Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。
本編突入といったな。あれは嘘だ。
いや、突入しようとしたんですけど書いてるうちに無駄に導入的な部分が増えちゃって・・・・本当に申し訳ない。




25

「ふぅ……終わった」

 

『お疲れ様ですレイヴン。ヴァルキューレには連絡を入れているのでスグに引取りに来ると思いますよ』

 

「ん、ありがとうエア」

 

『このくらい当然です』

 

 手に着いたホコリを払い、レイヴンは一息つく。

 その足元には数えるのも面倒なほどのスケバンやヘルメット団等の不良たちが倒れており、皆一様に手足のどこかがあらぬ方向に曲がってるのが見えた。

 

 警備員としての仕事をやってから半年、最初の頃は空き巣やコンビニ強盗等が時折発生するくらいで基本的にはモニター室で適当に監視しつつ見回りをダラダラしながらソラやエアとだべったり、U〇Oやトランプ、ジェンガやボードゲームを出来るくらいには暇だった。

 それが変わったのつい最近だ。何やら妙に不良が増え始め、キヴォトスの治安も──元々悪かったが──それと比例するように悪化の一途を辿っている。

 

 レイヴンの警護しているビルも頻繁に強盗が入るようになり、レイヴンが鎮圧しキヴォトスでの警察機関に相当する学園『ヴァルキューレ警察学校』に引き渡す出来事が増えた。

 

 それに加えて、強盗をしてきた不良の仲間などが報復としてレイヴンに襲撃を行い、それにレイヴンが対処。

 更にその仲間がエトセトラエトセトラの繰り返し。

 

 ココアが注がれたマグカップとドーナツ片手に塀へ腰掛け数十分ほどだろうか、近くの路肩に犯罪者などを移送するための大型の装甲車が停車した。

 その側面にはヴァルキューレ警察学校のエンブレムがペイントされるのが見える。

 

「ありゃりゃ、今日もまた一段と多いねぇ」

 

「全員入りますかね……」

 

 装甲車から少女二人が降りると、転がっている不良たちにおっかなびっくりといった様子で隙間を縫うように歩いてきた。

 レイヴンは片手を上げ、2人に声をかける。

 

「おはよう、キリノ、フブキ」

 

『お仕事ご苦労様です』

 

「おはよ〜ワタリ〜、エア〜。今日もお手柄じゃ〜ん」

 

「おはようございますワタリさん、エアさん! お怪我はありませんか?」

 

 1人は緩く額に手を当て、もう1人はピシッと背筋を伸ばして敬礼を行う。

 緩く敬礼を行ったのはヴァルキューレ警察学校の制服の上に大きさのあっていないジャケット着て、頭には帽子を被り深い群青色の髪を白いリボンで纏めサイドテールというヘアスタイルの小柄の少女の『合歓垣(ねむがき) フブキ』

 キチンとお手本通りの敬礼をしたのはシワひとつないヴァルキューレ警察学校の制服を着用し、頭には帽子を被り、白い髪を二又の三つ編みでお下げにした少女『中務(なかつか) キリノ』

 

 一見して正反対な印象を持つ2人だが、意外にも相性は良いらしくレイヴンはよくこの2人が一緒にいることを目撃するのが多い。

 

『私は基本的に裏方なので怪我のしようはないので平気です。……レイヴンにばかり負担をかけてしまっていますが』

 

「ん、私は問題ないよ。

 今日もよろしくね2人とも」

 

「本来なら過剰防衛として本官は注意を行うべきなんですが……」

 

「流石に連日連夜襲われてちゃ加減は出来ないよねぇ〜……」

 

「「「『…………はぁ』」」」

 

 一同は疲れたようにため息をこぼして労い合う。

 

 不良連中は時間帯も考えずにやってくるものだから対処のために、帰ることも出来ずココ最近は仮眠室がレイヴンの私室のようなものになってたりするのは余談だ。

 

 ともかく、流石のレイヴンもこれにはうんざりとしており、この2人も同じ気持ちであることは想像にかたくない。

 

「まったく、こうも物騒だとあの噂は本当かなぁ?」

 

「『あの噂?』」

 

「ん? 2人とも知らなかったの? 実は───」

 

「ちょ、フブキ! それは言っちゃダメなはずですよ!」

 

 フブキが何かを言おうとすれば、慌ててキリノが口元を抑えてしまう。

 

「むご、むごご、むがー!」

 

 すると、フブキが顔を真っ赤にしてジタバタと暴れてキリノの手を振りほどこうとし始めてしまう。

 レイヴンはキリノに向けてそっと教えてあげた。

 

「キリノ、フブキが息できてないよ」

 

「あ、す、すみませんフブキ!」

 

「ぶはぁー! 窒息死するかと思った……」

 

 レイヴンに言われ、手を離すと新鮮な空気を求めてフブキは喘ぎ、少しの間荒い呼吸を繰り返す。

 そうして、ある程度落ち着くとレイヴンはもう一度尋ねてみた。

 

「それで、噂って……なに?」

 

『詳しくはわかりませんが、ココ最近の治安の悪化には関係していそうですね』

 

「んー……教えても構わないんだけど」

 

「実は先輩たちが話していたのを又聞きしただけど確証はないんです。

 それに、無闇に教えて混乱を招く事態になる可能性があるんです」

 

「…………これ、食べる?」

 

 レイヴンは塀に置いていた箱を取ると封を開けて見せた。

 

「「こ、これは!?」」

 

 中に収められていた数種類のドーナツを見て、フブキとキリノ両名の目が輝く。

 

『数量限定品のロイヤルスイーツドーナツです。教えてくださるのなら、おふたりに全部を渡しても構いませんよ』

 

「「全部ッ!?」」

 

 予約が半年先まで埋まり、現地で購入しようにも開店数分で売り切れ必至の超人気のドーナツ。

 ドーナツ愛好家のフブキはもちろん、食べ歩きが趣味のキリノは魅力的な提案に陥落するのは容易かった。

 

 

 

「……連邦生徒会の会長が行方不明?」

 

「そうなんだよね〜。局長とかが連邦生徒会の偉い人と話してるのを偶然聞いちゃってさ〜。

 その後に口止めされたんだけど、まぁ他の人らも聞いてたみたいだからバレるのも時間の問題ってやつ? ……うっま〜、マジで最高だね」

 

「半信半疑だったんですけど、こうも各地で暴動がたくさん起こってると信憑性は高くなっちゃいますよね。……これ、美味しいですね!」

 

『……いま、各地での犯罪検挙率を調べてみましたが、確かに連邦生徒会長が行方不明となった時期と例年の数を比較すると約1000パーセント増加……1000パーセント!?』

 

「うっわ、増えてるなーとは思ったけど1000パーセントってなにその頭悪い数字。ウケル〜」

 

「笑い事じゃありませんよフブキ! それだけ一般の方々が危険な目にあっているということなんですから!」

 

 プンプン、という擬音が似合うほど怒りを露わにするキリノだが片手にドーナツと口の端にチョコスプレーが付着していてイマイチ締まりが悪い。

 けれども、フブキの反応も無理ないだろう。数パーセントや数十パーセンとくらいならまだ理解が及ぶがまさかの4桁である。これで笑うなと言うのはさすがに無理があるだろう。

 

 エアも自分で調べてその酷さにドン引きしており、レイヴンも内心同じ気持ちだった。

 通りで傭兵名義の依頼のメールが多いと思った。まぁ、殆どエアが弾いてほかの傭兵に適当に投げているのだが。

 

「それにしても連邦生徒会長が行方不明……か」

 

 今の状況、連邦生徒会というのはつまりは普通の国家──キヴォトスの場合は複数の国家による連邦国家だが──におけるトップ、生徒会長(大統領)が居なくなってしまった。確かに大事ではあるが、言ってしまえばそれだけだ。そうなった場合の臨時の人員などを配置するか、もしくはそうなった時のマニュアルのようなものがあるはずだ。

 

 というか普通だったらトップはそうなった時に予め準備などやっておくはずだ。まさか、用意してないどころかほとんどの仕事を自分一人でやっておくような有能的無能なワンオペを国単位でやるようなやつなんているのだろうか? 

 

「まさか、ね」

 

 自分で想像してすぐに否定する。さすがにこんな世紀末な世界で自分がいなくなった時のプランを用意していないなんてことは無いはずだ。というか、政治闘争や過激派からの暗殺等を警戒してるだろうから自分一人に仕事や権力等を集中させるようなことをしないだろう。というか周りがさせないはずだ。

 

 複合国家というものはそういうものだから。

 

 はて、そういえばこの依頼が来たのも丁度半年前だったな、とレイヴンは思い出す。

 無関係、とはいえないだろう。頭の片隅程度には考えておくべきだな、とレイヴンは思いながらココアを飲んでるとあることに気がついた。

 

「……流れ星?」

 

 空から一筋の光が落ちてるの人並み外れた視力を持つレイヴンが捉える。

 こんな真昼間に流れ星とは珍しい、といっても流れ星というのは宇宙空間にあるデブリなどのゴミが惑星の重力に引かれて落下し、大気圏で落下による摩擦熱で燃え尽きる現象のことを名付けたものだ。

 ……要は大気圏というゴミ焼却場を旧世紀の人々が無駄にロマンチックな名前をつけたものだなとレイヴンは欠伸混じりに思いながらいたらキリノの通信機から受信音が鳴りだす。

 

「こちら中務キリノです。どうしましたか?」

 

『────、───』

 

「あ、はい。分かりました! すぐに向かいます!!」

 

「どしたのキリノ?」

 

「矯正局に収容されていた凶悪な生徒たちが脱走したみたいですよフブキ!」

 

「うぇ〜!? マジで! 矯正局ってことはワタリがぶち込んだ連中もいるってことじゃん!」

 

「ん、大変だね2人とも」

 

「他人事じゃないですよワタリさん!? その中には『災厄の狐』や『慈愛の怪盗』もいるんですから!」

 

「……誰だっけ?」

 

『恐らく少し前にレイヴンがSRT特殊学園の生徒と共闘して制圧したのが『災厄の狐』

 このビルに忍び込んだコソ泥が『慈愛の怪盗』でしょう』

 

「へ〜……」

 

 エアが教えてくれるが、如何せんこのビルに襲撃をかけてくるカス共が無駄に多いせいで殆ど誰が誰だかといった感じのレイヴンはイマイチわかってない様子。

 

「脱走したってことは絶対にここ来るよね……?」

 

「来ますね……」

 

「ん、じゃあ2人とも早く離れないとね」

 

 塀から降り、レイヴンはビルの中へ入っていく。

 

「ちょ、ワタリ! さすがに危ないってば!」

 

「そうですよ! 本官たちも手伝いますよ!」

 

「ん、必要ないよ」

 

 入口で立ち止まり、レイヴンは顔だけを2人に向けて続ける。

 

「このビルを守るのが今の私の仕事だからね」

 

 

 

「武器、弾薬の在庫は十分……各所のトラップも問題なし。

 エア、周囲一帯の映像出して」

 

『今表示しますねレイヴン』

 

 投影された映像にレイヴンは僅かに眉根を寄せて嘆息した。

 よくもまあ、これだけ大量に集まったものだ……と。

 

 路地を埋め尽くすように多種多様な銃器で武装した不良たち。後方をよく見れば改造された装甲車やフレームだけの車。挙句には戦車やヘリの姿も見えるでは無いか。その中には何時かの時のようにゴリアテの姿もあった。

 

 名残惜しそうなキリノとフブキを返し、レイヴンは1人で迎撃の準備をしていた。

 路地裏にはブービートラップを筆頭に、通りにはクレイモアやタレット、ロボット等。

 

 更衣室で戦闘用のスーツに着替えたレイヴンは全身に銃火器を装備し、最後にベンチに置いていたヘッドギアを手に取り嵌めると位置を微調整。

 その後に固定すると目元を覆っていたバイザーが稼働して後頭部へ移動。

 

 それと同時に遠くで爆発音。そして僅かな振動を感じ取り、レイヴンは立ち上がってロッカーの中に仕舞っていたコートを手に取ってコートを羽織り、フードを下ろして完全武装となったレイヴンは軽い柔軟を行うと更衣室を出てゆっくりと外へ進み始めた。

 

 通路を歩き、出入り口を潜り、外へ出ると街中の至る所で銃声や爆発音が響き、空にはいくつもの黒煙が登っている。

 

「エア、サポートお願い」

 

『はい、レイヴン。……ご武運を』

 

「ん、往ってくる」

 

 

 

システム 戦闘モード、起動

 

 

 

 バイザーが降りて目元を覆うとセンサーが紅く光り、ヘイローが強く輝きを放つ。

 そしてレイヴンは戦場へと突っ込んで行った。




続きません。次は絶対に本編に入ります。といってもプロローグのシャーレ奪還ですが。

そういえば、アニメ先生のビジュアルが公開されましたね。・・・・なんか2頭身じゃないし禿げてねぇな。めちゃくちゃ受けの顔してやがる。でも、イオリの足舐めたりヒナの匂い嗅いだりするんだよなぁ。


活動報告やX(Twitter)のアカウントに絡ませたいキャラややって欲しいシチュエーションなど投げてくだされれば幸いです。

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