【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
――たらお、T-ARA武道館見てきたよ。
「おお、どうだった?」
――ステージのつくりとして、席を半分潰してたんだけど、それでも埋まってなかったなあ…。K-POPブームの終焉をしみじみ感じたかもしれない。
ライブ前半は、グループとして、まとまりないなあ、ダンスも歌も特別上手って感じじゃないしなあ、とか悩みながら見てた。
あのさ、メンバーがさ、夢のようにカワイイと思ってたの。韓国アイドルって、本当にカワイイからね。でも、売れてるグループなのに、生で見て感動しかなった…。ウンジョンとか、天使レベルでカワイイんじゃないかと思い込んでたから。
「天使レベルじゃなかったわけね。」
――それにさ、隣に座ってた親子がうるさくてさ。別に親子でライブ来てもいいけどさ、バラード曲ででっかい声で会話されるとさ、殺意起きるよね。あれは何とかならなかったんだろうか。
「ファミリー席じゃなかったの?」
――違うよ。ぼんやりした悪い席。2階席。
後半、ヒット曲連続演奏のあたりで、ほっとした。さすがに売れてる曲はぎゅっとみんなが集中するの。本人たちもお客さんもね。わーっと盛り上がって、楽しかったです。
「楽しかったのかよ。」
――ボラムの過剰に痩せた姿とか、アリなのか分からなかった…。
「なんかまともにレポートする気、ないみたいね。」
――ない。寝る!
「寝ろ!」