【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
「ゆきよさん、昨日は結婚パーティに行ってたらしいじゃない」。
――たらお、そうなのよ。東京湾クルージング。音楽DJ&ビュッフェ。船上パーティってアガるね~。
っていうかさ、私って、結婚パーティにほとんど出ない人生なんですよ。
「友達が結婚しないんでしょ。」
――うん、事実婚だったり、入籍しても身内だけで式をして友人を呼ばなかったり、パーティしても、ライブハウスイベントみたいにしちゃったり。
なんていうのかな、いわゆるそれっぽいパーティに行く機会がないんだよね。私が披露宴に出たのは、兄の結婚式だけだしね。
「極端だよね…。」
――昨日は泣けたなー。というか、自分の目から涙が出たことにビックリ。心の底から、よかったねえ、と思ったもの。
新郎が小沢健二ファンなので、僕らが旅に出る理由とかをかけて、みんな、大合唱とかしてるわけ。
……30代前半とかの、渋谷系後追いファンって、フリッパーズや小沢健二を、比較的、素直に愛してるのね。
「リアルタイムファンは?」
――リアルタイムファンは面倒くさいよ。私は、面倒くさいを超えて、もういいや、になったけど。
90年代から時空を超えて、人の心をつかむ曲っていうのは、単純にすごいことだと思った。
小沢健二さんは、こんなふうに、結婚パーティで大合唱されていることを、知っているかなあ、とか思ったりした。
芸術しか、人の心を救わないな、とか思ったりした。
「なんか飛躍があるな。」
――もちろん、衣食住あっての生活だけどさ。小沢健二の作った芸術作品で、人と人がつながって、イベントが行われたり、お店が出来たり、人が結婚したりするわけだからさ。
創作物が好きだよ、私は。半沢直樹もあまちゃんも、人を救ってるよ。私はそんな、日本のカルチャーがとても好きだと思います……昨今。
「なんか、言ってることがよくわかんないんだけど…。」
――うん、自分でもよくわからん!
「そういえば明日、DJなんじゃないの?」
――はい、明日! GIRL POP CRAZY! ANNEXとして、新宿3丁目エイトビットカフェにてラウンジDJします(20時位~)。ガールポップしばりです。お店は通常営業です。来てね!