消費税未納、東京都は税理士指摘で昨年中に把握も放置か 佐藤沙織里氏らの議会質問で発覚
産経ニュース10/3(金)14:06
一般質問で登壇する佐藤沙織里都議=2日、都議会(原川貴郎撮影)
東京都が都営住宅等事業会計について、本来は納付すべき義務がある消費税を21年間にわたって支払っていなかった問題で、都側は税理士の指摘により、遅くとも昨年中には未納を把握していたことが分かった。2日の都議会一般質問で、佐藤沙織里都議らが指摘した。都はこれまで、国税庁の今年5月の照会で未納を把握したと説明しており、税理士の指摘後も問題を放置していた疑いが浮上した。
佐藤氏は、一般質問で「2024年に都はデロイトトーマツ税理士法人から(消費税未納の)指摘を受けていた」と述べ、都側に「なぜこの時点で都は期限後申告をしなかったのか」と問いかけた。「国税庁の照会を受けるまで放置していたことは都の重過失であると考える」とも指摘し、都側の認識をたずねた。
山崎弘人住宅政策本部長は、「都営住宅等事業会計における令和5(2023)年度分の消費税の申告・納付の業務委託の中で、税理士法人から、同4(22)年度以前の納税義務についても確認が必要であるとの指摘があったことを確認している」と答弁し、昨年中に都が未納を把握していたことは事実だと認めた。
続いて佐藤智秀総務局長が答弁に立ち、「徹底した原因究明を行うため現在監察を実施している。税理士法人から指摘があったことについては既に把握しており、これをどのように受け止めたのか、なぜ申告がなされなかったのかなどの事実関係を監察によって明らかにしていく」と述べた。
佐藤氏はまた、「都には複数の監査組織があるにも関わらず、20年以上も誰も無申告に気づかなかった」と述べ、議員に与えられた調査権限が不十分だと指摘。議員の調査権限の拡充を求め、開示請求によらず税務申告書類を閲覧できるようにしたり、担当税理法人の専門家にもヒアリングができるようにしたりすることなどを提案した。
都側は、「議会および委員会の調査などについては、地方自治法で定められている」などと答弁した。
一般質問では無所属の佐藤氏のほか、都民ファーストの山田麻美都議が消費税未納問題を取り上げた。
消費税未納問題を巡っては、都営住宅等事業会計が一般会計から特別会計に移行した2002年度以降、都には消費税を納付すべき義務が生じていたが、「消費税制度に対する理解が足りなかった」(担当者)ことにより納付していなかった。インボイス(適格請求書)制度導入により、国税庁が過去の記録を照会したことで未納が明るみになったと説明している。
都は19〜22年度の4年分(1億3642万円)を納付したが、18年度以前の17年間分については、「時効のため納付義務が消失した」としている。