【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
――たらお、たいへんだ~。
「なんなのよ。」
――大久保駅の新宿寄りの出口のさ、南口のほう? 韓国料理の「土地」と、ゲーセンのあるほう。
「ああ、あっちね。」
――あそこに、唐突に、関帝廟出来た~!
「へ?」
――あ、あの、中国の三国志あるじゃない? あれの関羽さまをまつってるお寺が関帝廟なの。
「中華街とか、台湾とかにあるやつ?」
――そうそう。それが出来てた!
「ああ、ビルなのね。」
――閉まってたけど、お線香がたいてあった。あと噴水があって、竜の口から水が出てた。夜見るとこわかった~。
中国人のおかねもちが建てたんだろうなあ。ほんと、出来たばっかりの感じ。ショッキング。
昨日、友人の結婚パーティに行って、豪快に人の名前を間違えたりして落ち込んだり、今日の昼間、某アイドルのフリーライブを見てアンチの子たちを見てびっくりしたこととか、全部ふっとんだ!
「そうですか。」
――今度は昼間行って、お参りしたいね!
「電子書籍ヒット祈願でもしてきなさいな。」
――まあ、無理目なお願いでも、許してくれそうだな、大久保のかんていびょう。
「大久保だもんね…。」