Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。
沢山の評価感想感謝です。評価者の方々を紹介すべきなんでしょうが、書いてるうちに分からなくなってしまいそうなので出来ませんでした。申し訳ない。
今回は短めです


7

「ねぇ、ここら辺で良さそうな宿ってどこ?」

 

「こ、この道を真っ直ぐ進んであとに、突き当たりを右に行ったあと、10分くらい登ったところにありますぅ……」

 

「ん、ありがとう。寝てていいよ」

 

「へぶぇあ!?」

 

 カイザーの奸計を正面から打ち破ってから2週間、現在レイヴンはキヴォトスの中でも有数の自治区の広さを持つゲヘナ学園に来ていた。

 

 何故この学園来てるかと言うとシンプルで、体を労うためだ。

 実はレイヴンがミレニアムの精鋭部隊C&Cを単独で撃破したこと、カイザーに深刻な出血を強いたことの2つが何処かで漏れたらしく裏社会で一気に名が広まってしまった。

 そのせいで前までは程々の多さだった依頼の数が指数関数的に増加。

 加えて、片っ端から陣営関係なく節操無しに依頼を引き受けるスタンスだからか、ブラックマーケットを根城とした傭兵や生徒が食い扶持を稼げなくなり、腹いせや商売仇を蹴落とすか名を上げるために虚偽の依頼を出してきて襲ってくることもあった。

 

 もちろん、ほとんどを完膚なきまでに叩き潰してから事情を聞いてみれば出てくるわ出てくるわ泣きごとの数々が。

 やれ、自分がいると必死で条件のあった依頼が流れるわ。やれ、自分のせいでお得意様だった依頼先が一方的に関係を切ってきただわ、等など。

 

 そんなのレイヴンやエアからしたら関係ない話なのだが、顔から汁を垂れ流しにして詰め寄られては流石に感情の希薄なレイヴンといえど、哀れというか不憫というかそんな感じになってしまったのだ。

 

 そんなこんなで、彼女らの『仕事をとるなとは言わないけど加減をして欲しい。具体的には週2日程度に控えてくれ』の提案を受け入れることにした。

 とある一件で臨時収入も手に入っており、レイヴンの口座には何処ぞの学園の借金を4、5回くらい返してなお余るくらいには懐に余裕がある。

 

『普通の生活』というものを送るのに丁度いいと思い、エアの提案で疲れた体を癒すのと休日の過ごし方を学ぶため、温泉が有名らしいゲヘナに足を運んできた……という訳だ。

 

 まぁ、足を踏み出した直後にチンピラに絡まれて何時ぞやの時みたいにカツアゲにあったが、親切なチンピラはお話を二三発すれば快く教えてくれた。

 

 何故か意識を失ってしまったチンピラを道端に投げ捨て、レイヴンは傍らに転がっていた旅行カバンを引いて教えてもらった道を進む。

 

『話程度には聞いてはいましたが、ゲヘナ学園の治安の悪さを下方修正しておいた方がいいですね』

 

「ん、ここまでとは予想外」

 

 今もギラギラとした殺気を向けられ、エアが辟易とした様子なのに対して慣れてるレイヴンは気にした様子がなく平然としていた。

 一応今いる地区は観光地らしいのだが、平然とカツアゲ強盗悪質な押し売りが横行している。

 本当に酷いところは学園の自治区であっても、ブラックマーケットより治安が酷いことになっているという異常事態に陥っているらしい。ブラックってなんだっけ? 

 

「おーおー、良い身なりしてんなぁ! 有り金全部───」

 

「邪魔」

 

「げほぁ!?」

 

「はっはっは! 我らテカテカヘルメット団!! ここを通りたくば───」

 

「どいて」

 

「ほぁぁぁあっ!!?」

 

「止まれ! ゲヘナ風紀───」

 

「……」

 

「せめて何かいryぐばぁぁぁあ!!」

 

 進行方向に立ち塞がり、邪魔をしてくる連中をぶちのめし漸く目的地の宿に辿り着いた。

 外観は古き良きThe旅館といった見た目で表の通りもキチンと整備され、清潔感がある。

 

『見た目はちゃんとしていますよレイヴン』

 

「ん、とりあえず泊まれるか聞かないとね」

 

『そうですね。まずはアポを取ることが大切です』

 

 入口を潜り、石畳を進めば外からは見えなかった庭園が見えた。

 綺麗に剪定された植木に鯉の泳ぐ池だったり、枯山水というやつがあり正しくお高い宿って感じだ。

 

 暖簾をくぐり、レイヴンは旅館のフロントにあたる帳場に入れば内装は落ち着いた雰囲気で和を重んじているのが分かる。

 

「いらっしゃいませ、本日はどのようなご要件でございますか?」

 

『レイヴン、鳥が喋ってます!』

 

「ん、そうだね」

 

 着物を着た仲居(フロント係)の喋る雀が近づいてきたレイヴンに気づき、要件を聞いてきた。

 キヴォトスに来てからそれなりに時が経ってるが、やはり動物が喋るのはまだレイヴンには慣れていない様子だ。

 

「ん、3日くらい泊まりたいんだけど」

 

「ご予約はなさっていますでしょうか?」

 

「してない」

 

「……左様ですか。申し訳ありませんが、当旅館は完全予約制でございましてご予約のされてないお客様は───」

 

 レイヴンは懐から札束を2つほど取りだし、帳場のカウンターに置いた。

 

「当旅館にようこそお越しくださいましたお客様。お泊まりですね? 

 では、直ちに案内をさせてもらいます。ああ、お荷物をお預かりますね」

 

 雀は目にも止まらぬ早さでレイヴンから荷物を預かれば、ニコニコとした表情で旅館の奥へと進んでいく。

 あまりの変わり身の速さにレイヴンは少しだけ目を瞬かせるが、すぐに気を取り直して後を追う。

 

「こちらが当旅館で最もグレードの高い部屋となっております。

 ご要件は備え付けの電話をお使いくださいませ。では、ごゆるりと」

 

「ん、ありがとう」

 

「いえいえ、当然のことをした迄です。当旅館ではすべてのお客様には心ゆくまで堪能していただくことをモットーとさせておりますから」

 

 雀の仲居は深々と頭を下げ、音を立てずに客室の襖を閉めれば気配が完全に消える。

 レイヴンは旅行カバンを部屋の隅に置き、着ていたコートと帽子を脱げば縁側に出て窓を開き外の空気を吸った。

 

「……ん、悪くないね」

 

『なかなかの絶景ですねレイヴン』

 

 治安はクソだが、街並みの広がる風景は素晴らしいものだ。

 

「少し休んだら観光してみよっか」

 

『久しぶりの休暇ですから存分に満喫しましょう。

 私が最高の観光スポット巡りのナビゲートをしてみせますよレイヴン』

 

「ん、楽しみにしてる」

 

 張り切ってるエアの様子にレイヴンは詳しく見ないと分からないほど淡く微笑む。

 

 

 

 

 

「あ、あの、あのあのあの!! 助けてくれて本当にありがとうございます!! 

 そ、それと貴方はあの有名なレイヴンさんですか!!? ファンです! サインしてください!!!」

 

『なんですか貴方はいったい! 私のレイヴンに馴れ馴れしいですよ!! 

 レイヴンとは未だに触れ合えてない私を差し置いて手を握るなんて羨ま……じゃなくて、とにかく離してください!!』

 

「ん、とりあえず落ち着いて。あと私はエアのじゃなくてウォルターのもの」

 

 何故か、クソみたいなゲヘナでは見ないような輝くオデコが特徴の眼鏡をかけた真面目っ子に、キラキラとした目で手を握られたレイヴンと荒ぶってるエア、というカオスなことになってしまった。

 どうしてこうなってしまった? レイヴンは思わず遠い目をして空を見上げるのであった。




眼鏡っ娘・・・一体誰なんだ!?


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