【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター･ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ･たらおと会話するのであった。

――たらお、半沢直樹、ちょう面白かったね！
「大和田＝香川照之が町金に手を出してる、っていう時点で、カイジ！　カイジ！　地下帝国！　ペリカ！　利根川！　って叫んだよね、全国のカイジファンが。」
――原作では、大和田さん、失脚して終わり、らしいじゃない。銀行に残したってことはさ、シーズン２にも出てくるよね！
「カイジ２みたいに、主人公とつるむと面白いのになあ。
まあそれはいいとして。
ゆきよさん、今日は出かけてたらしいじゃない。」
――友人の結婚パーティが明日あって、まあ年下の友人たちと、安い服、見てました。
「カジュアルなパーティなのね。」
――Ｈ＆Ｍと、フォーエバー21と、ＧＡＰに行ったんだけど。男子は「フォーエバーとかって、オシャレな人ばかり行くのかと思ってたけど、そうじゃないんだねえ～」と言っておった。
「普通の人が来るよね。男の子でフォーエバー来るって子は、若干オシャレ好きかもしれないけど…。女の人にとっては、安くアクセサリー買えるな～、ワンシーズンしか使わないものだったらこれでいいか～、みたいな枠よね。」
――そうそう。
でも彼は結局、ＧＡＰでジャケット買ってたなあ。ザ・無難。
それにしてもさあ、フォーエバーとＨ＆Ｍ行くと、「でかい音で音楽を聴く」欲望が、ちょっと満たされるよね。今日、Oh Sheilaとか、かかってて、たまらんと思った。80年代のマドンナとかさ。
「でも、買い物してる女の子たちは、一切、音楽聴いてないよね。」
――そう、あくまで雰囲気作りの、ＢＧＭなんだよね…。でもファッションにとって音楽って重要だからさ。
どうやって選曲してるのか、興味深い。中田ヤスタカとか絶対かかんないんだよね、洋楽、洋楽オンリー。
有線ではないと思うんだよね。Ｈ＆Ｍとかはさ、海外で音楽フェス開催したりしてるしさ。
いまさ、「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」っていうサブカルチャー本が話題ですけど、それにならって言うなら、「FOREVER21やH&MのＢＧＭの選曲をする男の一生」も知りたいな。
「男なの？」
――うーん、根拠はないけど、男だと思っちゃうんだよね。なぜかしら。
「勘かよ。」