いいか、しんのすけ。
アーク溶接の自働化の中でも、高難易度で不良の懸念が大きいのが縦向きの溶接だ。
縦向き溶接はざっくり下の4種類に分けられるんだ。
①上進上向き溶接
②上進下向き溶接
③下進上向き溶接
④下進下向き溶接
色々トライしてきて感じた難易度の高さは、そうだな。
④>③>①>②の順だ。
特に④の下進下向き溶接は自動ではまずやらない。
理由は、溶け込みのばらつきが大きく強度の保証が難しいからだ。
そもそも、縦向きで溶接するとどうなるかというと、溶接する箇所から重力で解けた金属が下に流れる、これを応用して「流し」という技能もあるぞ。
ここで下進下向というのは、重力方向に溶接トーチを進めて、かつトーチの先端を下に向けていることだ。
このとき、重力で落ちている金属を下進でさらに押し進めることになることに加えて、その後方からトーチが来ても溶けるのは母材ではなく、流れ落ちた金属の表面を溶かしているだけなんだ。
だから溶け込みが浅くなって、強度が低下する。
イメージとしては、傾けたフライパンにとき卵を上から流すと、後から流れてきた卵はフライパンとは接することができずに先に固まった卵に乗り滑る感じだ。
高電流、高速で溶接することで、金属が落ちるより早く、母材を溶接してしまう手もあるけどな、安定しないのは想像しやすいと思うぞ。
最後に、タチが悪いのは溶接外観が良いのも
④>③>①>②の順なんだ。
一見、ものすごい綺麗でもただビードが母材に乗ってるだけなんてこともある。
溶接不良は最悪、使用者に命に関わる。
しっかり溶け込みを評価し安定させることが大事だぞ。