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「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」を昨日読んだんだけれど、印象が強くて忘れられない。すごい作品ですね。万人にすすめないけれど。
で、いろいろ考えてたんですけどね。
ネタばれになるから詳細は言えないけど、表題作の主人公って、結果、成功してるのでいいんじゃないかと思ったんですよ。
私も歌、むかし歌っていました。15歳から24歳くらいまでは。
そこそこ可愛い声だったんです、あと、音域によっては通る。だからバンド向きだった。
上手いと思ってたんですよ。何しろボディワークだから気持ちいいし。
全部女メンバーで、格好いいバンド組むのが目標でした。
でも女の子って、何もしないんですよ。
男の子が頑張って作曲するのと比べたら、もう、ただ歌うだけ、演奏するだけ。
だから私も自分で、音楽知識ないのに、デモテープ作って、歌詞作って、
アレンジも、ベースラインまで考えて、みんなにやってもらったけれど、
まあ、つまらなかったです。
曲としても、成立していなかったと思うし。
でまあ、苦戦している中で、
ミューズ体質の女の子は、
うちのバンドで歌ってよ、っ、男子が作るちゃんとしたバンドに声かけられて、
らくらくと歌姫になるわけ。
声質も音程もばっちりで、
もう、ああいうのは、運動神経みたいな、
才能なわけですよ。歌姫才能。
そういう子は、美女じゃなくても、美女風に見えてくる。
出来上がる音楽も素晴らしい。
歌姫って、一見、誰でも出来そうだけど、誰でもは出来ない。
スポーツ選手なみの才能が必要。
もしくは努力。
なのかなー、と思います。
でもね、
それに気がついたのは、すごくおそくて、私が30代の時。
ネタでレコーディングした際に、
「ああああ、なんて不安定な声なんだ! 頭で鳴ってる音と声から出したい音が違う!」
ってわかった時、ですね…。
(この、歌姫=アスリート並の才能が必要、っていう部分が理解出来ないと
人はずっと夢を見てしまう)
私は若い頃、歌と、文章しか、誉められたことがなかった。
でも文章はなんとかなった。比較的。
だから結構幸せですよ。
表題作の彼女も、多分、現状では幸せなはず。
歌は、ただの過程なはず。
忘れることは無理だけれど。
とかとか思うんだけど違うのか?
ひとつ残念なのは、この作品、女性が書いてたら、手放しに素晴らしいと思えた気がするんだけど、
男性著者なのが、ひっかかるのよね…。
どうやって知って、誰に向けている痛みなのか…。
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というか、作者さんに、数年前、飲み会でお会いしたことあります。
(向こうは覚えてらっしゃらないかもしれないけれど)
すごい、いい方だった気がします。
影ながら応援しております…。