西武・川越誠司が8月5日のロッテ戦(ベルーナ)で延長十回にサヨナラ本塁打。前日4日のオリックス戦(同)では中村剛也も九回にサヨナラ弾を放ち、西武で2試合続けて異なる選手がサヨナラ弾をマークしたのは西鉄時代の1970年以来52年ぶりの出来事だった。
70年の西鉄は〝黒い霧事件〟の渦中にいた。前年69年10月8日、噂されていた暴力団が関わった八百長試合がついに表面化し、西鉄は関与したとされる永易将之投手を任意引退選手にすると発表。11月28日に敗退行為を理由に永久追放処分となった。これで事件は終わらず、プロ野球開幕を翌日に控えた70年4月10日、身を隠していた永易が記者会見を開き、❶与田順欣に頼まれ、八百長をし、謝礼金20万円を受け取った❷自分の他に与田、池永正明、益田昭雄、船田和英、村上公康、基満男、田中勉も関わった❸西鉄から計550万円を口止め料として受け取った-ことなどを暴露し、球界に激震が走る。同11日、5試合が雨で中止となる中、西鉄-東映の開幕戦(平和台)だけが開催され、疑惑の池永、船田、基、村上が先発出場。基、村上が本塁打を放ったが、池永が6回6失点、与田は3回6失点と打ち込まれチームは敗戦。試合後、100人近くのファンが球場正面に押し寄せ、「池永、与田を出せ。八百長の疑惑は晴れんぞ。船田、基、村上も出てこい」と罵声が飛び交い、警官が出動するなど騒然となった。
5月25日、コミッショナー裁決が下り、与田、益田は敗退行為に認定、池永は敗退行為の勧誘を受け100万円を受け取り返却しなかったことから、敗退行為の通謀とみなされ、3投手は永久追放処分。船田、村上はシーズン終了までの野球活動禁止、基は厳重注意処分が言い渡された。八百長試合を一貫して否定していた池永は「八百長試合をやっていないオレが、どうして野球を辞めにゃあならんのだ」と涙を流した。その後も東映・森安敏明らが永久追放されるなど、処分者が多数出た。
8月18日に竹之内雅史(対近鉄、小倉)、同19日には基(同、平和台)がサヨナラ弾を放つが、主力の抜けた西鉄はこの時点で首位・ロッテと27・5ゲーム差の6位。球団創設以降初となる最下位でシーズンを終えた。(記録担当・小川真幸)