【あらすじ】東京の西のほうに暮らす、ぱっとしないライター・ゆきよは、今日も、UFOキャッチャーでとってきたお気に入りのクマのぬいぐるみ・たらおと会話するのであった。
「ゆきよさん、またクレヨンポップ観に行ったらしいじゃない。」
――うん。今年なんと3回目。来日ごとに行ってるなあ…。
フリーライブがあることをギリギリで知って、申し込み期限が過ぎてたんだけどメール送ったら、返信がきて。入れました。でも当日でも入れたみたいだけど。
ダイバーシティのZEPPって初めて行ったっすわー。なんか観覧車のほうのゼップよりも居心地良いね。なんでだろ、ちょっと小さめだからかな。
しかし、ま~今回フリーライブだったから、女子高生が多かったこと! お前らお金ないけど無料なら来るのかい! と思った。まあ私も女子高生の頃、昼飯抜いてライブハウス行ったものなー。
「お金ないわよ、10代は。」
――しかも、「クレヨンポップのコスプレ」のつもりなのか、スカートの下にジャージ着てる子もいてね。それ、普通の人が見たら、ただの女子高の昼休みですよ……。
そんでね。今日はカバーダンス大会と、日本のアイドルのアクトと、クレヨンポップのアクトと、クレヨンポップの後輩の男性アイドルグループのデビューステージ、っていう盛りだくさんの内容だったんだけど。
「それはきっと、クレヨンポップが持ち曲が少ないせいもあるのでしょうね。」
――まあそうなんだけど。
その中でさ、一番の発見は、「バクステ外神田一丁目」というアイドルの、ADなぎさちゃんだったよ!!
――まず、バクステで、1曲目、カンナムスタイルのカバーダンスやったのね。この子がセンターで。
「それは、おいしいな。」
――そしたら、客席の女の子たちの心を、がっちり掴んでしまったのね。
髪の毛をひとつにたばねて、メガネ、ぽっちゃり、しかしキレキレ。「ああ、女子高にいたら、こいつ、絶対に人気者!!」というオーラだったのね。
「そうね、媚びないアイドル、っていう謎の存在だものね。」
――そしたらもう、他のメンバーに目はいきませんよ。持ち曲やったって何だって、なぎさちゃん&適当なかわいこちゃん、っていうふうに見えてきて。
自己紹介、するじゃない。いわゆるアイドル自己紹介。なぎさちゃんだけ、客席がキャー! って言ったからね。
私の臨席の女の子は、「あの子(なぎさちゃん)にファンサを貰いたい!!」って手を一生懸命振ってた。
そもそもがさ、クレヨンポップが好きで観に来てるってことは、「終わらない(女子高の)放課後」ノリが好きなお客さんなわけじゃない。だから、はまってたわー。
「かんじんのクレヨンポップはどうだったのよ。」
――夏に見たのと比べると、疲労が蓄積してる感じだったな……。でもさ、プロなんだよねえ。観客全員と握手したんだけど、皇室のようにバッキリ笑顔をたやさず、腕をぽんぽん、とかしてくるのよ。チョアちゃんからボディタッチ! メロメロですがな。」
――クレヨンポップと、握手してなかったっけ?
「いや、今まではハイタッチだったの。握手はヤバイね。
SHINeeと握手して、腕ぽんぽんとかされたら、卒倒するな。あくまでガールポップとかだから、参加出来るんだなあ、と思った…。
今まで握手してきた相手、って、野宮真貴とか、野本かりあとか。あ、でもKARAも握手したなあ、初来日の時。
「偏ってるわねえ…。」