【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
――たらお、プラナカン文化のワークショップ、思いきって申し込んでしまった。抽選だけど。
「ぷ、ぷらなかん…?」
――マレーシアの文化なんだけど…。
欧米植民地時代のマレーシアに住んでいた、中国ルーツの人びとのことなの。15世紀ごろ、中国人がマレー半島に移り住んで、現地の女性(マレー人)と結婚して…っていう流れらしい。
そこのカルチャーが興味深くてさ。
写真で見たことあってさ。これ、こういうの。
こういう建物とか、
こういう陶器とか。
――あと、刺繍とか、独特の料理とか、あるんだけどね。
「萌え、ですな。」
――萌え、なんだよ!! パステルカラーなんだよ。キキララ系の色なのよ。
中国だと、もっと、違う派手さの配色じゃない。それが、マレーシアに行ったら、なんでこんな色になったんだ? っていうのが、謎だよね。
お菓子も派手でさ、ピンクだったり青かったり……青いもち米のお菓子もあるみたい!
あー、行って食べてみたい。
「多分、普通に甘いおもちだと思うのよ。色がすごいだけで。」
――まあ、そうなんろうけどさ。
料理もなー。プラナカンの料理って、オキアミベースの醤油が使われているらしいんだけど、
タイ料理みたいに辛かったり、ベトナム料理みたいにハーブどっさりって感じでもないし、
味わかんないんだよね。東京都内にもレストラン、あるみたいなんだけど…。
まあ本当は、実際行って、散歩して、買い物したいです。
物価とかどうなのかな。
うーん、調べてみたら…、チャイナタウンの最安の宿で450円、一食90円くらいですな。ふむふむ。
「安いですな。」
――HISで、クアラルンプール行き最安値、23,000円だ。わあ、行きたい!
「ゆきよさんが再訪したいっていう、ベトナムは?」
――ホーチミンも23000円だな。まじか。国内よりも安いやんけ。
「海外旅行、しなよ。」
――うん。そのためには働かなければいけません…。