊りでる。
そして、そのすぐ後に戦車の中で手榴弾が起爆。内部の弾薬に引火し、一際大きな爆発を起こして今度こそ完全に戦車が沈黙するのだった。
戦車から離れた位置に着地した少女は何かを呟きながらゆっくりと歩く。
「テメェ、くたばれゴラァ!」
「よくもダチをやってくれたなぁ!」
「スッゾコラァー!」
けれど、物陰に隠れていた不良たちが少女に向けて各々の銃を向けて叫びながら引き金をひこうとするが。
「声に出して位置を知らせるバカがいるかマヌケ」
呆れたような声色で吐き捨て、僅かに少女の身体が揺れたかと思うと────
「ガッ!?」
姿がブレ、気がつけば不良の1人の脳天に持っていた大型ライフルの銃身が叩きつけられていた。
「次」
「えぁ!?」
脳を揺さぶられ、体の力が抜けた不良の襟首をつかんで凄まじい膂力でぶん投げる。
宙を舞う不良が別の不良にぶつかり、体勢が崩れると。
バシュ!
「ごぶっ!?」
自分の身長ほどもの大きさのライフルを片手だけで狙いを定め、引き金を引くと炸薬の燃える音ではなく空気を引き裂く音が響く。
火薬ではなく電気の力で打ち出された杭は不良へと突き刺さり、2人の不良が瓦礫の奥へと消えた。
「テメェ!!」
あっという間に仲間がやられ、残った1人が怒鳴る。
虚勢で己を鼓舞しているのは火を見るよりも明らかで、足が微かに震えるのが見える。
「うるさい」
そんなのは関係ないと言わんばかりに少女が右手で何かを引き寄せるような動きを見せると、不良が少女の方に向かっていくではないか。
「うわ!!?」
「─────」
回し蹴りが不良のコメカミへと突き刺さり、そのまま回転して地面へ叩き伏せられる。そしてトドメとばかりにライフルの引き金をひこうと───
「ちょ、ちょっと待ったぁぁあ!!」
「!?」
慌てて先生は駆け出し、ライフルと倒れてる不良の少女との間を遮るよう滑り込む。
先生の叫び声に少女は反射的に体が反応し、引き金を引かれるが咄嗟に銃口を横へズラした。
ほんの数ミリ、先生の真横を発射された鉄杭が通過し地面へ突き刺さり、僅かに頬を裂かれた先生から血が流れてアスファルトに染みを作る。
「なに、いきなり、お前?」
苛立ちの混じった口調で、その少女は先生をバイザー越しに射抜き、思わず唾を飲みこんだ。
『そういえば、そこのビルってなんか凄腕の警備員が守ってるらしいけど近づいただけで無差別にボッコボコにされるから気をつけてね〜』
目的地に向かう前に、モモカという少女が言っていたことを思い出す。
おそらくはこの少女がその警備員なのだと先生は理解するのだった。
〇
不良の1人の意識を確実に奪おうとして突然前に現れ、挙句には邪魔をしてきた存在にレイヴンは僅かに眉間を寄らせる。
「や、やりすぎだよこれ以上は……」
「は?」
何を言ってるんだこいつは?
「チッ」
わざわざ無駄話に付き合う道理もない。それに見たところ護身用の拳銃すら持っていない丸腰のことからレイヴンは戦場に迷い込んだ一般人と判断。
無視して行こうとするが……
「…………なんのつもり?」
レイヴンの前に男が遮るように立ち、それを見上げる形で睨む。
連日連夜戦い続けで少々気の立っているレイヴンは苛立ちを隠さずに問いただした。
ふざけたことを言い出すなら分かっているよな? 暗にそういい、コツコツと爪先でアスファルトを小突く。
「君はえっと、シャーレのビルで警備員をやっている子で合ってる……?」
「……シャーレ?」
「うん。ここから少し離れた先にあるビルなんだけど、私たちはそこが目的地なんだ」
「……達ってことは他に仲間もいるわけ?」
「うん。今はここにはいないけどね」
「その服装は……連邦生徒会の関係者?」
「あー、うん一応……?」
「歯切れ悪いね」
「まぁ、目が覚めたらというか、きがついたらここにいたというかね。リンちゃん……あぁ、リンちゃんっていうのは眼鏡をかけた子なんだけど───」
「知らないしどうでもいい」
ズバッと切り捨て、レイヴンはさっさと話せと促す。
具体的には3行でまとめろという感じで。
「えーと、今は連邦生徒会長っていう人が行方不明なんだけど「知ってる」あ、そうなの?
じゃあ、とにかく今はその人がいないから色々と機能が麻痺しちゃっててそれをどうにかする手段がシャーレのビル……君の守ってるビルにある……らしいんだ」
「へぇ……それで?」
「うん、私たちはそのビルの奪還をするためにここに来たんだ。
君にはその協力をしてもらいたいんだよね」
信用できるか……? とレイヴンは思う。けれど、話が事実ならこの面倒な騒乱を鎮めることができる。
レイヴンは数秒考えた後、頼れる友人へ声をかけた。
「エア」
『はいレイヴン、既にこの人たちの回線を傍受し通信記録やこれまでの行動記録を街中のカメラから調査したところ、彼らは確かに連邦生徒会との関係者のようです。
それに、書類の中に添付されていた写真にこの人のものがありました』
「そう。じゃあ、この人が手紙に書いてあった人物か・・・
エア、この人の言ったリンチャン? って言うのに回線繋いで」
『分かりました』
インカムにノイズが走り、収まると回線が繋がったということを理解してレイヴンは口を開く。
「こちら独立傭兵レイヴン。聞こえてるリンチャン?」
『っ! どうやってこの回線を? ……いえ、あの『レイヴン』がなんの御用でしょうか?
あとリンちゃんはやめてください』
インカムから聞こえてきた大人びた女の声からして、おそらくはこの人物がリンチャンと言うのだろう。
「そうだね、まどろっこしいのはなしにしようか。
私はそっちの誰かに半年前からお前たちの目的のビルの警備員をするよう依頼されたんだけど今回の騒ぎをとっとと終わらせたいっていう目的は一致してる。
報酬を上乗せしてくれるなら協力してもいいよ」
『…………貴方ほどの存在が協力をしてくださるというのなら心強いですが、貴方に依頼した方が誰か私は存じていません。
何か、証明されるものはお持ちでしょうか?』
「エア、向こうに書類のデータ送ってあげて」
『はい、レイヴン。こちらが半年前、私たちの拠点に置かれていた依頼書等含む書類のデータです』
『拝見させていただきます…………確かにこの刻印や証印は連邦生徒会のもの?
っ、この筆跡は……!』
通信先の女がなにやら息を呑んだような反応を示す。
僅かに怪訝な表情をするが、レイヴンは無言を貫いた。
『……確かに、確認できました。
独立傭兵レイヴン、連邦生徒会を代表して略式ですが追加依頼としてシャーレ奪還にご協力お願いできますか?』
「わかった。弾薬費やら諸々の経費はそっち持ちね」
『見積もりのデータの計算はこちらでしておきます』
『……はい、それで構いません。先生、お話は聞いていましたか?』
「あ、うん。聞いてたよリンちゃん。この子がどんな子なのかは分からないけど、協力はしてくれるってことだよね?」
『……リンちゃんと呼ぶのは……はぁ、今はいいです。ええ、その認識で概ね構いません』
「そっか。わかったよ」
男、先生と呼ばれは人物は頷いてレイヴンに向き合う。
「じゃあ、改めてよろしくね」
「ん、なんて呼べばいい?」
「私の名前は"───"だよ。先生って呼んでくれるかな。君は?」
「レイヴン」
「わかった。レ──「野良犬、駄犬、猟犬、犬、ご友人、ビジター、G13、戦友、ワタリ他には……」ちょ、ちょっと待って!!」
「なに?」
「名前だよね!? 明らかに変なのしか無かったよ!?」
『失礼ですね貴方は。レイヴンはレイヴンですよ?』
「いや、そうは言ってもって……君は誰? さっきからちょくちょく喋ってたけど……」
『そう言えば申し遅れましたね。私はエア。レイヴンの頼れる敏腕専属オペレーターです。
そしてレイヴンの
「ん、私の頼れる
「なんかニュアンスが違くなかった……?」
「『そう(ですか)?』」
首を傾げてレイヴンは言う。エアの性別が本当に女の子なのかはさておき、ガールフレンドというのは女の友人という意味なのだからなんの違いもないだろう。
レイヴンは先生に何言ってんだこいつという視線を向けながら踵を返した。
「ともかく、仕事中はレイヴンって呼ばれるのが多い。今はそう呼んで」
「あ、うんわかったよレイヴン。それじゃあ他の生徒の子達に君のことを言っておかない────「先生、ご無事ですか!?」あ、ユウカ」
先生が何かを言おうとすれば、割り込むように少女の声が聞こえる。
2人がソチラに顔を向けるとそこには、腰まで伸ばした菫色の髪をツーサイドアップにして、ミレニアム特有の白いジャケットを着崩して、下にレディーススーツのような制服を纏う両手にサブマシンガンを握る太ももの太い少女がいた。
レイヴンはその少女に見覚えがあり、僅かに目尻を下げる。
「(なんでユウカがここにいるのぉ……?)」
『あ、太もも妖怪!!』
「(エア、ちょっとお願いだからシーしてて)」
ミレニアムによく行くことの多いレイヴンにとって彼女はちょっとだけ苦手な部類だったりする。
何故か彼女にはよく絡まれるのだ。お菓子をくれたりするからレイヴンとしては嬉しいのだけれど、その度に頭を撫でたり、抱っこされたり、頬ずりされたり、後頭部やうなじに顔を埋めてくるのだ。
別に嫌いでは無い。好きではある。好きではあるのだけどやけにスキンシップが激くて、その度にエアが荒ぶるので出来るならあまり出会いたくないのだ。
レイヴンはユウカが先生に気を取られてる内に距離を取ろうとしたが、
「あ、ユウカ。この子はレイヴンだよ。一緒に協力してくれることになったからね」
「レイヴン……? レイヴンってあの独立傭兵レイヴンですか?
……この小さな子がですか?」
「ビックゥゥゥ!!」
先生の余計なことにより、ユウカに気づかれレイヴンは思わず肩を震わせる。
「…………レイヴン、です」
「……早瀬ユウカよ。そう、貴方がレイヴン……ねぇ」
「なに……?」
「私たちってどこかであったことある?」
「ソ、ソンナコトナイ、ヨ?」
「そうかしら? なんか、つい最近にどこかであったような気がするのよね……」
「キ、キノセイジャ、ナイカナ?」
思わずカタコトになるが、記憶の引き出しを漁り始めたユウカを前にレイヴンは急かすよう先生に声をかける。
「そ、そんなことより先生。他の仲間も連れて早くビルに行かないといけないんじゃないの?」
「あ、そうだったね。ユウカ。スズミ、ハスミ、チナツの3人は?」
「うーん、やっぱりどこかで……って、はい? 3人ならすぐにくると思いますよ先生」
ユウカが言うと程なくして別々の方向から3人の少女たちが現れる。
「(なんでいるのぉ?)」
現れた3人の生徒は奇しくもレイヴンと面識がある人物たちだった。
1人はゲヘナ学園風紀委員所属の『火宮チナツ』。彼女はレイヴンの個人的なゲヘナでの知り合いが騒動に巻き込まれ、その救出することがあり風紀委員とやむなく戦闘することがあった。その過程で何度か顔を合わしたことがある。
加えて、時折ゲヘナの生徒会『万魔殿』から風紀委員の訓練で仮想敵として襲撃をするよう依頼され、良くレイヴンがボコした風紀委員を治療してるのを見た事があったりした。
2人目は『守月スズミ』。トリニティでスイーツ巡りの過程で正義実現委員会から追いかけ回されてた時に出会い、何度か手助けをしてくれたのだ。彼女からオススメと言われやけに古い曲のCDを貰ったりもした。
3人目、これが特に曲者だ。名を『羽川ハスミ』。トリニティの正義実現委員会のNo.2で生粋のゲヘナアンチであり、ちょくちょくゲヘナに赴いているレイヴンは彼女に目をつけられ事ある毎にトリニティ全体をまたにかけた追いかけっこをする事になっている。
No.1のほうがまだ話が通じる方だと言うのにやはり、トリニティというのはろくでもない。
チナツはゲヘナでは珍しいくらいに常識人で、スズミも性根がカスばかりのトリニティでも裏表のない人物だ。
顔を合わせた時も多少は驚かれもしたが、すぐに敵意がないことが伝わった。けれど、ハスミは出会い頭に銃弾をぶち込んできた。
先生が慌てて宥め、どうにか落ち着きはしたが今も射殺さんばかるにガンつけくるのはやめて欲しい。そんなんだから色々と太いんだぞ。と、胸の内で思ってたら更に睨まれたのはどうでもいい事だろう。
「それで、この騒ぎの首謀者っていうのがえーと……『菜食の狐』? だっけ?」
「『災厄の狐』ですよレイヴンさん。名前は狐坂ワカモです」
「そうそれ。……なんかどこかで聞いたことある名前だ」
『今朝にキリノとフブキが言ってた人物ですね。ほら、少し前にレイヴンとSRTのFOX小隊の方たちとなし崩し的に協働で撃破した』
「あー、アレか……ん? じゃあこれって……」
エアに教えられ、はてと気がつく。
なんか似たようなことがあったなー、と。そう考えて数秒後にレイヴンは合点がいった。
「これ、私に対する仕返しかなぁ……?」
悪いのは向こうなのになぜ自分がこんな目に合わなければならないのだろうか? レイヴンは気だるげにため息をこぼす。
そんな様子に目ざとく気づくのは当然、彼女だった。
「そのセリフ、なにか心当たりがあるようですねレイヴン」
「あー、うん、まぁ……?」
「煮え切らないですね。早く言いなさい」
ハスミがスコープを覗き、不良のひとりを見事なヘッドショットで地面に沈めながらレイヴンに向けて棘を含んだ声色で言う。
レイヴンはしょぼしょぼさせながら素直にゲロったのだった。
話が進む事に段々と皆の顔色が変わっていき、終わる頃には妙に同情的な視線を向けられ、妙な居心地の悪さからか小さな体を更に縮めるようにしながら不良の横っ面にリニアライフル"LR-036 CURTIS"の銃身で殴りつける。
「えっと、その、なんていうか大変だったね……」
「ん、こういう荒事には慣れてるし。まぁ、ここ1週間ろくに寝れてないから少し疲れてるけどね」
「おらぁ!」
先生からの言葉にレイヴンは体勢の崩れた不良の顎を蹴り上げて意識を奪い、背後から殴りかかろうとしてきた不良の振り下ろす金属バットは外套の内側が蠢くと、その中から1本の細長い物体が飛び出して受け止めた。
「んなっ!?」
完全に不意を着いたと思った一撃を受け止められるどころか、本来だったら有り得ない物体を見てその不良は目を見開いて停止する。
それは腕だった。金属質の材質で作られ、複数の関節があり先端には鉤爪の着いた異形の腕が。
ミシリと細い見た目からは想像のできないほどの力で金属バットを容易くへし折ると、不良の手からもぎ取りどこかへ投げ飛ばす。
「……」
「ヒエッ」
丸腰となった不良が息を飲み、バイザー越しにレイヴンと目があい次の瞬間には不良は空へと舞うのだった
そうして立ち塞がる不良たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げの活躍で目標たるレイヴンが守っていたビルを目視できるほどの距離にまで近づいてきた。
「……不味いな」
ポツリとレイヴンが呟く。
「何がまずいのかしら?」
ユウカがレイヴンの呟きに尋ねると、レイヴンはバイザーに投影された映像を凪いだ目で見ながら答える。
「最終防衛ラインを突破されそう。ワカモってヤツは中々やるね。
一応、特別製のオートマタを複数体配置してたんだけどね」
『アレ1機製造するだけでもかなりのコストなんですがね……』
「一大事じゃない!? なんでそんなに冷静なのあなた!?」
因みにだが、レイヴンのいっていたオートマタというのはウタハ、リオ、ヒマリと共に作り上げたもので、そこらにいるような不良程度など容易く捻る性能を誇る逸品である。
その分、製作にかかるコストも膨大でもし破損もしくは全損した場合による修理費等の埋め合わせを考えると少々目を逸らしたくなるのだ。
まぁ、連邦生徒会が補填してくれることは口約束だがリンチャンとやらが了承してくれたからいいだろう。してくれなかったらエアが勝手に口座からぶっこ抜くだけだが。
そんなことを考えながらユウカの剣幕に少しだけたじろぎながらレイヴンは口を開く。
「えっと、まだビルには侵入されてないから急げば大丈夫。……多分」
「なら急がないと危ないですね……レイヴンさんの配置していたオートマタが幾ら特別製といっても相手はあの七囚人の1人。長くはもたないでしょう」
「それもそうですね。先生、息の程は如何ですか?」
スズミが丁度転がっていたなにかの残骸に腰掛け、息を整えている先生へ声をかけた。
声をかけられた先生は何度か深呼吸をして荒くなった呼吸を落ち着けると口を開く。
「ふぅ……うん。平気だよ。皆も連戦ばかりだから平気かい?」
その問いかけに一同は問題ないと頷き、駆け出した。
「ゴリアテの最新型? よく持ってこれたね」
もう目と鼻の先といえる距離にソレは道路のど真ん中を占拠するようにして配され、そして歩兵のように武装した不良やスケバンたちが周りにいるのが見える。
レイヴンはその大きな兵器を見て即座に正体を言い当てた。
「カイザーのヤツら本当に管理が雑なんだから!!」
それに憤慨するのはユウカで、その発言には同意しかない。
なんで一応最新型とも呼べる兵器がなんで不良たち。それも暴動に使用されているのだ。
「文句を言っていても仕方ありませんよ。あの兵器のスペックはご存知ですか?」
「いま、ゲヘナの諜報部に問い合わせていますが余り良い返事は無さそうです……」
「トリニティも同様です。管理などは雑なのにそういう所は無駄にきっちりしていますね連中は」
吐き捨てるようにハスミは言うと、インカムからエアの声が流れる。
『ご安心を既にカイザーのデータベースをハッキング……もといアクセスしてカタログスペック等のデータを入手しておきました』
「「「「「いつの間に……」」」」」
「さすがエア。頼りになるね」
早業にレイヴンを覗いた一同はどこか引いたようなアクションを見せる中、レイヴンは大切な友人を素直に賞賛を示した。
『フフッ、当然です。何故なら私はレイヴンのオペレーターなのですから!
もっと褒めてくれてもいいですよ?』
「ん、それは後でね」
『約束ですからねレイヴン!』
「ん。じゃあさっさと壊して先に進もう。エア、予測お願い」
『はい。弾道予測開始します!』
レイヴンはそう言い、1人先に走る。
「あ、ちょっと待って! 私が指揮を「必要ない」あー……」
先生からの静止を聞かずに言ってしまったレイヴンに先生はなんとも言えない顔をしながら宙ぶらりんとなっていた手を下ろす。
これまでの戦闘もほとんどレイヴンは先生の指揮には入らず、ほとんどを単独で戦闘をしていた。
道中では生徒たちからレイヴンについての様々な話は聞いており、その中には眉唾もののようなものもあったが、事実として小さな傭兵は今も無双とも言える戦いぶりをみて事実だと思い知らされる。
それでもやっぱり先生はレイヴンは自分の大切な生徒ひとりだと思っており、何かあってもカバーできるよう意識を向けながら指揮を始めた。
続きません。
次の話は連休中には出します。きっと、必ず。
私ごとですが、NIKKE始めました。
AC6×NIKKEのSSってないですかね?
活動報告やX(Twitter)のアカウントに絡ませたいキャラややって欲しいシチュエーションなど投げてくだされれば幸いです。
Xアカウント
https://x.com/t1w1jAL869JZ3Sz?t=t4q9NaJ6v8P8AevEdopumA&s=09
活動報告
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=306077&uid=141625