【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
――たらお、昨日さあ、図書館で『暮しの手帳』を読んでたんだけどさあ。
私の心に残るレシピブック、っていうお題で、料理研究家とかが本を3冊ずつ挙げてて、その記事が興味深くて。魯山人とか、伊丹十三とか、丸元淑生とか、巴里の空の下オムレツのにおいは流れるとか、メジャーどころから、ああこんなの全然知らないーっていう本まで紹介しててさ。
「ふむふむ」。
――そんで、真似して、私にとっての3冊って何かな~って考えてたんですよ。
「ゆきよさん、料理しないくせに、レシピ本が異常に好きだよね。」
――好きなのよ。でも、実際に料理の参考にした本って少ないのよ。なので選ぶまでもなく、参考にした本は、3冊しかなかったよ。
まず1冊目、『たのしいクッキング ミニレディ百科』。
「あらま、80年代ねえ。」
――80年代というか70年代というか。いま40歳前後の人は、このミニレディシリーズ、すっごく記憶に残ってる人、多いと思うよ。
これに載ってたクッキーとかケーキとか作ったもの。小学生の時。
やさしい料理しか載ってないんだよね、子供が作れるような…。
お、いまヤフオク見たら、1000円になってるな、プレミア本なんだねえ。
セルフヒーリング・クックブック―からだ、こころ、そしてムードを、かたよりのないバランスのとれた.../フレックス・ファーム
2冊目は『セルフヒーリングクックブック』。翻訳のマクロビオティック本。大判でね、前編モノクロで、ワープロうちみたいな文章で、手作り感のある本でした。1990年くらいに買ったんじゃないかなあ。マクロビとか、ぜんぜんマイナーな頃。
摂食障害だったんだけど、自分でなんとかしなきゃと思って、すがりつくように読んでおりました。正しい食事がしたかったんだよね。陰陽のことは、ざっくり覚えたけど、翻訳本だからさ、「ビーツのスープ」とか、そんな野菜、日本にないし…っていうレシピ満載でした。アレンジして作ってたなあ。
カレーな薬膳/晶文社
3冊目は『カレーな薬膳』ですね。これは30代、一時期、ひとりでスパイス買ってハマってた。
カレーってさ、基本、ターメリックとチリ(とうがらし)とクミンがあれば、成立するのね。それを油でいためて香りを出して…。
スパイス買いに、外国人向けの食材屋へ、よく行ったよ。スパイス安いんだもん。
「最近、全然作ってないじゃない。」
――そうねー。なんかこう、ちゃんと料理が出来ないんだよ。極端なの。凝ったら凝るんだけど、やらない時は徹底的にやらない。
炊飯器に、鶏肉と白菜を入れて炊いて、おなべにしたり。そればっかり3日食べたり。
「本当に駄目人間だな、アンタ…。」
――ハマれる料理本を探して、出会いを求めて、今日もレシピコーナー巡回中です…。