Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
何だかまた集団幻覚おきてますね。レッドガン食堂ババア概念ってなんだよ・・・
『……ヴ、ン』
声が聞こえる。聞きなれた友人の声だ。
『おき、く……いっ……』
何処か焦燥感の滲んだ声が頭に響く。
『レイ、ヴ……おき、て……』
沈みかけていた意識が形を保つ。
『お願い、レイヴン! 起きて! レイヴンッ!! ねぇ、聞こえてるの!?
私をひとりにしないで!!』
ハッキリと聞こえてくるエアの声。
それに続くように水音が聞こえてきた。
「ぁ……ぃ……ぇあ」
『ッレイヴン!? 大丈夫!?』
「ぅ……ん」
掠れる声でなんとか返事を行えば、ぼやけていた視界と意識が明瞭となっていく。
目に映るのは水没したなにかの施設。自分はどうやら打ち上げられ、うつ伏せで倒れているらしい。
体を起こそうと腕に力を込めようとするが、
「ゲホッ、ゴホッ!! ぅぐぅ……」
『レイヴンッ!』
咳き込み、全身に走る痛みに腕の力が抜け顔面から落下する。エアの悲鳴混じりの声が聞こえる。
バシャリ、と水音が通路に木霊しレイヴンは体を起こすのを諦め、全身を使ってどうにか仰向けの体勢へと移してバイザーを上げ、彼女を落ち着けるように声を出す。
「だいじょ、ぶ……全身、痛い、けど……休めば、おちつく」
『……わかりました。けど、無理はしないでくださいね?』
「う、ん」
レイヴンは答え、そのまま目を閉じて数十分ほどそのままでいれば痛みは少しはマシになればエアに尋ねる。
「……エア、気を失ってからどれくらい経ってる?」
『……およそ1時間ほどです』
「そう……これの頑丈さに助かったか……」
鈍い痛みに眉根を寄せながらレイヴンは自分が纏っていた外套とプロテクターに意識を向ける。
とある知り合いが制作した相転移がどうこうといっていたとにかく物理攻撃に高い耐性を持つ素材を使っていたおかげで、あれほどのミサイルを食らってもこうして五体満足でいられた。勿論、この肉体が殊更頑丈なのもあるのだろうが。
とにかく。頼んでもいない変な機能をつけようとする人物だが、その技術は確かに本物だった。
「クソッ……防衛兵器があるってのはアイツの言ってた通りだけど
悪態をつき、レイヴンはゆっくりと立ち上がり大腿部から『HG-003
ここに流れ着くまでに持っていたエツジンは紛失し、唯一の武装がこのハンドガンのみだ。
「ふぅ……エア。ナビゲート頼める?」
『わかりました。けれど無理は禁物ですよ? 気分が悪くなったらすぐに休んでください』
「ん。わかってるよ」
こちらの身を案じるエアに答え、レイヴンはボロボロの外套を絞って水気を切れば羽織り直して歩き始める。
「それにしてもこんな具合じゃまともに稼働はしてなさそうだ……」
『施設の大半が水没しているというのにあの兵器は何を守っているのでしょうか……?』
「さあ……。無人機は刻まれた命令だけを遂行するだけだからね…………んっ、んんん!」
半開きの扉に体をねじ込ませ、入ろうとしたが途中でつっかえたので扉を叩いて強引に開いて通った。
その過程で扉が多少歪んだが今更壊れたところで誤差の範囲だろう。
「……ここもダメか」
『また、ですね……』
進もうとしていた方向は天井が崩れ、瓦礫が塞いでいた。
通れるか試してはみたが、瓦礫をどかずには専用の重機がなければ不可能と判断。仕方なく来た道を戻る。
『一応ソナーなどを用いてマッピング等を行ってはいますが…………如何せんここの施設は無駄に広いようです。
未だに全容が掴めません』
「どこかに地図でもあればいいけど……」
一旦休憩のために近くの瓦礫に座り、幸いにも無事だった腰のポーチから携帯食料と保存水の入ったチューブを取りだしてレイヴンは封を開ける。
かれこれ小一時間ほど探索してはいるが、成果は芳しくない。通路が瓦礫で塞がれてるか、崩れて水没しているのがほとんどだった。
視界に表示されたマップ情報を見ながら味のしない粘土のような携帯食料を水で流し込み、ゴミを投げ捨て立ち上がる。
「とにかく虱潰しに探索するしかないか……」
『そう、ですね……地上へと通じる部分があればいいのですが』
「最悪壁をぶち抜いて行ってみようかな」
『崩落の危険性がありますからダメですよ?』
「……少しくらいはいいんじゃないかな?」
『ダメです』
「……さきっちょくらい」
『レイヴン』
「……ん」
頭頂部の耳がヘにゃりと倒れるが、レイヴンはそれに気が付かず通路を進む。
「それにしてもここの建築様式は私たちが目覚めたところと同じみたいだね。
ここもダメか……」
『言われてみれば類似要素が多分にありますね。レイヴンの言う通り、私たちの目覚めた施設はここと同じ系列なのでしょう
……そこを右に曲がってみましょう』
段差を飛び越え、曲がりくねった通路を探索している中で見つけた地図を見ながら歩いていればレイヴンは壁面をなぞって自分たちの目覚めた施設を思い出す。
「それにしては荒れ方がえらい違いだ。水没もしてるし何があったのかな」
『サーバーなどがあれば分解してメモリだけを回収できるのでしょうが、ここまで内部が崩壊していては期待は出来ないでしょう』
「一応、あの兵器が動けるくらいにはメンテナンスの出来る施設がありそうだけど」
『少なくともここでは無いでしょうね……ん?』
「どうしたのエア?」
ふと、エアが静かになりレイヴンは尋ねる。
『……いえ、まさか……そのはずは……けれど、この反応は……
私たちとともに流れてきた……?』
けれど気がついていない様子のエアはブツブツと何かを呟き続ける。
レイヴンは僅かに首を傾げ、もう一度エアに呼びかけた。
「エア?」
『可能性はゼロではないけれど……まさか、これを解析して……?
だとすればあの兵器にもレーザーがあったことも辻褄が……』
「エア、聞いてる?」
『……もしかしたら、これを使えれば───』
どうやら完全に自分の世界に入ってしまったようでレイヴンは少し考えた後に小さく呟く。
「…………エア、好き」
『はい! 私も大好きです!! んもう、いきなり愛の告白なんてどうしたんですかレイヴン?』
もし姿が見えたなら満面の笑みを浮かべてるであろうエアを幻視しながらレイヴンは思ったことを言う。
「呼びかけても反応しないし、何かずっと考え込んでたみたいだから気になった」
『そうだったのですか……? 私としたことが……』
「ん、私は気にしてないよ。それで、なにがあったの?」
『…………レイヴン、まだ確証はもてていないですがそれでも宜しいですか?』
「……ん」
エアがいつになく真剣な声色だったために、自然と釣られるようにレイヴン居住まいを正す。
そして、エアは話しだした。
『レイヴン、ここより地下のポイントに微弱ですがコーラル反応を検知しました』
「ッ、本当?」
『ええ。そして、ここからが本題です。私たちは依然として危機的状況には変わりません……。脱出への目処が立たず。出れたとしても外にはあの兵器が待っている』
『この状況を打破するためには分の悪い賭けをしなければなりません。
いえ、もしかしたら殆ど意味が無いかもしれない。それでも、レイヴン。私の提案を聞いてくれますか?』
エアからの問いかけにレイヴンは僅かに笑う。
「エア、それを聞くのは野暮ってやつだよ」
『……ええ。そうでしたね。ふふっ、私と貴方との仲ですものね』
「よし、じゃあ行こうかそのコーラル反応のところに」
『はいっ。ナビゲートを開始しますね』
続きません。
地下にあるコーラル反応・・・一体なんなんですかね?
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