東大合格は8000万円、早慶上智は600万で売っている…中国"学歴ブローカー"を野放しにできない理由
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■“過剰な好待遇”は情報戦の一環と見るべき これは他人事(ひとごと)ではなく、日本の大学にも同様のリスクがあると考えなければなりません。 日本においては、国立大学は文部科学省の傘下にありますが、私立大学も私学助成を通じて税金の支援を受けています。そうした公的支援を受ける大学に対して外国の影響が及ぶというのは、本来、非常に慎重になるべき問題です。 しかも、孔子学院では中国語を学ぶ日本人学生に対して過剰な接待や優遇が行われることも少なくなく、中国に渡った際にはVIPのような扱いを受け、「中国の主張にも一理ある」といった発言をするようになるケースも実際にあるのです。 本来、自分の考えでそうした意見を持つのなら問題はありませんが、孔子学院を通じて接待や思想の刷り込みを受けることで、考え方が不自然に変わるというのは非常に危険な兆候です。これはまさに、中国政府による「ソフトパワー」戦略の一環であり、軍事的な力を使わずに相手国の世論や知識層に影響を及ぼすという情報戦の典型例だといえます。 もちろん、すべての中国人がそのような工作に関与しているわけではありませんし、良識ある親切な人が大半です。ただ、国家戦略として、こうした動きがあるという事実は知っておかなければなりません。そして、もし、自分がある日、過剰な好待遇を受けたり、特定の政治的な発言を誘導されるような状況に直面したとき、それが「偶然の親切」なのか、「意図的な布石」なのかを見極める冷静さが必要です。 ■「情報リテラシー」と「危機意識」が重要である 中国はこうした戦略を、芸能人やジャーナリスト、学者といった影響力のある人物に対しても実行してきました。彼らが中国を訪れ、過剰に歓迎され、いい印象を持って帰国し、それをメディアで発信する。これこそが中国の望む影響工作の形です。つまり、武力ではなく、「親しみ」を通じて他国の意識を変えようとするものです。 このような工作に対抗するためには、国家レベルでの対応だけでなく、一人ひとりの情報リテラシーと危機意識が重要になります。孔子学院や、その周辺で起こっていることをただの文化交流だと軽視せず、背景にどのような国家戦略があるのかを理解し、冷静に判断する目を養うことが求められます。 経済的な結びつきの強い現代において、完全に国交を断つことは現実的ではありません。だからこそ必要なのは「距離感」です。無防備に心を許すのではなく、節度ある付き合い方と、情報の取捨選択、そして、「これはどこから来た情報なのか」を常に意識する姿勢こそが、情報戦時代を生きる私たちに求められるスキルなのです。 ---------- 勝丸 円覚(かつまる・えんかく) 元公安警察 1990年代半ばに警視庁に入庁し、2000年代はじめから公安・外事分野での経験を積んだ。数年前に退職し、現在は国内外でセキュリティコンサルタントとして活動している。TBS系日曜劇場「VIVANT」では公安監修を務めている。著書に、『警視庁公安部外事課』(光文社)がある。 ----------
元公安警察 勝丸 円覚
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