【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
――たらお、昨日から「あすけん」っていうアプリ始めたんだけどさ…。栄養管理アプリ。
「へー。なんで?」
――いや、禁酒をして、体重少ししか落ちなくて失敗、っていうのが続いてるからさ、根本から見直そうと思って。
350円のアプリ買いました。ちなみにネットでやると無料。
「なんか分かりました?」
――ものすごーく偏った食事をしてるのが分かったので、対策を考え中…。
絶食とかして、やたらカロリーを抑えれば、昔は痩せられたんだよ。
「絶食、好きだったよね。」
――そう、でも絶食すると仕事全然出来ないしさ。昔ほど痩せなくなっちゃったし。
若くないから、バランス良く食べて、カロリーオーバーせず、運動するか~って思ったのね。
「理想だねえ。でもゆきよさん、料理下手じゃない。」
――うん、下手なんだよね…。
そんで、勉強したくてさあ。
今日、さっそく、ビーガンカフェでランチ食べてきちゃった。メウノータというお店。
「ビーガンカフェを見習うなんて、極端よね。」
「しかしこれ、量、多くない?」
――いやこれ、野菜ばっかりだから、軽いよ。
玄米ごはんでしょ、汁物でしょ、メインディシュでしょ、副菜でしょ。副菜が7種類くらいあるんだけど、豆腐だったり、カレー味のポテトサラダだったり、キャベツの酢漬けだったり、地味なラインナップで。
3時間くらいしたら、消化したよね。
「おなかすいたのか。」
――丁寧な、いいランチだったんですけどね。やはり消化は早い。でも、いいもの食べると安心するよね。ああこれは食べてもいい食べ物なんだって…。
「普段は罪悪感持って食事してるわけね。」
――うーんそうね、そりゃ摂食障害あがりだし。
うーん、栄養管理、出来る範囲でやりたいんだよねえ。
万歩計がまず欲しい。
朝食は果物にしたい。バナナでもグレフルでも。
あと、玄米調理出来る炊飯器は高いので、麦飯でも、雑穀飯でも、とにかく白米じゃないものに変えたいな。
あと味噌汁以外の、汁物のレパートリーを増やしたい。コンソメスープとか。
「こないだ、おでんの素で、白菜をきざんで入れたスープ作ってたじゃない。」
――あれは思いつき。でも結構美味しかったね。
あとは、アホでも作れる副菜を覚えること。ピーマンをオーブントースターで15分焼いて、おかかをかける、とか、そういうやつ。
「あら、美味しそうね。」
――いかに「手を抜いて」栄養バランスをととのえるか、それが課題ですね。
「手を抜くのが前提ですか。」
――そりゃそうだよ。続かないもん。
そう考えると、逆に、グリーンスムージーとか簡単なのかもしれないなー。材料ぶちこむだけだし。
「ちゃんと副菜を覚えなさい…。」
――いやもう、検索しまくりですよ…。
「ちなみに今日の夕食は?」
――湯豆腐。
「調理してないじゃん!!」
――今日はいいの、今日は!!